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2006.11.25
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カテゴリ: 洋書

 世界一のベストセラー作家かどうかは定かでないが、少なくとも五本の指に入る作家の著作。無論、ニューヨーク・タイムズ紙ナンバー・ワン・ベストセラーである。


粗筋

9歳のトリッシュは、兄と母と共にメイン州の大森林を訪れる。母は、父と離婚したばかりだった。その精神的な苛立ちからか、母と兄は喧嘩してばかり。そんな姿を見飽きたトリッシュは、母と兄から離れ、森の中を一人で歩き始めてしまう。
 トリッシュはふと気付くと道が分からなくなり、迷子になっていた。
 早く帰りたい、と焦るトリッシュは、無我夢中で歩き始める。その行動は捜索に出た警察の予測を超えていた。州境を徒歩で渡ってしまったのだ。
 トリッシュの心の支えとなるのはラジオだけ。ラジオはレッドソックスの試合を放送していて、投手トム・ゴードンの活躍を伝えていたのだ。
 持っていた食料は底をつき、トリッシュは川魚やおたまじゃくしを生で食べることを強いられる。病気の為徐々に衰弱していく。自分にとってヒーローであるトム・ゴードンが現れ、彼女に話しかける……。


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解説

キングの作品では、500ページのペーパーバックは当たり前。1000ページの著作も数冊ある。
 本作品は260ページあまり。これほど薄いのはデビュー作の「キャリー」とバックマン名義で発表した「バトルランナー(原題The Running Man)」くらいだろう。
 残念ながら、最近のキングは長々と書くくせがついている。本作品もまともな作家なら150ページ、もしくは100ページあまりで書く内容である。それを無理矢理引き伸ばして260ページにした。
 その為、たった260ページにも拘わらず、信じられないほどだれている。お決まりのようにハッピーエンドで終わるが、その頃にはどうでもよくなっていた。ま、トリッシュは結局死にました、となっていたら本を壁に投げ付けていただろうが。
 変化を盛り込む為か、ベースボールの場面を挿入するなどしているが、キングみたいな野球ファンならともかく、野球に興味がない読者にとって苦痛なだけである。レッドソックスは実在のチームで、トム・ゴードンは実在の選手だが、メジャーリーグを生で観られない読者だとチンプンカンプン。
 本作品はトリッシュの行動だけを追っている。登場人物もトリッシュだけ。兄や母は、最初と最後に登場するだけなのだ。
 通常の作家なら、兄や母の心境や、警察の懸命な捜索の模様などを描いていただろうが、キングはトリッシュのみに焦点を当てることにしたらしい。なぜそうしたのかは不明である。キングのことだから、トリッシュ以外の登場人物の行動を描いていたら、400ページにもなっていただろうが……。
 本作品でも、キングがお得意とする心の闇に住むモンスターなどを描いているが、迫力不足。何よりもトリッシュだけに焦点を当てているので、映画でいえば全篇を二時間にわたる長回し一つで撮影しているのと同じになる。勇気ある(というか狂気に満ちた)映画監督なら面白い試みだと思ってチャレンジするかも知れないが、観る方にとっては苦痛に他ならない。
 キングは、本作品で大冒険をした。その誤った冒険の代償を支払っているのがまともな読者である。
 こんな作家に読者はいつまで付いていけるのか。
 すくなくとも、自分は付いて行くつもりはない。



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Last updated  2006.11.25 19:19:09
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