宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

ある椅子の思い出




あそこに一つの椅子があったときは、
来たければ誰がどんな理由で来てそこに座っても良かった。
苦しい心を伝える為でも、喜びを伝える為でも、
あいたいと思う心がその椅子に座らせるのなら、
私はただそこにいて本を読んでいればよかった。
その椅子に座る心が、恋でも友情でも、自分の為でも他人の為でも、
私はただ音楽を聞きながら、本を読んでいればよかった。

ごめん。

私は子供の頃から愚にもつかない事ばかりを考える子で、
こうして、すごくすごく現実的に生きているのに、
やっぱり大切な時は、馬鹿だと言われる道を選んでいて、
心が行かなくっちゃって言うから、椅子はもう置いておけなくなった。







でも、今度、
今度・・・ね、
林の中に新しい椅子をつくろうと思うの。




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