宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

僕が僕であるために

いまは天にいまさむ うつくしき微笑

いまわれに映りて 我が眉みそらに昴る・・・・・。



犀星がみまかりたまいし父上におくった『愛の詩集』の最初の一ページ目。

私の部屋に一冊の汚れたバイブルがある。~~~
寒さや飢えや病気やと戦いながら、私の詩が一つとして世に現れないころに、私はこのバイブルをふところに苦しんだり歩いたりしていた。
私はこれからもこのバイブルを永く持って、物悲しく併し楽しげな日暮れなど声高く朗読することであろう。ある日には優しい友等とともに自分の過去を悲しげに語り明かすことだろう。どれだけ夥しく此聖書を接吻することだろう。



犀星の父上は真言宗の人だったのに、ぼろぼろになっても愛しんだのはバイブルなのだ。若くして逝ってしまったサンタさんに、その年の暮れ私がおくったそんな犀星の最初の五ページ目。私は子供の頃、『僕の生い立ち』で犀星を好きになったが、それはサンタさんに言ったことはなく、その好きな詩の前のページの五行目。
それは今夜はもう遅いから書かずにすませよう。
サンタさんは犀星より聖書より尾崎豊が好きだったし。
尾崎と矢沢永吉を聞いて欲しいと、全曲テープに入れて持って来た日が思い出される。
サンタさん二十歳頃。


僕は~尾崎豊は好きじゃないです。バンドやってて、音楽にうるさいI君が言った。
どうして?私が聞くと、う~ん、なんていうか、彼らはすぐ叫ぶでしょ?わざと自分をひねさせて不幸がってるような気がするんですね。そう思いません?そう聞いた。
ま、ね。私はどっちにしたって相手を思いやってる恋歌が好きだから。。。

しかし、まー、鏡の・・・なんだっけ、そういういい歌もあったし、いいものは持っていたから実に実に思いやれないところまでいけないそこが惜しいと思いつつ一応全曲聴いた。

どうだった。サンタさんが聞いた。
うん、音楽的にはまずまず。でも尾崎は決定的に間違ってるところがあるね。
僕が僕であるためには勝ち続けなければいけないんじゃなくて、僕が僕であるためには負けると分かってても闘わなければいけない時があるってだけなんだ。

男前のサンタさんの半分もいい男子ではないんだけども、きょう来た子なんか見てると皆二十歳頃はやっぱりなにかを探してるのかな~と少し親しくなってみる。みんな二十歳の頃に知り合った子達だったんだな~とついいろんなことを思う。皆もう三十になり四十になったんだけども。

生きろ!生きろ!若者は這いつくばって生きろ!
死は運命でも、サンタさんのように命の賭けをしてはいけない。






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