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2006.11.23
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カテゴリ: 洋書

「レッドオクトーバーを追え」でデビューしたクランシーの第4作目。ジャック・ライアン・シリーズとしては3作目。ニューヨークタイムズ紙でナンバーワンベストセラーに輝いた。


粗筋

冷戦のまっただ中だった1980年代。アメリカはSDI計画を推し進めていた。ソ連から飛来する核弾頭をレーザーで撃ち落とすという防衛システムだ。アメリカはこれで防衛上有利になる、と思っていたが、ソ連でも同様の計画(ブライトスター)が進行中だった。
 アメリカへブライトスターに関する情報を流していたのは、ソ連軍将校フィリトフ。CARDINALという暗号名がアメリカ側から割り当てられていた。アメリカはブライトスターに関する情報を得たいが故にフィリトフを乱用し、ついにフィリトフの活動がソ連諜報局KGBに知られてしまう。フィリトフは逮捕される。
 焦ったアメリカは、極端な行動に出る。KGB局長を脅迫するのだ。危機感を抱いたKGB局長は、SDIのエンジニアを誘拐するという強硬手段に出る。
 一方、ブライトスターの試験場となっている基地に対し、あるアフガニスタン・ゲリラは襲撃の計画を進めていた。それにCIAが手を貸すことになり……。


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解説

ペーパーバックだと550ページ。最近の小説と比較すると特に分厚いものではない。先日読んだケン・フォレットのも450ページだった。しかし、密度が違う。字が細かい。フォレットのと同じ大きさの字にしていたら、550ページは800ページにもなっていただろう。逆にフォレットのを本作品と同じ大きさの字で製本したら300ページ以内に収まったかも知れない。
 ジャック・ライアン・シリーズというものの、彼が主人公とは言い難い。一人の登場人物を中心とした物語ではなく、SDIとブライトスター、そして核兵器削減条約を巡る駆け引きを多面的に取り扱っている小説だからだ。
 トム・クランシーが大ベストセラー作家になったのは、綿密なディテールから。しかし本作品ではいくら何でも多く詰め込み過ぎ。何でこんなシーンを挿入したのか、簡単な説明文で済むではないか、という場面がいくつもあった。
 無論、登場人物も多く、区別が付かない。どうでもいい登場人物の活動まで詳細に描くから中ダレする。
 一つの出来事を多面的に捉えるのは、視点や場面を次々変えることで緊迫度を上げ、中ダレを防ぐ為の筈だが、本作の場合逆効果になってしまっている。
 戦闘場面を除くとこれといった見どころがないのが実状。
 政治家や諜報局同士の駆け引きなど本来ならスリル溢れる筈の場面は、細かさの故展開が遅い。
 結局あまりにも多面的な為、焦点が分散してしまい、読んでいても緊張感が高まらないのだ。
 登場人物を減らして(アフガンゲリラのアーチャーや、レッドオクトーバーの船長だったラミウスなど)、無駄なシーンを省けば(アーチャーによるブライトスター攻撃)、400ページくらいの焦点の定まった作品になっていただろう。
 小説の書き方そのものにも問題がある。改行の仕方を知らんのか、と思いたくなるほど長いパラグラフが多い。ページが細かい字で隙間なく埋まっているのを見て、何度ウンザリしたか。仕事上細かい字でびっしりと埋まった論文を読まされることが多いので、娯楽の読書くらいは読み易いものにしてもらいたい(じゃ、トム・クランシーなんて読むな、て突っ込まれるのかも知れないが)。
 読み応えはあるが、あまりの情報の多さに大抵の読者は処理し切れず、ページをめくった時点で次の情報を受け入れる為にその前のページの情報を忘れなければならないのでは、と思ってしまう。
 とにかく分厚い割には中身が薄く、読み終わっても「やっと読み終えた」という達成感以外は何も残らない小説。やり方によっては面白い作品に成り得たから、残念である。



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Last updated  2006.11.23 13:33:53
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