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2007.01.02
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カテゴリ: 邦画

 横溝正史原作の映像化。1976年に市川崑監督が映像化したものを、同じ監督が30年振りに映像化された。
 主役の名探偵金田一耕助を演じるのは、1976年版と同じ石坂浩二。他に、出演者は松嶋菜々子 、尾上菊之助 、富司純子 、松坂慶子 、萬田久子 、葛山信吾 、池内万作 、螢雪次朗 、永澤俊矢 、石倉三郎 、尾藤イサオ 、嶋田豪 、三條美紀 、松本美奈子 、林家木久蔵 、三谷幸喜 、深田恭子 、奥菜恵 、岸部一徳 、大滝秀治 、草笛光子 、中村玉緒 、加藤武 、中村敦夫 、仲代達矢。やけに豪華。


粗筋

終戦から間もない昭和22年。
 犬神財閥の総帥で、犬神家の当主である犬神佐兵衛(仲代達矢)は、腹違いの3人の娘(富司純子 、萬田久子、松坂慶子)とその息子ら、大恩人の孫娘野々宮珠世(松嶋菜々子)を残して死去。巨万の遺産が一族の争いの元凶となることを予期した法律事務所の若林は、金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼する。
 しかし、依頼者の若林は早々と殺されてしまう。金田一は、若林の上司である弁護士(犬神佐兵衛の遺書を管理)に雇われることに。
 ようやく公開された遺言状は、次の通り。大恩人の孫娘珠世に犬神家の財産全てを相続させる、と。ただし、彼女が相続するには、自分の娘の息子らのいずれかと結婚しなければならない、となっていた。珠世が息子らとの結婚を拒んだ場合は、財産は分割され、娘の間で分けられる、ということになっていた。
 犬神佐兵衛の3人の娘らは、この遺言状の内容に激怒。なぜ財産を一族の者でない女に渡さなければならないのだ、と。
 金田一は、この遺言状は危険だ、と感じる。その予感通り、殺人事件が次々起こる。
 最初に殺されたのは三女の息子。斬首され、人形の首と挿げ替えられていた。その次に殺されたのは次女の息子。首を絞められていた。
 容疑は長女の息子に向けられる。長女の息子は、大戦で傷を負い、顔を覆面で隠していた。もしかして長女は他人を息子の代わりとして連れてきたのではないか、と思われていたが、手形実験により本人と判明。
 その長女の息子も湖で死体と発見される。
 金田一はようやく真相を掴み、犯人を指摘する。
 犯人は長女だ、と。
 三女の息子と、次女の息子は、長女によって殺された。これらの殺人は、二人の人物によって目撃されていた。長女の息子(本物)と長女の偽息子(顔に傷を負い、覆面で顔を隠していた人物。実は犬神佐兵衛が別の女に産ませた子供)。偽息子は、息子に対し「このままではお前の母親は殺人犯として逮捕されるぞ。俺の言う通りにしろ」と脅し、死体を処理したのだった。ようするに、殺人犯と、死体遺棄犯が別人物だったのである。
 湖で発見された長女の息子(偽息子)も、長女によって殺された。偽息子は自分が本物の息子でないことを認めてしまい、それに長女が激怒したのだった。
 長女は、珠世に対し、「死体遺棄に手を貸した息子が出所するまで待ってくれ」と言い残し、自決する。


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感想

キャストはやけに豪華なのに、全体的に盛り上がらない作品。
 驚きが全然ないから。
 一番怪しかった長女がそのまま犯人だったのだ。
 金田一が「犯人はあなたですね」と最終的に指摘した時、あまりにも捻りがなかったので、愕然とした。

 一番分からないのは、犯人である長女の行動。
 突発的に三女の息子を殺し、その場を後にした。息子と偽息子は、その死体を自分らの判断で処理し、長女に容疑か向かないようにした。
 当然、長女は死体が何者かに処理されたと知って、驚く。
 通常ならここで殺人をやめるのが妥当なのに、今度は次女の息子も殺害。そのまま放置し、また息子と偽息子に処理させる。
「一体誰が、どういう理由で自分が殺害した者の死体を処理しているんだろう?」と考えなかったのか。一瞬でもそう考えていたら、殺人に次々手を染めることはなかったと思われる。
 作中で、長女は「私たち姉妹は父犬神佐兵衛の呪縛から逃れられなかった」と言い切るが、作品を観ている限りでは、犬神佐兵衛の呪縛から逃れられなかったのは長女だけ。次女と三女は別に呪縛も何もなく、それぞれ息子を殺されてしまい、えらい迷惑。次女と三女からすれば、「お前が言うな!」てとこだろう。
 最終的には、長女の息子と、相続人である珠世は結ばれることになるが……。
 それだとまさに犯人の長女の思い通りになってしまう。莫大な財産を相続するのだから。
 次女と三女からすれば、面白くないどころか、激怒ものだろう。息子を姉に殺されるは、姉の息子と相続人が遺言状通りに遺産を相続する為自分らは相続できないは……。踏んだり蹴ったりである。
 犬神家相続殺人がまた起こるような気がする。
 そもそも殺人劇に至った理由も、よく分からない。遺言状では「珠世が全財産を相続する」となっていたが、それはあくまでも彼女が長女・次女・三女の息子ら3人のいずれかと結婚した場合、となっていた。彼女が結婚しなかった場合、財産は分割され、長女・次女・三女に渡るようになっていたのである。長女・次女・三女は、自分らの息子と珠世をくっ付けようと画策するより、珠世が誰とも結婚せず、財産を分割させる方法に向かった方が良かったのではないか。犬神家の財産は分割しても巨額になる、ということになっていたのだから。なぜ独り占めにせねばならなかったのか、よく分からない。腹違いの姉妹に分けて堪るか、という考えもあったのだろうが……。
 現在の法律では、よほどのことがない限り「赤の他人に財産を相続させ、子に財産を相続させない」といった内容の遺言状は有効と見なされないので、非常に違和感がある。

 演出もイマイチ。
 どの俳優も「我々は演技してますよ!」と言わんばかりに演じていて、リアリティがない。
 名俳優らの演技力、て所詮この程度なのか、と思ってしまった。
 邦画の悪さが出ているといえる。
 30年前は「良い演出」だったのだろうけど。監督の市川崑は、最近の映画を見ていないらしい。

 特撮も非常にチャチで、2時間テレビドラマレベル。
 斬首された首なんて、どこかの玩具屋から買ってきたものをそのまま利用したようで、出演者がそれを見て悲鳴を上げるのを観て噴き出しそうになった。
 また、手漕ぎボートに死体を処理した際の血が残っている、というシーンがあった。今時血は時間が経つと黒ずんでしまう、なんて知らない者はいないと思うが、本作では鮮やかな赤。その意味でもテレビドラマレベル。

 作品にはユーモアのつもりの部分が散りばめられていたが、どれも親父ギャグレベル。
 場違いな感じが否めなかった。

 時代考証にも滅茶苦茶な部分が。
 本作は昭和22年(1947年)を舞台とする話。
 作中で登場する車はクラシックカーや、駐留軍から払い下げられたというジープ。
 自動車は古臭いのに、あるシーンで登場するボートは非常に現代的で、このシーン以降、本作の時代設定がいつなのか完全に分からなくなってしまった。

 キャスティングも「?」な部分が多かった。
 松嶋菜々子が演じた珠世は「美人」という設定だが、松嶋菜々子は頬がやけに膨れた、顔のでかい女にしか見えず、違和感が。松嶋菜々子の劣化振りにはちょっと戸惑った。
 深田恭子は、金田一が宿泊した旅館の仲居を演じていた。が、演技はちょっと前のテレビドラマ「富豪刑事」の令嬢刑事と全く同じ。富豪刑事が仲居のコスプレをしているようにしか見えなかった。日本の俳優、て作品ごとに異なる演技ができないのかね。
 最大の問題は、主役を演じていた石坂浩二。30年前に演じた時は30代で、小説の設定とあっていたと思われるが(別の作品「獄門島」によると、金田一耕助は徴兵され、大戦中はアジアに出兵していた)、現在石坂浩二は60代。歳を取り過ぎている。なぜ同じ役者を使うことにしたのか、理解不能。

 金田一耕助は名探偵ということだが、本作を観る限り「どこが名探偵なのかね」と思ってしまう。
 正直、存在感がまるでなく、なぜいたんだろう、としまいには疑ってしまった。

 あと、珠世と長女の息子は結ばれる、ということだが、珠世は実は犬神佐兵衛の大恩人の孫娘ではなく、犬神佐兵衛の孫娘であることが明らかになる。近親相姦、というほど血は濃くないものの、祖父が同じ、というのはまずくないかね。

 脚本、演出、キャスティング全てにおいてイマイチ感が。
 非常に不満の残る作品だった。
 いい加減、金田一シリーズの映像化はテレビドラマに留め、映画化はやめたらどうか。


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Last updated  2007.01.02 09:12:12
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