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2023.06.30
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カテゴリ: 洋画



 2023年公開のスーパーヒーロー映画。
「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」第13作目。
 DCコミックスの人気キャラ・フラッシュの初の劇場版。
 フラッシュは実写版は既に製作されているし、映画作品にも登場しているが、主役に据えた劇場版は今回が初。
 DCEUに於いてフラッシュを演じてきたエズラ・ミラーが引き続きフラッシュを演じる。
 他に、DCEU作で出演してきたベン・アフレック(バットマン)、ガル・ガドット(ワンダーウーマン)、ジェイソン・モモア(アクアマン)も数カットながら出演。
 また、1980年代に公開されたバットマンシリーズで主役を演じたマイケル・キートンが、別の時間軸のバットマンを演じる。
 一方、DCEUでスーパーマンを演じてきたヘンリー・カヴィルは、本作では登場しない。
 原題は「THE FLASH」。


粗筋

 フラッシュことバリー・アレン(エズラ・ミラー)は、鑑識員として勤務する一方で、ジャスティスリーグの一員として、世界の平和と秩序に貢献する活動をしていた。
 バリーの父親ヘンリーは、自身の妻ノラを殺害した罪に問われており、近々再審の結果が出る予定だった。が、アリバイを証明するとされた防犯カメラの映像にはヘンリーらしき人物が映っていたものの、顔が映っていない為決定的な証拠には成り得ず、無実の判決が出る可能性は低かった。
 バリーは、この事件で母親のみならず父親まで失った形になっていた。その虚しさにかられ、普段以上の超高速で移動してしまったところ、自身の特殊能力スピードフォースで過去に戻れる事を知る。
 過去に戻る事が出来れば母親を救えるし、父親が無実の罪に問われる事も無くなる、と考えるが、それについて相談されたバットマンことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、過去を無暗に改変するととんでもない事態を招くぞと警告する。
 バリーは、ブルースの警告を無視し、母親を救う計画を実行に移す。
 事件当日、ヘンリーはノラが前日買い忘れたトマトの缶詰を買いに外出。その最中に空き巣が押し入り、居合わせたノラが殺害されてしまった。
 バリーは考える。母親がトマトの缶詰を買い忘れていなければ、ヘンリーは外出する事は無かっただろうから、空き巣にも入られなかっただろうし、殺人事件も起こらなかっただろう、と。
 バリーは過去に戻り、買い物中のノラが使っているショッピングカートにトマトの缶詰を入れ、その場を去る。
 スピードフォースの空間で、バリーは過去が改変されていく模様を確認出来た。満足してスピードフォースから脱しようとすると、謎の黒い人物が突然現れ、バリーをスピードフォースから弾き出した。
 ふと気付くと実家の前にいたが、様子が違っていた。バリーは、10年前の2013年にいる事に気付く。フラッシュとしての特殊能力を会得した日だった。実家でヘンリーと、本来なら亡くなっている筈の母親と接触していると、過去の自分とも出会う羽目に。過去を改変した事により、若いバリーは自身が体験した若い頃とは全く別の陽気な性格になっていた。
 バリーは、若いバリーを警察署に強引に連れて行く。バリーは、そこで稲妻に打たれ、フラッシュの特殊能力を得たのだ。若いバリーを稲妻に打たせ、超高速の特殊能力を会得させる事に成功するが、逆に自身は特殊能力を失ってしまった。
 バリーは、若いバリーに、特殊能力の使い方を伝授しようとするが、若いバリーはその重要性を理解せず、ふざけた行動をするばかりだった。
 そんな中、テレビ放送が流れる。
 ゾッド将軍が地球の侵略を宣言する内容だった。
 その時点でバリーは我に返る。
 10年前の世界に戻ったという事は、スーパーマンとゾッド将軍の戦い(=マン・オブ・スティール)も再び繰り広げられるという事だ、と。
 ジャスティスリーグをこの時間軸でも結成しなければならない、と悟ったバリーは、バットマン、ワンダーウーマン、アクアマン等を探し始める。しかし、スーパーマンとワンダーウーマンの行方は分からず、アクアマンは誕生すらしていなかった。
 ブルース・ウェインの居場所は分かったので、バリーは若いバリーを連れてウェイン邸に向かう。
 しかし、そこにいたブルースは、バリーが知っているブルースではなかった。
 何故ブルースが別人なのか分からず困惑するバリーに、この時間軸のブルース(マイケル・キートン)が説明する。過去の出来事を改変した事により、出来事後の歴史だけでなく、出来事前の歴史も変えてしまったのだ、と。
 バリーは、漸くそれまで感じていた違和感の理由に気付く。若いバリーは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を知っていたが、主役を演じていたのはエリック・ストルツだと言っていた。バリーがマイケル・J・フォックスだろ、と正すとそれは無い、と反論されてしまった。この時間軸では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はマイケル・J・フォックスではなく、当初起用されたエリック・ストルツのまま制作され、公開されたのだった。
 バリーは、ジャスティスリーグをこの時間軸で結成するのは一筋縄ではいかないと知り、ブルースにスーパーマンを探す出す手伝いをしてくれ、と頼む。
 ブルースは、お前の時間軸のブルースがどういう奴は知らないが、自分は既にバットマンを引退していると固辞する。が、2人のバリーに説得され、協力を了承。
 この時間軸ではスーパーマンらしき宇宙人はロシアにいる事を突き止め、3人はバットプレーンでロシアへ飛ぶ。
 3人は、ロシアの基地で監禁されていた宇宙人を救出する事に成功するが、その宇宙人はスーパーマンことカル・エルではなく、従妹のカーラ・ゾル・エル(サッシャ・カジェ)だった。この時間軸では、カル・エルは地球に到着していなかったのだった。
 3人は、カーラをウェイン邸に連れて帰る。
 ただ、ロシアで監禁生活を強いられ、地球人を恨んでいたカーラは、地球の為にゾッド将軍と戦ってほしいというバリーの要請を断り、去ってしまう。
 バリーは、自分がフラッシュとしての特殊能力を再び会得してゾッド将軍と戦うしかないと考え、ブルースの協力を再び煽って稲妻に打たれる。その結果、特殊能力が復活した。
 地球人を恨んでいたカーラだったが、バリーの様に助ける価値のある地球人もいるし、何より共通の敵はゾッド将軍だと考えを改め、バリーに協力する事に。
 2人のバリー、バットマン、そしてカーラことスーパーガールは、ゾッド将軍との戦いを挑む。
 戦いの最中、カーラは衝撃の事実を知る。ゾッド将軍はカル・エルを乗せた宇宙船をとうの昔に回収していた。惑星クリプトンを復活させるのに必要なコデックスを幼いカル・エルから得ようとしたが失敗し、カル・エルは死んでしまったという。コデックスは、カル・エルではなく、カーラが持っていたのだ。
 カーラとゾッド将軍は戦うが、ゾッド将軍に圧倒されたカーラは倒されてしまう。ゾッド将軍はカーラの死体から必要なコデックスを得て、その場を去る。
 同時に、ブルースもクリプトン軍の宇宙船を攻撃する中で命を落としてしまった。
 2人のバリーは過去に戻り、歴史を改変してカーラとブルースを救おうとする。が、何度試みてもカーラとブルースの死に方が変わるだけで、救う事が出来ない。
 その時点で、バリーは漸く気付く。この時間軸ではカーラとブルースは死ぬ運命で、避けようが無い、と。同時に、この時間軸ではゾッド将軍が勝利し、人類は滅亡する、と。母親を救うという歴史の改変は、巡りに巡って人類の滅亡に繋がっていく事を意味していたのだ。
 母親もカーラもブルースも救えない、という事実を受け入れられない若いバリーは何度も過去に戻っては改変を試み続ける。その結果、マルチバースが崩壊し始める。
 そんな中、スピードフォースに、謎の黒い人物が再び現れる。
 この黒い人物は一体何者だとバリーが注視すると、若いバリーの成れの果てであるのに気付く。若いバリーは、世界を救えると信じて何万回も過去を改変している内に、いわゆるダーク・フラッシュと化してしまったのだった。
 バリーは、ダーク・フラッシュに対し、何度やっても無駄だ、と説得を試みる。
 ダーク・フラッシュはそれに逆上し、バリーに襲い掛かる。
 若いバリーが間に入り、致命傷を受け、バリーの腕の中で絶命。若いバリーが死亡した事で、ダーク・フラッシュは消滅した。
 残されたバリーは、崩壊するマルチバースから脱し、自分が行った歴史の改変が無かった事にする。
 バリーは過去に戻り、事件の前日に買い物をするノラと対面。トマトの缶詰をショッピングカートに入れて去る自分自身を目撃する。バリーは、そのトマトの缶詰をショッピングカートから出し、棚に戻す。ノラがトマトの缶詰を買い忘れて店を出て行く姿を見守るしかなかった。
 バリーは自分の時間軸に戻り、ヘンリーの再審の結果が出る日を迎える事に。
 が、もう一度だけ過去に戻り、問題のトマトの缶詰を店の棚の上の方に移動しておいた。
 再審の日、店の防犯カメラの映像が公開される。そこでは、ヘンリーが棚の上の方にあるトマトの缶詰に手を伸ばす為、視線を上に向けていた。その結果、顔がはっきりと映っていた。
 これによりアリバイが成立し、ヘンリーは無罪判決が言い渡される。
 母を失う運命は変えられなかったが、父が無実の罪を着せられたままの運命を変えられたバリーは、満足し、防犯カメラの映像解析技術を提供してくれたブルースに礼を述べに向かう。
 しかし、バリーの前に現れたブルースは、元の時間軸のブルースではなく、違うブルース(ジョージ・クルーニー)だった。
 ヘンリーが無実を勝ち取る、という歴史の改変により、また別の時間軸を生み出してしまったのだった。
 これにより、バリーはこの時間軸でのジャスティスリーグの結成に奔走しなければならなくなった。



感想

 マーベル作のスパイダーマン/ノーウェイホームのDC版、といったところ。
 ノーウェイホームは、3人のスパイダーマンが集結するという、異例の作品だった。
 スパイダーマンは何度も映像化され、リブートされているので、過去のスパイダーマンを集結させる事が可能だったが、フラッシュは劇場版が現DCEUが初。
 フラッシュを集結させられなかったので、代わりにバットマンを集結させた、といった感じ。
 本作では、これまでDCEUでバットマンを演じてきたベン・アフレック、1980年代にティム・バートン監督作でバットマンを演じたマイケル・キートン、そして1990年代にバットマンを演じたジョージ・クルーニーが登場。スパイダーマン程ではないにせよ、バットマン祭りの状態。
 バットマン以外にも、過去のスーパーマンの映像も使用され、スーパーマン祭りでもあった。
 ノーウェイホームが先に公開されていなかったら観ている方も物凄く熱くなったと思われるが、製作時期はともかく、公開は後になってしまったので、マーベルを後追いしました感が拭えないのは残念。
 ノーウェイホームでは歴代のスパイダーマンが一堂に会して互いを助け合う、というストーリー運びになったが、本作では歴代のバットマンはそれぞれ個別に登場するだけで、互いに絡み合うストーリー運びにはなっていない。これだけでもマーベルとDCEUの差が見受けられる。

 バリーが生み出した時間軸ではスーパーマンは存在しない事になり、代わりにスーパーガールが登場。
 劇場版での登場は数十年振り。
 最近の傾向に合わせてアップデートしており、DCEUの全体的な雰囲気に合わせて陰キャラとして描かれているのは新鮮である一方、残念でもある。
 スーパーマン/スーパーガールは陽キャラでないと、バットマンとキャラが被ってしまい、ひたすら暗いだけのものになってしまう。
 サッシャ・カジェの演技は悪くなかったし、見た目も納得が行くものだったので、この1作だけで終わってほしくないが、登場する時間軸では死に、時間軸ごと消滅する、というストーリーになっている。DCEUの制作陣は、折角登場させたこのキャラを今後どうするつもりなのか、そして再登場させるつもりなら、どういうストーリーにするのか、気になる。

 冒頭で、ベン・アフレック演じるバットマンが一応登場するが、本作でのメインのバットマンは、マイケル・キートンが演じていた。
 ティム・バートン版のバットマンから、数十年振りにバットマンを演じた事になる。このところ悪役が多かったので(マーベルのスパイダーマン/ホームカミングでは敵役のバルチャーとして出演)、善のキャラを演じる姿は久し振りに観た。同じ俳優でも役柄が変わるとここまで顔付が変わるのか、と驚く。
 比較的若かったバットマンも、本作ではかなり年老いたバットマンに。
 にも拘らず、主人公である筈のフラッシュを完全に食ってしまう活躍振り。
 タイトルは、「ザ・フラッシュ」より、「バットマンとスーパーガールが登場、そしてザ・フラッシュも一応登場」とした方が正確なのでは、と感じた。
 ティム・バートン版のバットマンが登場したのは物凄く良かったが……。
 よくよく考えると、この時間軸のバットマンは死ぬ。それどころか、人類はゾッド将軍に滅ぼされる。
 ティム・バートン版で、バットマンはジャック・ニコルソン演じるジョーカーと死闘を繰り広げたが、「どっち道30年後に人類は滅ぼされるからそこまで躍起になって戦わなくてもいいよ」と当時のバットマンに伝えなければならないのか。

 ヘンリー・カヴィル演じるDCEUのスーパーマンの登場は無かったが、マルチバースの場面で、過去の映像版スーパーマンらが登場。
 白黒時代に制作されたジョージ・リーブスが演じるスーパーマン、1970~1980年代に制作されたクリストファー・リーブスが演じるスーパーマン、ヘレン・スレーターが演じるスーパーガールが観られた。
 奇妙な事に、ニコラス・ケイジが演じるスーパーマンも登場。
 ケイジはスーパーマンのファンで、2000年辺りに新作映画を企画したものの、結局制作には至らなかった。今回、テスト用に撮影した映像を流用したのかな、と思っていたが、本作用に新たに撮影した映像だったという。ケイジ自らスーパーマンのスーツを着て挑んだとか。そこまでするか、と驚く。
 それだったら、ブランドン・ラウス演じるスーパーマンの映像も使われても良かった気がする。が、許可が下りなかったのか、設定上はクリストファー・リーブスの出演作スーパーマン2の続編なので必要無いと判断されたのか、姿は確認出来ず。ちょっと気の毒。
 というか、DCEUからの降板が決まってしまったから、という理由だけでカヴィルを全く登場させないのも異常だが。

「マン・オブ・スティール」の敵だったゾッド将軍も再登場。
 マイケル・シャノンが再びゾッド将軍を演じている。
 ゾッド将軍の悪党振りは本作も健在。
「マン・オブ・スティール」ではスーパーマンに敗北し野望も打ち砕かれるが、本作ではスーパーガールを倒して野望を達成してしまうのがミソ。
「マン・オブ・スティール」監督のザック・スナイダーとDCEUの制作陣との確執によりスナイダーがDCEUから離脱してしまう、という経緯があった為、ゾッド将軍の再演をオファーされた時、シャノンは悩んだというが、スナイダーが再演すべきと後押ししてくれた為、了承したという。
 このエピソードを聞くだけでも、DCEUはマーベル程制作陣や俳優らに一体感が無いなと感じてしまう。

 ラストで、また別の時間軸のブルースとして、ジョージ・クルーニーが登場。
 クルーニーは1990年代にバットマン・シリーズに出演したが、評価はイマイチで、本人も黒歴史だと言っていた筈なのに、何故今回出演のオファーを承諾したのか不明。
 本人は一般的に言われている程黒歴史だとは捉えていなかったのか、数十年経ったのでポートフォリオの一つとして直視出来る様になったのか。
 いずれにせよハリウッドは心が大きくないと仕事にならないらしい。
 今後の作品にも登場するのか、あくまでも1度だけの再演なのか、現時点では分からない。多分後者。

 過去を改変して過ちを正す、というのはよくあるテーマ。
 本作では、何故かトマトの缶詰に執着する。
 確かに、トマトの缶詰をノラが買い忘れていなかったら事件が発生していなかった可能性が高いが、それ以外にも事件を発生させない方法があるのでは、と思ってしまう。
 ノラは、夫が留守にしている間空き巣に入られ、空き巣と鉢合わせした結果殺されてしまう、という事になっているが、だったら何故バリーはその場に戻り、空き巣を取り押さえなかったのか。
 ヘンリーは妻を殺していない、空き巣の仕業だ、という割には、その空き巣の姿は誰も確認しておらず、作中にもその存在を窺えない。
 バリーも、父親の無実を晴らす為の証拠集めに奔走するが、真犯人を突き止めればその時点で父親の無実が証明される、という考えには至っていない。父親の無実が晴らされればそれで良く、母親が誰に殺されたのかは興味が無い、と言わんばかり。実はヘンリーは意図的ではないにせよ妻を殺害しており、その事実にバリーは薄々気付いているものの認めたくないので、真犯人を突き止める以外の方法で父親を無罪に持って行こうとしている様である。

 本作は、マルチバースでは一つのキャラを複数の人物が演じても違和感は無い、という世間の認識を逆手に取り、DCEUの俳優を刷新してリブートとし、シリーズの再起を図る為の口実として制作された感が強い。
 スーパーマンも、バットマンも、ワンダーウーマンも別の俳優が演じる事になりますが、別の時間軸を描いているので俳優が変わるのは当然です、でもこれまでのDCEUを完全に切り捨てた訳ではないので安心して下さい、というポーズ。
 ただ、観ている側はDCEUを巡るゴタゴタを散々目の当たりにしているので、ポーズに騙されていないというか、冷めた目を向けざるを得ないのが残念。
 ライバルのマーベルは、一度採用した俳優は見切らず、様々なマーベル作に起用し続ける事で俳優が仕事し続け易い環境を整えているし、演じている俳優ら自身が演じているキャラをどう描くか提案出来るようになっている事で俳優と制作陣との信頼関係を築く事にも成功している。要するに、俳優らも制作陣も和気あいあいと作品に携わっている。それがスクリーンを通じて観客にも伝わって来るので、観客も安心して観に行ける。それがマーベルの成功の秘訣だと思われる。
 一方、DCEUの制作陣は、キャラはあくまでもDCの所有物で、演じている俳優はただの顔に過ぎず、俳優らからのインプットは必要無いどころか邪魔で、あれこれ言われるくらいだったら降板させてリブートしてしまった方が良い、と見なしている節がある。それだから俳優らも長期的にコミットするつもりで作品に挑んでおらず、別のDCEU作品の制作に呼ばれたらラッキー、という程度にしか捉えていない。俳優と制作陣に信頼関係があまり無いので、キャラが集結する場面でも俳優らがキャラの格好をして同じ場所にとりあえず集まって撮影に挑みました、といった雰囲気で、和気あいあいとしている様に映らない。
 DCEUが成功するには、まず制作陣が心を入れ替える必要があるのでは、と思うが、その制作陣も責任者が次々と入れ替わっては「前の奴が制作したのは駄目だった。無かった事にする。俺がやれば絶対成功する」という意気込みだけで挑むから結局失敗し続けている。
 マーベルでは、母体となるマーベルコミックスを創設したスタン・リーというトップがいて、そのトップを軸に劇場版を制作していたのでブレが無かったが、DCにはそうした軸となる人物がいなかったのが問題と言える(スタン・リー亡き後のマーベルがイマイチになってしまったのも、それが原因と言える)。

 本作は、制作が始まった時点ではヘンリー・カヴィルにスーパーマンを演じさせていくつかのシーンを撮影したというが、降板が決まったのでそうしたシーンは全てカットされてしまったという。
 カヴィルが降板したのも本人が望んだからではなく、新たに決まった制作陣の責任者が「スーパーマンをリブートして自分のイメージに合うものにしたい」と考えたからだとか。カヴィルからすれば不本意な形で降板する事になったので、仮に制作陣が方針を改めてカヴィルに戻って来てほしいと要望したところで彼が了承するかは微妙である。
 カヴィルの様に本人の意思とは関係無く降板させられた者がいる一方で、本作の主人公を演じたエズラ・ミラーが今度も起用される運びになっているのは不可解。ミラーは数々の法的トラブルを起こしていて、本作も降板させられるのかも知れないという話が上がっていたくらい。今後また不祥事を起こす可能性も無くも無い。
 不祥事を起こしているミラーを起用し続け、私生活に特に問題の無いカヴィルを容赦無く下ろすという制作陣の考えが理解出来ない。その意味でも観客はDCEUを冷めた目で見ざるを得ない。
 俳優陣の刷新が制作陣の思惑通りに運ぶかどうかは不明だが、どういう展開を捻り出すのか、という点に関しては、寧ろ作品そのものより興味がある。







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Last updated  2023.07.07 22:23:38
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