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久恒啓一

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カテゴリ: カテゴリ未分類


夜は、赤坂エクセル東急のなだ万のジパングで行われた「輪島塗の漆器で料理を食す会」に夫婦で参加。長年の友人のギリークラブを主宰する渡辺幸裕さんからのお誘いである。渡辺さんは「和」をテーマとしたものや雑誌の最前線で活躍する編集長の座談会やワインと食事の会など、年間200回ほどのさまざまな会を催しているスーパーマンである。ギリーとは案内人のことを指すが、いろいろな分野への案内をしていただけるから感謝している人も多い。人柄とまめさと好奇心でまわりに人が集まる。

この渡辺さんが2007年の3月に起こった能登地震の時に、山本益弘さんたちと食のボランティアを組織し、被害にあった方たちを元気づけるプロジェクトを行ったことがある。今日の会はその延長線上に出てきた企画である。


●主旨:
地震で被災した輪島塗を応援する気持ちで、古い漆器で輪島の食材を使った料理を食べ、輪島の方と交流する会です。
●当日の進行
輪島塗ミニセミナー
     丹圃俊記 輪島市産業部商工業課長)

・箸の使い方のセミナーなど
  講師:松本昌夫氏(ギャラリー遊庵店主)
     細川英邦(輪島市漆器産業振興室)

●食事に関して
・江戸から昭和にかけて作られた、旧家での冠婚葬祭などで使った漆器で食事をして頂きます。
・食材は輪島、能登の食材をできるだけ使用し、黒田料理長に考えて頂いています。
・それぞれの料理は当日黒田料理長からご説明頂きます。
・輪島の清酒を輪島塗の酒器で味わって頂きます。


能登の地震で多くの建物が倒壊したが、蔵の中にあった輪島塗りの漆器があった。それが散逸するのを食い止めるために、市が400点を保管している。その漆器の名品を使っての食事会。

今から6800年前の縄文時代から漆の漆器が登場する。漆の木に触れるとかぶれるが、この木の肌から出る樹液は酸化し茶色に変色し、1年もたてば黒くつやびかりしてくる。私たちの先祖は、漆には神がいると感じ、魔除けにも使った。



1600年頃に、能登半島の輪島で現在の輪島塗が登場する。

「地の粉」が発見され漆に混ぜることで頑丈な下地ができ、優美さと堅牢さを兼ね備えることができるようになった。また、北前船の航路となった輪島は、全国からこの地の近くの寺院に修行に来ていた曹洞宗の僧侶が帰国する港となり、この輪島塗を大量に持ち帰り、広まった。そして蒔絵の技術が加賀金沢から能登に伝わり、赤と黒の漆器に高級感を添えることになった。このような経緯で輪島は日本一の漆器の町になっていく。

漆をほぼ100%使った漆器を生産できるのは輪島だけで、福田総理時代の洞爺湖サミットで使われた輪島塗の祝杯は、渕に各国首脳のイニシアルを配し、中央に「Y・F」という福田総理のイニシアルを書いたものが使われた。同じものは1000ドルで売られている。(この杯を使って、輪島の大吟醸を飲んでみた。優美さと、軽い重さとに感銘を受ける。)

現在石川県伝統工芸のイベントを東京で開催中で、35種の伝統工芸が出品されていて、この輪島塗も出ている。(昨年金沢で会った加賀友禅作家の久恒俊治さんもこのイベントに出ているはずだ。昨日は車の中でラジオを聴いていたらこの工芸展のことを紹介していた。)

お箸やお椀の持ち方は、健康に直結している。正しい作法で三度の食事をする中で、お椀の重さを背中で感じ、姿勢がよくなり、健康になるということだ。輪島塗が値段が高いが、修理に出すことができるから一生を使えるし、子供の成長と共に下取りする仕組みがあり、リサイクルの思想が入っている。



なだ万ジパングの料理長の黒田さんのあいさつでは、輪島塗は美術工芸品というイメージが強く、それを使った料理はとてもできなと最初は思ったが、やっていみるとてとても楽しく勉強になった。料理人冥利に尽きるという話だった。この会では、前菜以外は、輪島塗の漆器を使った料理を味わうことができた。

前菜は、青豆豆腐 土筆 蕪寿司 芹胡麻和え 蕨白よごし タラの芽おかき揚げ 穴子煮こごり 蕗の薹 公魚木の芽焼 ままこみぞれ和え 厚焼玉子。
汁は、粕汁で、寒鰤塩身 大根 人参 蒟蒻 葱
造里は、寒鰤 めじ鮪、甘海老 青利烏賊 添え野菜
煮物は、能登鮑と能登娘大根旨煮 干し椎茸 小松菜 京人参 柚子胡椒
焼き物は、寒筍牛肉巻 鱒幽庵焼 八ケ芋 大椎茸炭火焼 焼蚕豆
止肴は、可能蟹白子酢掛 千切野菜 巻若布
食事は、輪島産ハザ干しコシヒカリ 釜炊き白御飯
御菜は、高野豆腐 生若布旨煮 きんぴら牛蒡
止椀は、田舎味噌汁 滑茸 豆腐 葱
デザートは、三宝柑ゼリー寄せ
料理の素晴らしさと器の見事さを堪能しながら、輪島の銘酒を楽しんだ。いつもは料理の中身に関心がいくのだが、これほど器に注目しながら食べたのは初めての経験だ。

私たちのテーブルには、岡垣昌典(輪島漆器商工業協同組合理事長)さんがいて、輪島塗の話を中心に深い話をしていただいたので、すっかり輪島と輪島塗のファンになってしまった。同じテーブルには、三笠書房の柴田さん、女性弁護士の木下さん、文芸春秋の白幡さん、翻訳家の北代さん、北国新聞の松本さんがいて、話の輪に加わった。

この会には40人ほどが参加していたが、テレビや雑誌などのメディア関係者が多い。加藤タキさんや中尾ミエさんも楽しんでいた。輪島市の関係者の方々は志が高く、人柄もいい。熱いファンが増えただろう。優れた企画だった。

日本の文化は実に奥が深い。私自身も含めて日本人は日本へ向かうべき時代が来ていると改めて感じた会だった。

この会で次は能登の輪島に出かけようということなった。












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Last updated  2009/02/15 10:01:31 AM コメントを書く


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