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2015.02.07
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カテゴリ: 邦画

ジョーカー・ゲーム
(C)2015「ジョーカー・ゲーム」製作委員会
映画「 ジョーカー・ゲーム
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 主人公を演じるのはジャニーズ系アイドルグループKAT-TUNのメンバー・亀梨和也。
 他に、伊勢谷友介、深田恭子、小澤征悦、嶋田久作が出演する。


粗筋

架空の第2世界大戦前夜。
 陸軍士官学校で訓練を受けていた嘉藤(亀梨和也)は、重大な規律違反で極刑に処される事に。が、刑の執行直前に結城中佐(伊勢谷友介)に救われる。
 結城中佐は、D機関という諜報機関を組織した人物だった。これまでは民間人をスパイとして起用していたが、今回初めて軍出身の嘉藤をスカウトしたのだった。
 嘉藤は、他の候補生と共に数々の訓練を乗り越え、スパイとなる。
 初の任務で、大陸のある都市に送り込まれる。
 新型爆弾の設計図が載った「ブラックノート」を取って来い、という任務だった。
 ブラックノートは、元々ドイツ軍によって作成されたのだが、今はアメリカの大使の手元にあった。大使は近々アメリカに帰国するので、その際にブラックノートもアメリカに渡る、と推測された。
 嘉藤は、アメリカの大使館に忍び込み、ブラックノートを奪う事に成功。
 しかし、ブラックノートを欲しがっているのは、日本だけではなかった。イギリス情報部が介入し、争奪戦が始まる……。


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感想

 スパイ映画だというので、和製007を期待していたのだが……。
 ルパン三世実写版になっていた。
「ブラックノート」というお宝。謎の美女。不気味な悪役。死んだ、破門されたと思っていたら結局は全員仲良く生き残って丸く収まる愉快な仲間たち。自動車で逃げる主人公を某機関の者が同じく自動車で追うラスト……。
 日本でスパイ映画を製作すると、どうしてもルパンになってしまうらしい。
 といっても、流石に本作並にルパン三世をパクってしまうと、そちらの原作者から訴えられそうだが。
 何故原作をモンキーパンチではなく柳広司にクレジットしたのかが不明。

 本作の最大の問題は、どういった映画にしたかったのかが分かり辛い事。
 原作はシリアスな小説らしいのに、本作はどことなくコメディタッチ。
 にも拘わらず肉体派アクションも中途半端に絡めている。
 コメディにも、アクションにも、アクションコメディにもなり切っていない。
 大人の鑑賞に堪え得る作品を目指しているにしては、童顔のジャニーズ系アイドルを主人公に据える等、真剣さが覗えない。
 といって、第二次世界大戦前を時代設定としたスパイ映画という題材自体は、若者・女性向けではない。

 登場人物の設定も、グダグタ感が漂う。
 嘉藤は、軍出身ながらも諜報員としての素質を持ち備えた優秀な人材だったので、結城中佐によってスカウトされた、という事になっている。
 スパイ養成学校では、嘉藤は優秀振りを存分に発揮し、他の候補生らを感心させている。
 が、いざ訓練を終えて任務先に向かうと、途端にポンコツ振りばかり披露する様に。
 ブラックノートを奪いにアメリカ大使館に忍び込むのだが、自信を持って隠し場所だと目星を付けた金庫には全く無関係の書類しかなく、日を改めて再び忍び込む羽目に。「下手な鉄砲撃ちゃ当たる」と言わんばかりに探し回り、漸く見付ける。
 やっと奪ったのだからさっさと戻って仲間に渡せば任務は完了するのに、大使館に勤めていた薄幸な謎の美女(深田恭子)の手助けに執着。
 謎の美女は、実はリンという、フリーランスのスパイだった。リンはブラックノートを嘉藤から奪い、逃走。嘉藤は、彼女を追って町中を走り回る。漸く追い付いたら、リンを雇っていたイギリス情報部と鉢合わせ。捕まってしまう。
 嘉藤は、D機関の仲間の助けもあり、再びブラックノートを奪って逃げる事に成功するが、リンを助けなければという発想に捉われ、無駄なリスクを犯す。
 見え見えのハニートラップに引っ掛かりまくりのスパイの、どこが優秀なのか。
 学校では優秀な成績を収められるが、いざ社会に出るとまるで使い物にならないポンコツ社会人そのものである。
 これだったら、「嘉藤は何の取り得もない男だったが、ふとした事でD機関に拾われ、スパイとしての訓練を受けるが、そこでも何の才能も発揮出来ない。しかし、諸事情により訓練の途中で現地に送られる羽目になった……」という設定にしていた方が、未熟さにも説得力を持たせられただろうに。
 何故無意味に「優秀」なキャラにしてしまったのか。

 本作で繰り返し述べられる言葉が、「死ぬな、殺すな」。
 スパイは他人を殺しまくっていたら目立ってしまい、任務を遂行出来なくなる(ハリウッド映画のスパイはあまり遵守しないが)。無論、スパイ本人が死んでしまったら、任務の完遂は無理。
 したがって、スパイは無闇に人を殺すべきでないし、本人も自決すべきではない、という考えは、理に適う。
 ただ、「死ぬな、殺すな」は、あくまでも任務の遂行に不可欠だからこそ繰り返し述べられている筈。人道的観点に立って生まれた言葉ではない。寧ろ人道的観点とは正反対の、冷酷で非情な論理に基づいている。
 にも拘わらず、本作では「死ぬな、殺すな」はまるで「義理人情を重視しましょう」という意味で使われている。嘉藤がハニートラップ女を繰り返し救出しようとするのも、「死ぬな、殺すな」を義理人情の事だと勘違いしていて、製作者側もそれを後押ししているから(ジャニーズ事務所から、所属アイドルが演じる主人公を冷酷非道にするのはNG、と通達を受けているかの様)。
 製作者側が言い出した言葉なのに、その言葉の本質を捉え切っていないのは悲しい。
 同時に、臨機応変に考え、動けなければならないスパイを、こうした鉄則で縛ってしまうのは、おかしいのではないか、とも思う。

 俳優の演技も、イマイチ感が漂う。
 亀梨和也は、公開の時点で30歳にも手が届き、俳優としての出演作も多い筈なのだが、まるで深みを感じさせない。
 未だに新人の、顔だけが自慢のアイドル、といった佇まい(その自慢の顔も、ジャニーズ系アイドルに特に興味がない者からすれば十人並みでしかない)。
 深田恭子にいたっては、既に三十路を超えていて、10代半ばのデビューから20年近くのキャリアを積んでいる筈なのに、台詞が全て棒読み。見せ場である筈のアクションシーンも切れがなく、重そうに映る。顔は悪くはないのかも知れないが、三十路過ぎの女を今更良い悪いとケチを付けてもしょうがない。
 唯一存在感を出していたのは伊勢谷友介だが、彼も結局は漫画風の設定になってしまったキャラを見事漫画風に演じ切っただけ。

 本作は、外国人俳優が多数登場する。
 国際色を出したい、という思惑からなのだろうが……。
 外国人俳優は、当然ながら英語の台詞を喋っていた。
 が、日本語の脚本を翻訳家に渡して「直訳して下さい。意訳は避けて下さい」といったつまらぬ注文を付けてしまったらしい。文法的には破綻していないが、台詞として喋らせると不自然に感じてしまうシーンばかりになってしまった。
 脚本を書き上げる段階で日本語と英語の双方を理解している者に読んでもらい、不自然な部分を確認させられなかったのか。脚本の段階では、不自然さに気付き難い、という側面もあるのかも知れないが。
 それでも、撮影がある程度進んだら、ラッシュ試写がある筈。その段階で英語力がある者を招待していたら、「英語の台詞が不自然ですよ」と指摘を受け、撮り直しも出来ただろう。
 その程度の手間を拒んだ結果、外国人にはとてもではないが見せられないチープな代物が出来上がってしまった。
 よくバライエティ番組で、変な日本語を使う外国人や、海外で誤解されている日本文化を探し出しては笑う、というのがあるが……。日本も英語においては結局同じ様な過ちを繰り返している。
 亀梨和也にも英語の台詞があるが、「イーオンの英会話学校でしっかり学習しました」という程度のレベルで、誉められたものではない。

 本作が公開されていたのと同じ時期に、元007のピアース・ブロスナン出演作「NOVEMBER MAN(邦題スパイ・レジェンド)」も公開されていた。
 そちらが大人向けのスパイアクションなら、こちらはお子ちゃま向けスパイアクション。
 邦画は、どうあがいても洋画には勝てない。

 結局、ジャニーズアイドルのプロモーションビデオを、金を払って観た鑑賞者が一番のジョーカー、という事らしい。


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Last updated  2015.06.21 10:03:48
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