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2006.11.26
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カテゴリ: 洋書

 イオン・プロダクションによる007映画の第19作のノベライズ。
 著者は原作者のイアン・フレミング、第一後継者のロバート・マーカム、そして第二後継者のジョン・ガードナーに続いて第三後継者となったレイモンド・ベンソン。
 レイモンド・ベンソンは本作以外にもオリジナル007小説を書いている。


粗筋

石油業者のロバート・キングが、イギリス情報局MI6本部で爆死した。犯人は直ちに判明する。レナード・ザ・フォックスというテロリストだ。
 レナードがキングと関わったのは今回が初めてではなかった。1年前、キングの娘エレクトラを誘拐していたのだ。誘拐事件は、エレクトラが自力で脱出したこともあり、失敗に終わっていた。MI6は、レナードがその失敗の復讐のためにキングを爆殺したと見る。
 そうとなると、次に狙われるのはキングの娘エレクトラだ、と判断したMI6局長Mは、部下のジェームズ・ボンドをエレクトラの元に送り込む。エレクトラを囮にレナードをあぶり出し、逮捕する為だ。
 ボンドは、父の石油事業を引き継いだエレクトラがいるアゼルバイジャンへ飛ぶ。そこでエレクトラはレナードの手下と思われる集団に襲われたが、ボンドは撃退できた。
 エレクトラのボディガードが怪しいと睨んだボンドは、彼を監視した。ボディガードは他人を装ってカザフスタンへ行く準備をしていた。ボンドは彼を始末すると、その他人を装ってカザフスタンへ飛ぶ。核燃料施設に到着した。
 その施設では、核燃料を抽出して廃棄する作業が進められていた。そこにレナードがいた。レナードはプルトニウムを盗み出そうとしていたのだ。ボンドは阻止しようとするが、邪魔が入り、レナードはプルトニウムを持って去った。
 ボンドは、エレクトラがレナードと組んで何かをやらかそうとしている、と悟った。
 しかし、確証を得た頃には手遅れで、エレクトラはMを人質に取って消えていた。
 ボンドはエレクトラを探し出し、彼女とレナードの陰謀を知る。イスタンブールを石油設備もろとも核爆発で吹き飛ばして、エレクトラが所有する石油パイプラインが残るようにし、世界の石油事業を独占するという計画だ。イスタンブールで核爆発が起こったら100万人が死ぬ。
 ボンドはエレクトラを殺し、Mを救出すると、レナードが乗った原子力潜水艦に飛び乗り、計画を阻止した。


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解説

かなり入り組んだプロットなのに、文庫本で260ページあまりに収まっている。400字詰めの原稿用紙で400枚前後か。非常に短い。あまりにも短くて小説より台本を読んでいるみたいな気分。
 本作はあくまでも「ノベライズ」であって、「ノベル」、つまり小説でははい。映画を補完するものであって、単体で成り立つものには仕上がっていない。
 そもそも著者のレイモンド・ベンソンは、初の小説が007小説(Zero minus Ten)だったそうで、元々小説家志望ではなかった。彼が書いたオリジナル007小説も「台本を読んでいるみたいだ」と酷評されているらしい。ボンド小説の著作権を持つグリッドローズ出版(現在はイアン・フレミング出版)は、もう少しまともな小説家を選べなかったのかと思ってしまう。
 映画のノベライズなので、プロットは映画そっくり。映画と異なっている点は、レナードの過去が詳細に述べられていることくらいで、著者は映画から少し距離を置いて独自の冒険をしてみようという考えは全くしなかったようである(単にノベライズ執筆の条件だったかも知れないが)。安心して読める反面、「映画とどこがどう違うか」と探す楽しみもなく、素気ない。
 映画の補完物なので、映画のプロットを追うので精一杯。キャラも薄っぺらな印象を受ける。本作には第二のボンドガールとしてクリスマス・ジョーンズが登場するが、上記の粗筋では全く触れていないことからも分かるように、何の為に登場していたのか分からないほど記憶に残らない(映画でもそうだったが)。
 ボンドの行動も不自然。最初の部分で鎖骨を脱臼して、完治まで数週間激痛に悩まされる筈なのに、何でもないように活動できるのだ。
 プロット面でおかしい点といえば、エレクトラとレナードの関係について、父は勿論、他に誰も疑わなかったこと。作中では、エレクトラはレナードによって3週間も人質にされたとなっている。何かがあったのでは、と考えるのが普通。エレクトラは自らを傷付け、暴行されたように偽造したが、捜査当局がその程度で騙されていいのかと思ってしまう。また、陰謀について二人は何度も連絡を取り合っていた筈。レナードは国際的に手配されていたテロリストなので、エレクトラのような有力者の娘と連絡していたら直ぐ発覚しそうだが……。
 小説面で唯一の救いが、小道具がくどいほど詳細に述べられている点か。これまで省いていたら200ページ程度になり、更に薄っぺらい代物になっていただろう。
 原作者フレミングが書いた007小説では、キャラも小道具も状況も詳細に記してあった為、単純なプロットが無駄に長くなっていた感があったが、こちらは逆に短過ぎ。フレミングらしさが殆ど見られず、ジェームズ・ボンドという同名異人の人物が活躍するだけのライトノベルになってしまっている。
 レイモンド・ベンソンの初の著作はフィクションではなく、James Bond Bedside Companionという007とその作者に関するノンフィクション。フレミングの原作や、マーカムやガードナーによるパスティーシュを辛口批判している。
 それほどのフレミング研究者であるにも関わらず、著作にはその研究の成果が現れていない。フレミングに関しては全くの素人が書いているような作品になっているのは不思議である。
 本作品では007の他に二人の00エージェントが述べられている。009と0012だ。0012はレナードに殺されたことになっていて、009は極東にいるということで、登場しない。
 最後の部分に「2000年問題」が取り上げられている。
 既に時代を感じさせる作品となってしまった。



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Last updated  2006.11.27 09:50:02
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