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2006.11.27
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カテゴリ: 邦画

 宮部みゆき原作。
 矢田亜希子出演。


粗筋

パイロキネシス。火の気のないところに火を点ける超能力。その力を持つある女性が正義のために立ち上がった。それに気付いた超能力者の組織「ガーディアン」が彼女をを追う……。

楽天ブックス(large)

感想

文学賞という文学賞を総なめにしている小説家宮部みゆき原作の初映画化である。
 二、三編しか読んでいないので、ファンとはほど遠いが、何しろ超大作のように派手に宣伝されているので観に行った。
 最近、自分は観に行く映画を二種類に分けるようになった。期待を膨らませて観に行く映画と、期待せずに観に行く映画である。なぜ期待してもいない映画を、金を払ってまで観に行くのか? 説明しよう。
 期待を膨らませて観に行く映画は、つまらないと腹が煮えくり返る。満足できない。しかし、期待していない映画は、面白くても面白くなくても満足できるのである。なぜなら、面白ければ「自分の期待を見事裏切ってくれた!」と満足するし、つまらなければ「チェッ。結局僕の見込みは正しかった」と自己の事前判断に満足できるからである(ひねくれた奴だと自分でも思う。好きでこういう性格に成長したのではない)。
 本作品はどう期待して観に行ったのか? 後者である。満足できたか? 勿論。面白かったか? 採点をごらんになれば明らかであろう。
 本作品の最大の問題点は、原稿枚数で1200枚にも及ぶ超大作(上下巻に分かれている)を映像化したことである。小説は出版社が許す限りどんな大作にでもできるが、映画は二時間、稀なケースで三時間が限度である。さもないと回転率が上がらず採算性に乏しいし、今時映画館で数十時間も座れる奴なんていないからだ。
 では、1200枚に及ぶ大作を二時間程度の作品へと映画化する場合、どうすればいいのか。二つの方法がある。
 一つはプロットの絞り込み。1200枚の大作になると一つの小説と言うより、複数の小説(プロット)が複雑に絡み合ったようなものになる。したがって映画化する際は小説全体を解きほぐし、映画化に値するプロットだけを抽出し、他のプロットは容赦なく切り捨てる。この方法の問題点は原作の読者から「原作と全く違う!」とクレームが付けられることであろう。
 もう一つの方法はプロットの簡素化である。小説全体をダイジェスト化し、何もかも二時間の中にぎゅう詰めにすることである。
 本作品の製作者は、後者の方法を取ったようである。
 したがって、この方法の問題点が浮き出てしまっている。
 まとまり感がない。
 付け足したようなシーンの連続。
 原作を簡略化し過ぎてストーリーがない。
 原作は1200枚もあるから「ガーディアン」という超能力者の組織について深く掘り下げて説明してあるのだろうから、説得力も存在感もあるのだろう。ただ、映画は何度も言ってるが二時間程度しかない。大した説明がなく、「ガーディアン」が仮面ライダーの悪玉組織やオウム真理教のようなアホ組織に成り下がってしまっている。説得力も存在感もない。仮面ライダーの悪玉組織の方がまだ説得力があるかも知れない。
 また、本作品には別のパイロキネシス超能力者が出てくるが、はっきり言って必要だったのだろうか? 芸能プロダクションが「我が社の新人タレントを売り出したいので出演させてくれ」と製作者側に頭を下げて入れてもらったとしか思えない。その子役以外にも、ストーリーに特に貢献しないキャラクターがまるで俳優失業対策の為のように盛り込まれている。
 矢田亜希子演じる主役もはっきり言って馬鹿。人が大勢見ている中で車なんか燃やすから、直ぐ警察に目を付けられ、警察組織に紛れ込んだ「ガーディアン」の黒幕に利用されてしまうのである(あ、ネタバレでしたね。ごめんなさい)。最後辺りには警察署にのこのこ足を運び、自ら警察の追跡を激化してしまっている。
 桃井かおりは本作品で刑事を演じているが、以前観たテレビドラマ(刑事役ではない)をまた観ているような錯覚に見舞われた。役者のキャラクターそのものをそのまま役柄にしてしまう。日本ではこういうのでも演技と呼ぶのか。
 演出もかなり下手。ジョン・ウーを意識してかスローモーションのシーンを満載しているが、ジョン・ウーと違って単に映画のペースを下げているだけで、盛り上がりに全く貢献していない。
 結論としては、本作品は前者の方法を取り、「パイロキネシスを使った復讐劇」というプロットだけを映画化し、「超能力者組織ガーディアンとの死闘」のプロットは割愛すべきだった。そうすれば単純で、魅力ある映画になったのに、そうしなかったから「二兎追う者一兔も得ず」の事例となってしまった。
 そもそも、宮部みゆきなんて映画化に値するほど面白い小説を書いているのか。売れているのは確かだが、売れているからと言って面白いとは限らないし、仮に面白いとしても映画化に値するとは限らない(だから今まで映画化されなかったのか)。


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Last updated  2006.11.27 16:33:26
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