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2017.11.07
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カテゴリ: 洋画

 アンソニー・ジョンストンとサム・ハートが2012年に発表したグラフィックノベル『The Coldest City』の実写映画化。
 ベルリンの壁崩壊直前のドイツを描いている。
 主演はシャーリーズ・セロン。
 他に、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、ソフィア・ブテラが出演している。


粗筋

 1989年。
 社会主義国東ドイツの首都ベルリンでは、民衆が自由を求めて抗議活動を展開していた。
 東ドイツ政府は抗議活動を最早抑え込む事は出来なくなっていて、ベルリンの壁が崩壊するのは時間の問題だった。
 そんな中、ベルリンに潜伏中だったイギリス情報局MI6の工作員ガスコインが殺害される。ガスコインは、ソ連を含む東側諸国に潜伏している西側諸国の工作員のリストを入手していた。ソ連側に渡ったら、西側諸国の諜報局は壊滅的なダメージを受ける。何が何でも回収しなければならなかったが、ガスコインの遺体からリストは発見されなかった。殺害者が奪ったのだ。ただ、ソ連側に渡った様子も無い。殺害者はソ連諜報局KGBそのものではなく、第三者で、KGBに高値で売り付ける目的で奪ったらしい。
 MI6は、リストを回収すべく、女性工作員ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)をベルリンへ向かわせた。ロレーンは、リストの回収の他、ガスコインを裏切った二重スパイ「サッチャル」を炙り出し、殺す事を命じられていた。
 ロレーンとガスコインは、行動を共にしていた時期があった。「サッチャル」の殺害には適任と思われた。
 ロレーンは、ベルリン支部の責任者デヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と行動を共にし、リストの行方を探る。
 ただ、ベルリンに到着直後にKGBに狙われる等、ロレーンの素性も行動も、敵側にほぼ筒抜け。タッグを組んでいるパーシヴァルも食えない男で、信用出来ない。しかも、ベルリンは壁の崩壊間際で緊張感に満ちていた。
 ロレーンは、孤軍奮闘を強いられる。
 ガスコインにリストを渡したのは、スパイグラスという、東ドイツ人だった。スパイグラスは、リストと引き換えに、西側への亡命を希望していた。スパイグラスは、パーシヴァルと接触。リストを提供したのだから、亡命を手助けしろ、と。パーシヴァルは言う。ガスコインが殺され、リストは行方不明なので、亡命は手助け出来ない、と。それに対し、スパイグラスは言う。リストの内容は全て暗記しているので、自分を亡命させれば、リストを手に入れたも同然だと。これを知ったロレーンは、スパイグラスを亡命させる事にした。
 ロレーンは、KGB責任者アレクサンドルや、フランス諜報局の女性工作員デルフィン(ソフィア・ブテラ)からも接触される。誰もがリストの行方を探すのに躍起になっていた。
 一方、パーシヴァルは、ガスコインを殺してリストを奪った元KGB工作員と接触する。二人は旧知の間柄だった。パーシヴァルは元KGB工作員を殺害し、リストを奪う。彼は目的のリストを手に入れながらも、その事をロレーンに知らせず、何食わぬ顔でスパイグラスの亡命工作に加わる。
 ロレーンは、トラブルを察し、自前の協力者を使って、スパイグラスを亡命させようとする。案の定、アレクサンドル率いるKGB暗殺部隊がスパイグラスの殺害を試みるが、ロレーンの機転により阻止出来た。
 ……と思ったのも束の間、スパイグラスは何者かに撃たれる。パーシヴァルによって撃たれたのだが、ロレーンはそんな事を知る由も無く、怪我を負ったスパイグラスを連れて、追跡してくるKGB暗殺部隊から逃げる。
 KGB暗殺部隊の執拗な追跡により、スパイグラスは殺され、ロレーンは命辛々その場を脱出した。
 ロレーンは、スパイグラスを亡命させる事に失敗し、リストの回収にも成功していない事を、上層部に報告する羽目に。彼女としては、何故自分の行動がここまでKGBに筒抜けだったのかの解明が急務となった。
 パーシヴァルがKGB工作員に通じていた事、そしてリストをそのKGB工作員から奪っていた事を、デルフィンがもたらした情報から知ったロレーンは、彼こそ「サッチェル」だとして殺害。リストを奪う。
 MI6に戻ったロレーンは、リストは回収出来なかったものの、二重スパイの「サッチェル」は始末出来たと報告した。MI6は、リスト回収を失敗し、パーシヴァルを殺害した事でロレーンを処罰したかったが、ベルリン支部の責任者が二重スパイで、今回の件の発端となったガスコインの殺害にも一枚噛んでいたという失態が公になってしまう恐れがあったので、何の処罰も出来なかった。
 3日後。
 ロレーンはパリにいた。アレクサンドルと接触。
 実はロレーンこそ、KGBに情報を流していた二重スパイ「サッチェル」だった。
 アレクサンドルは、リストをロレーンから受け取る。この時点でロレーンを用済みと判断し、彼女を始末しようとする。
 しかし、ロレーンはアレクサンドルの思惑を読んでいて、彼を殺害。
 その足で、米国諜報局CIAの責任者(ジョン・グッドマン)が待つ航空機に乗り込む。
 ロレーンは、二重スパイではなく、三重スパイだった。
 MI6に協力する振りをしていながら、KGBに通じていて、MI6の情報をKGBに流していた。
 ……という振りをしながら、実はCIAにMI6やKGBの情報を流していたのだ。
 MI6とKGBの頸木から漸く離れたロレーンは、アメリカへと帰る。



感想

 スパイ映画らしく、裏切りが横行していて、敵味方が分かり辛い。
 主人公のロレーンも裏切り者だった、という結末になっている。
 裏切りが多いのは事実だが、登場人物全員がいずれも一癖二癖ある連中なので、鑑賞者の意表を突くどんでん返しにはなっていない。

 それどころか、どんでん返しにしよう、という発想すら無かったらしい。
 パーシヴァルがスパイグラスを撃つ場面や、元KGB工作員を殺害してリストを奪って独り占めにする場面はしっかりと観られる。
 更に、ロレーンによって殺害される場面で、パーシヴァルは「俺を『サッチェル』に仕立て上げるつもりか」といったセリフを放つので、この時点でロレーンこそサッチェルだというのも分かってしまう。
 ここまで自らネタバレして、意表を突く事を拒む映画も珍しい。
 最後の、「サッチェルことロレーンは、三重スパイだった」というどんでん返しをお膳立てする為だったと考えられなくもない。が、ここまで二重スパイがガンガン登場すると、三重スパイだったという事実も、そう驚きは無い。

 登場するキャラの言動も、不明なのが多い。
 パーシヴァルが悪徳工作員であるのは、初登場した時点で分かってしまう。どうせ殺すなら、何故スパイグラスを再会を果たした時点ではなく、亡命工作の真っ只中に撃つ(即死には至らなかった)真似をしたのか、分からない。
 パーシヴァルに関しては、謀略が横行するベルリンにはまり過ぎて、自分でも訳が分からなくなる程敵味方を裏切る羽目になった、と言えなくもないけど。

 主人公のロレーンは、凄腕の工作員、という設定になっている。 
 大部分に於いては、凄腕振りを発揮してみせるが、鈍感だなと思ってしまう場面も。
 デルフィンは、パーシヴァルに騙されていた事実を知り、彼の裏切りに関する情報をロレーンに渡す準備をする。その時点で、パーシヴァルが侵入し、彼女を殺す。丁度その頃、ロレーンがやって来て、パーシヴァルは逃げ出す羽目に。ロレーンは、デルフィンが死ぬのを阻止出来なかったものの、パーシヴァルの裏切りに関する決定的な証拠は得られた。
 この場面で分からないのは、デルフィンの自宅を訪れたロレーンは、ドアベルを押すものの、デルフィンがなかなか現れないのを不審に思わず、ドアベルを執拗に押すだけに留めている事。その間に、デルフィンはパーシヴァルに殺されてしまう。もし、ロレーンが異常を察して、部屋にまで駆け上がっていたら、デルフィンはぎりぎり死なずに済んだかも。また、ロレーンは、デルフィンが倒れているのを見て、「死んでいる」と早々と諦めるのも分からない。蘇生すれば、息を吹き返したかも知れないのに。息を吹き返したら不味い、と考えたのか。

 登場人物は、死ぬ時はあっさりと死ぬが、それまでやけにしぶとく生き続けるのが多い。
 ガスコインは、冒頭で車に轢かれ、車に2度も押し潰されるが、その時点では死なず、元KGB工作員に頭を撃ち抜かれて、やっと死ぬ。
 パーシヴァルは、デルフィンによってナイフを背中に突き立てられるが、顔を痛みでしかめるだけで、彼女を最終的には絞殺する。重傷を負った筈なのに、その後の行動には支障が無く、ロレーンに頭を撃ち抜かれてやっと死ぬ。
 ロレーンも、殴られたり、蹴られたり、ぶん投げられたりして、体中痣だらけになるが、行動には支障は無い。
 人間はここまで頑丈なのか、と感心する。

 本作では、ソフィア・ブテラがデルフィンを演じている。
 意図していないにも拘わらず、キングスマン、スタートレック・ビヨンド、ザ・マミーそして本作と、彼女の出演作を立て続けに観ている。
 主役としては華が無いが、脇役としては物凄く華のある旬の女優、て事か。
 脇を固める役という事もあり、彼女が演じる役はどれも幸福に終わらない。
 ここまで来たら、主役か準主役として出演し、ハッピーエンドを迎えてもらいたいものである。

 CIA責任者を演じたジョン・グッドマンも、久し振りに見た。
 元々、テレビのコメディ番組でお父さん役を演じてアメリカでは全国的に知名度がアップした俳優。
 コメディ番組が終了した後は、どうしていたのか。
 予想以上に老けていない。

 スパイアクションとあって、本作はアクションシーンには事欠かない。
 シャーリーズ・セロンも、女優にも拘わらず積極的に格闘シーンに絡んでいる。
 間延びしている部分もあるが、こうしたCGにあまり頼らないアクションシーンが挿入されているお蔭で、見応えはある。
 ただ、それだけの映画と考えられなくもない。

 ベルリンの壁崩壊やソ連崩壊は、自分はリアルタイムに観ていて、まだまだごく最近の出来事の様に感じるが……。
 世間では歴史上の出来事らしい。
 作中では、1980年代後半の音楽を頻繁に挿入し、少なくとも現在ではない、という事をアピールしていた。
 この時代の音楽に精通している者なら、分かり易いかも知れないが、この時代の後に生まれた者だと、知らない音楽ばかりで、分かり辛いかも。

 本作は、一部では「女性版007」として持ち上げられている。
 ラストで、主人公が三重スパイで、本作最大の裏切り者であった事が判明してしまう。
 これ以上裏切りがあったら、ただのパロディになってしまうので、続編は多分無く、007とは異なり、シリーズ化は考え難い。
 シャーリーズ・セロンも、シリーズ化に耐えられる年齢ではなくなっているし。







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Last updated  2018.03.16 23:14:49
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