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久恒啓一

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NPO法人知的生産の技術研究会で話した内容のテープ起しの修正が終わった。




私は学生時代に梅棹忠夫先生の「文明の生態史観」を読んでマルクシズムの呪縛から逃れることができました。それ以来、一生かけて世界を旅し、梅棹史観を確認する旅をしようと考えていました。就職して以来30-40ヶ国を旅していますが、それを「文明の生態史観の旅」と呼んでいます。

ご存知のように梅棹先生の「文明の生態史観」は旧大陸つまりユーラシア大陸を楕円形で別図のように表しています。楕円形の真ん中を上から下にナナメに大きく帯のようにきっているのが砂漠地帯です。上の方はゴビの砂漠で、中東を横切って下のほうはアフリカのサハラ砂漠です。この砂漠地帯は海から遠いために雲になった水蒸気が到達する前に蒸発してしまいますから、雨が降らず、砂や岩石の砂漠になります。この砂漠の周辺に草原地帯があり、その外側の肥沃な土地にいくつかの古代文明が興隆しました。楕円図の中の砂漠地帯の外側は1、2、3、4と東西南北の4つに分けられていますが、1が中国世界、2がインド世界、3が地中海・イスラム世界、4がロシア世界です。

しかしこの草原地帯は凶暴な暴力の発生装置で、これらの古代文明を脅かし続けたので、これらの古代文明は成熟する前に破壊され、滅亡し、また新しい国家を築く。この繰り返しだから、これらの文明は内部から成熟するということがなかった。
一方、この四つの世界から隔離されている東と西の端っこに二つの世界があります。東の端が日本です。西の端が西ヨーロッパです。この二つの地域は暴力による破壊から免れたが故に(例えば日本は元寇を神風によって撃退した)、同時並行的に内部的な要因によって文明が成熟するという幸運を得ました。

したがって、日本と西ヨーロッパは同じ型の文明である。ひとつの特徴をあげれば封建時代をともに経ている。他の4地域の文明とはまったくちがう同種の文明であるが故に、互いに遠く隔たっていても似ているところが多い文明である。したがって日本はアジアではない。ヨーロッパの親戚だというのが梅棹先生の理論です。

その後、この史観は進歩を遂げ、西ヨーロッパは新大陸であるアメリカ東海岸に進出する。そして日本はアメリカ西海岸にとりつく。

そのまま日本が発展していけば、アメリカ中央部のロッキー山脈のあたりで日英の陸上決戦が行われたであろう。またインド洋では日英の海上決戦が行われたはずである。勝敗はわからない。しかし歴史はそうならなかった。その原因は日本が鎖国という奇妙なことをやったからだ。
どうですか。この壮大な文明史観!

私は海外に縁がある日本航空に入りました。仕事をしながらこの考え方を確かめるために世界をひろく見てきてやろうと計画しました。下宿の部屋に世界の白地図を壁に貼り、折に触れて訪ねた国を赤鉛筆で塗りつぶしていきました。一都市でも行ったら、その国全部を行ったことにするという原則をたてていました。(笑い)。後輩が私の部屋にきて「まさか全部行くつもりじゃないでしょうね」というので、「もちろん、そのつもりだ」と答えると驚いていましたね。ソ連という国は地図の真ん中にあるので、モスクワを何とか理由をつけて訪ねたあと全部赤く塗りました。(笑い)
これが私の海外旅行の方法です。





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Last updated  2006/11/21 06:22:20 AM
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