非常に適当な本と映画のページ

非常に適当な本と映画のページ

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Category

カテゴリ未分類

(340)

洋画

(279)

邦画

(85)

邦書

(140)

洋書

(57)

ニュース

(735)

DVD

(8759)

Comments

Favorite Blog

まだ登録されていません
2006.11.02
XML
カテゴリ: 洋書

 アメリカ先住民とスパニッシュ系の混血刑事ジョニー・オーウィッツが活躍するミステリー。白人の偏見にさらされながらねばり強く捜査するマイノリティ刑事の姿が描かれている。


粗筋

山の中で土砂崩れが発生した。土砂の中から死体が見付かる。一見事故死のようだったが、現場には被害者以外の足音があり、爆発音がしたことから、これは事故死ではない、と駆け付けたサントクリスト市警のオーウィッツ刑事は直感する。
 発見者のペトリーは、被害者をどこかで見た覚えがあるという。オーウィッツは捜査を開始した。
 被害者の名は直ぐ分かった。ジョン・アップフィールド。不動産業に携わっていた。サントクリスト市の者ではなく、旅行者のようだった。オーウィッツはアップフィールドが泊まっていたホテルの部屋を確認する。スーツケースには女性のヌード写真があった。素人のスナップショットではなく、カメラマンによるものだった。
 アップフィールドの死因は生き埋めだったが、土砂崩れは爆薬によるものだった。つまり殺人である。
 被害者の妻が到着する。ヌード写真の女性は妻だった。被害者はなぜ妻のヌード写真なんか持ち歩いていたのか、とオーウィッツは思う。写真を撮ったのは発見者のペトリーらしいことが判明した。被害者はそのことを知っていたらしい。サントクリスト市に来たのも、ペトリーに妻との関係を問いただす為だった、とオーウィッツは推理する。怪しい。ペトリーは元ベトナム参戦兵で、爆破担当だった。ますます怪しい。ただ、犯人と思われる現場の足跡と一致しない。
 被害者には、ウィリアムズという男と共同で不動産業を営んでいた。ただ、不景気の影響から、経営は苦しかった。サントクリスト市にもビルを所有しているが、ガラガラだという。
 そんな矢先、火災があった。アップフィールドとウィリアムズが所有しているビルの隣にあるオフィスビルである。中から死体が発見された。「プロ」の放火犯だった。保険金を狙うビルの所有者に雇われて放火を請け負う者である。ただ、火災が起こったビルは経営が上手くいっていて、保険金を狙う必要はない。しかし火災の後、賃貸者は隣のアップフィード/ウィリアムズのビルに移った。お陰で、経営難のビルは救われた。
 オーウィッツは、ウィリアムズを疑う。競争相手の客を奪う為に隣のビルを放火させたのでは、と推理する。ただ、アップフィールドの死とどう繋がるのか……。
 オーウィッツの恋人キャシーは、考古学者だった。付近の遺跡を訪れる。そこは爆破されていた。アップフィールド殺害の現場に残されていたのと同じ足跡があった。犯人はここでアップフィールド殺害の為の練習をしていたのだ。
 被害者の妻は、夫の莫大な遺産を相続した。ストリップダンサーをしていた頃からすれば天と地の差である。オーウィッツは彼女も疑う。しかし犯行時、彼女はサントクリスト市にはおらず、爆薬に関する知識もなく、現場の足跡とも一致しない。
 オーウィッツは、ふとした機会でウィリアムズの家を訪れる。すると、彼の足跡こそ現場にあった足跡だと知る。ペトリーの知人で、別荘を建てる際、土地をならす為に爆破を使ったが、その知識に関してはペトリーから手ほどきを受けていた……。

 ……アップフィールドとウィリアムズは共同で不動産業を営んでいたが、アップフィールドは財力があった為本業が利益を生み出さなくても大丈夫だった。が、ウィリアムズは資産家ではなかった。ウィリアムズは、所有しているビルの収益を上げる為、隣のビルに放火しようと考えた。アップフィールドがそんな計画に同意する訳がないので、アップフィールドを殺すことにした。
 この計画にはアップフィールドの妻も参加していた。二人はペトリーに罪を擦り付ける為、アップフィールドに妻のヌード写真を送った。ペトリーに会いに行くだろうと考えたのだ。アップフィールドは二人の思惑通りに動いた。
 ウィリアムズはサントクリストへ飛び、共同経営者を山の中に誘い、爆死させたのである。


楽天ブックス(large)

解説

……という、ストレートな、意外性やメリハリに欠けるストーリー。
 オーウィッツが現場の足跡が被害者のビジネスパートナー・ウィリアムズだと気付くのにかなり時間がかかるのは呆れた。サントクリスト市警は足跡の型を取らないらしい。型を取らないまでも、関係者を渡り歩いて足跡を確認していれば直ぐ発覚しただろう。なぜそれくらいのことをしなかったのか。
 足跡にこだわる刑事にしては、足跡を積極的に捜査しない。
 サントクリスト市警では、刑事事件捜査は単独で捜査するらしい。本編においても、事件はオーウィッツだけで捜査していて、他の刑事の存在は全く感じない(一人が相棒として登場するが、行動を殆ど共にしない)。オーウィッツの上司も分からずじまい。総勢でローラー作戦をかけて捜査する日本では有り得ない展開である。
 本編には無用と思えるキャラが多い(シリーズのレギュラーキャラか?)。地元の国会議員(昼間なのにやたらと酒を飲む)や、市長や、訳の分からない老人や、売春宿のマダムや、オーウィッツの恋人や、女性地方検事など。
 これらがオーウィッツと敵対して捜査を妨害したり、オーウィッツの味方をよそって実は捜査の足を引っ張ったり、味方ではあるが捜査の早期解決を迫って結局捜査を遅らせたり、あるいは中立的な立場を保ってオーウィッツの捜査を困難にしたり……となっていたらストーリーもそれなりに盛り上がっただろうが、それもない。全員が揃って善人で、オーウィッツを味方するのだ。盛り上がりもサスペンスもない。
 なぜ国会議員や市長が一殺人事件の捜査の行方に関して「解決しないと選挙に負ける」とジタバタするのかさっぱり分からなかった。
 犯人の動機も理解し辛い。ビジネスパートナーを殺して会社を乗っ取り、隣のビルに放火して客を奪う、という手の込んだ行動をとるより、自分のシェアを資産のあるパートナーに売り飛ばして身を引いた方が合理的。合法でもある。なぜ犯罪に走ったのか。
 また、犯行の手口も理解できない。なぜ土砂崩れによる事故死に見せかけようとしたのか。単に殺したら怪しまれる、と恐れたのか? それならなぜパートナーが殺害された直後に放火を決行したのか。パートナーの死は自分に容疑がかかるが、ビルの放火の容疑は自分にかからないと判断したのか?
 付近の遺跡で爆破の練習をしたのも分からない。遺跡なんかで練習したら直ぐ警察が駆け付けて、捜査をするのでは、と考えなかったのか。
 また、放火そのものも分からない。爆破の知識は持っているのに、なぜ自分でやらず、放火犯を雇ったのか。口封じに殺してしまったのも理解できない。自分の罪を増やしただけである。
 しかも、一度の放火で数人の賃貸者を得ることで、不振に喘いでいたビジネスが一気に好転する、というのもおかしい。その程度で好転するならもっと合法的な手があったと思う。
 オーウィッツは、犯人について「頭が良く、危険な奴」と評していたが、犯人は特に頭が良かったとは思えないし、危険でもなかった。
 日本では、放火は入念に捜査され、保険会社も安易に保険金を支払わない、というイメージがある。が、アメリカでは、経営者は経営難に陥ると直ぐ放火し、保険会社も経営者の仕業と知りながらも面倒な法廷争いを嫌って保険金を払ってしまうらしい。保険料を引き上げた方が楽だと考えているのだ。変な国である。
 登場人物の多くは、爆薬の知識を持っていた。アメリカには爆薬を取り扱える奴がわんさといるらしい。
 恐ろしい国である。
 結局一番怪しそうな(オーウィッツに対し差別意識を持っていた)連中が犯人だった、オーウィッツの推理は最初から正解だった、で本編は終わる。
 表紙には「Mystery」の文字が見られるが、結末が四分の一を進んだ段階で読めてしまうミステリーの欠片もない刑事物。
 また、登場人物の名前も紛らわしい。
 刑事の名はJohnny。被害者の名はJohn。同じ名前だ。
 刑事の恋人はCassie。女性検事の名はCathy。発音するとほぼ同じ。なぜこんな名前にしたのだろうか。



関連商品:

人気blogランキングへ

楽天ブックス(large)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.11.20 15:20:09
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: