非常に適当な本と映画のページ

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2026.07.05
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カテゴリ: 洋書



 DCコミックスの『スーパーガール』を基にした実写映画。
 DCスタジオが展開する「DCユニバース(DCU)」シリーズの映画第2作目。
 スーパーガールは、テレビシリーズとしては比較的頻繁に実写化されているが、劇場での登場は少ない。
 最近では、2023年公開の「ザ・フラッシュ」でサポートキャラとして、 そして2025年公開のDCUシリーズ第1作目の「スーパーマン」のラストで顔を見せた程度。
 単独作としての劇場実写版は、1984年公開の「スーパーガール(主演:ヘレン・スレイター)」以来42年振り。
 本作は、DCUシリーズ第1作目の「スーパーマン」とは関連性があるが、それ以外の実写版とは関係が無い。
 スーパーガールことカーラ・ゾー=エルを演じるのは、ミリー・オールコック。
 スーパーマンことクラーク・ケント/カル=エルを、引き続きデヴィッド・コレンスウェットが演じる。
 DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)でアクアマンを演じていたジェイソン・モモアが、賞金稼ぎロボという、全く異なるキャラを演じる。

 コミックブックミニシリーズの「Supergirl: Woman of Tomorrow」を下敷きにしていて、時系列的にはDCUシリーズ第1作目の「スーパーマン」の後の出来事、となっている。
 原題は「Supergirl」。



粗筋

 惑星クリプトンが崩壊した際、科学者ゾル=エルとその妻アルーラは、クリプトン人を可能な限り救う為、アルゴシティーにバリヤーを張って惑星から切り離す、という策を取る。
 この策により、アルゴシティーに集まる事が出来たクリプトン人は惑星の崩壊という危機から逃れられた。
 8年後。
 アルーラは女児を出産。カーラと名付けた。
 クリプトン人はバリヤーに守られたアルゴシティーで暮らしながら宇宙を彷徨い続けると思われたが、重大な問題が発覚する。バリヤーは、クリプトン人にとって有害な鉱物クリプトナイトも取り込んでしまっていた。クリプトナイトの放射能により、アルゴシティーの住民は病を患い、命を落としていく。幼いカーラは、母親のアルーラが衰弱して死んでいくのを見守るしかなかった。
 アルゴシティーのクリプトン人が全滅するのは時間の問題と悟ったゾル=エルは、まだ放射能の影響を受けていない娘のカーラを、甥のカル=エルことスーパーマンがいる地球へと向かわせる決断をする。
 ゾル=エルは、兄であるジョル=エルの「地球に息子のカル=エルを送り込んで地球の支配者として君臨させ、惑星クリプトンを復活させる」という計画に賛同出来なかったので、アルゴシティーにバリヤーを張るという手に打って出たのだった。が、自身の計画が失敗に終わった以上、兄と同様、娘を地球に送り込むしかない、と考えを改めたのだった。
 父に説得されたカーラ(ミリー・オールコック)は、納得がいかないままアルゴシティーを去り、地球に向かう。
 地球で従兄のカル=エルことスーパーマンに迎えられたカーラは、スーパーマンと同様の超能力を得て、「スーパーガール」を名乗る事になる。
 ただ、カル=エルは惑星クリプトンの記憶が全く無かった為地球に馴染めていたが、カーラは惑星クリプトンの生き残りである筈だったアルゴシティーの崩壊や、母の死を目の当たりにしていたトラウマもあり、地球には馴染めず、地球から飛び出して別の惑星で生活する道を選んだ。

 カーラは、ペットの犬であるクリプトと共に、ある惑星の酒場で23歳の誕生日を祝う事に。
 その酒場に、ルーシー・メアリー・ノール(イヴ・リドリー)という少女が現れる。彼女は人身売買組織「ブリガンズ」のリーダーであるクレム(マティアス・スーナールツ)に家族を殺されていた。その復讐の為に手助けしてくれる者を探していたのだ。報酬として、父が作り上げた刀剣を与える、と。が、カーラを含め、誰からも相手にされない。
 ルーシーは、奪われそうになった刀剣を奪い返してくれたカーラこそ復讐を手助けしてくれる者として相応しいと勝手に決め付け、カーラの宇宙船に押し掛ける。
 カーラは、自分は人助けなんてしたくない、復讐なんて仮に成功しても虚しさが残るだけだから止めておけ、とルーシーを説得しようとする。
 その最中に、クレムがその場に現れる。ルーシーの家族を殺害した際、ルーシーの父親は殺される直前に返り討ちとしてクレムの宇宙船を破壊していた。惑星からの移動手段を失ったクレムは、カーラの宇宙船を見て、強奪しようと考えたのだ。
 カーラはクレムを阻止しようとするが、クレムは彼女の宇宙船を奪う事に成功。カーラとクリプトを残して、惑星を去る。去る直前、歯向かおうとしたクリプトに、クレムは毒矢を放っていた。
 毒の影響により、クリプトは昏睡状態に陥る。
 クリプトの命を救うには、クレムが肌身離さず持っているであろう解毒剤を手に入れるしかない、と告げられる。それも3日以内に投与しないと助かる見込みは無い、と。
 カーラは、クレムを追跡せざるを得なくなった。
 ルーシーは、無理矢理彼女に同行する。
 惑星間公共交通で移動中、海賊の襲撃を受ける。海賊を打ち負かしたカーラは、海賊から、「ブリガンズ」は惑星ビルイスにいる、という情報を得る。
 惑星ビルイスで、カーラとルーシーはそこの住民であるボマールとマレックという夫婦と接触。「ブリガンズ」が若い女性をさらって無理矢理「花嫁」にしている事実を知る。
 ボマールとマレックは、自身の娘と引き換えに、カーラに薬物を盛り「ブリガンズ」に引き渡そうとするが、薬物に辛うじて耐性を持っていたカーラは、やって来たクレムらと戦う。
 その場に、「ブリガンズ」のメンバーの一人を追っているという賞金稼ぎロボ(ジェイソン・モモア)が現れ、参戦。
 戦いの最中、ルーシーはクレムに近付き、殺そうとするが、カーラがそれを阻止。
 クレムはその隙にボマールとマレック夫婦、そしてその娘を殺害して、惑星から逃走。
 これに、ルーシーは激怒。復讐を果たせたかも知れないのに、下手に阻止するからクレムを取り逃しただけでなく、ボマールとマレック一家という新たな犠牲者が出てしまった、中途半端な正義を振りかざされても迷惑だ、と切り捨てる。彼女は、カーラと別れ、一人でクレムを追う、とその場を離れる。
 カーラは、一人でクレムを追う事に。
 クレムの居所に関する情報を得たカーラは、その惑星に降り立つ。
 が、そこは緑色の太陽と黄色の太陽という2つの太陽のある惑星だった。
 クリプトン人は黄色の太陽の光が降り注ぐ中では超能力を得られるが、緑色の太陽の光を浴びると衰弱して死んでしまう。
 カーラは緑色の太陽の光にさらされ、昏睡状態に陥る。
 秘密裏にカーラの後を追っていたルーシーにより、洞窟に移動され、カーラは何とか死を免れる。
 ルーシーは、カーラから離れた直後、クレムに見付かり、「ブリガンズ」の宇宙船に連れ去られる。
「ブリガンズ」の宇宙船では、ロボも囚われの身となっていた。
 ルーシーは、独房から脱出し、ロボも解放するが、クレムに追い詰められる。
 絶体絶命、という所で、カーラがその場に姿を現す。
 洞窟で瀕死の状態にあったカーラだったが、緑色の太陽が沈み、黄色の太陽が昇った事で超能力も回復したのだった。
 カーラは「ブリガンズ」のメンバーらを次々倒し、宇宙船は墜落。さらわれていた「花嫁」らを救出した。
 ルーシーは、クレムと再び対面。クレムは負傷しており、殆ど身動き出来ない状態だった。復讐を果たそうとする彼女を、カーラは止める様、説得する。殺したところで何も生み出さない、と。
 ルーシーはその言葉を聞き入れ、クレムから離れる。
 クレムは、カーラに対し、復讐させないなんておめでたい奴だ、とあざ笑う。
 カーラは、クリプトの苦しめた罰としてルーシーの刀でクレムの腹を刺し、ルーシーの家族を殺した罰としてクレムの喉を刺す。クレムは絶命した。
 カーラは、クレムから解毒剤を奪い、その場を後にする。
 クリプトの下に戻ったカーラは、解毒剤を投与してもらう。クリプトは間も無く回復した。
 ルーシーは、親戚のお世話になる、父と同じく刀剣作りの道に進むかも、とカーラに告げる。別れる前に、カーラは自分の誕生日をきちんと祝っていないから一緒にいてくれ、と誘う。

 その後、カーラはクリプト共に地球に戻り、従兄のカル=エルことスーパーマンと再会。
 今後どうするんだ、と問うスーパーマン。
 カーラは、地球こそ自分の新たな故郷である事を再認識出来たので、暫く地球に留まりたい、と申し出る。



感想

 DCU版スーパーガールの誕生篇、と呼べる本作。
 本来は期待を以て受け入れるべき作品だが……。
 今後のDCUに早くも不安を感じてしまう。
 これまでの一連の実写版DCの問題を、再認識させているだけなのである。

 DCUは、2013年公開の「マン・オブ・スティール」(こちらもスーパーマンが主人公)から始まったDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)をリブートする、としてスタート。
 総指揮を執るジェームズ・ガンは、自身が理想とするDCのユニバースを実現させる為、DCEU作に出演していた俳優らをほぼ全て降板させる事を決意。
「マン・オブ・スティール」以降DCEUでスーパーマンを演じていたヘンリー・カヴィルが疑問を呈す等のトラブルも発生。
 ライバルであるマーベルは、責任者が入れ替わってもそれまでのシリーズ作を全否定してリブートさせる、というのを避けていたのに、DCでは当たり前の様に行われる。マーベルはDCと違って大成功していたからリブートの必要性が議論される事は無かった、という見方も出来なくも無い。が、マーベルも近年は以前程の勢いが無く、てこ入れが模索されている。ただ、それでもこれまでのシリーズ作を全否定したり、リブートしたりするという冒険はしていない。
 何故DCがひたすらリブートで状況を打開しようと考えるのかが不明。

 DCEUの事実上の最終作となってしまった「ザ・フラッシュ」(2023年公開)では、39年振りに実写版スーパーガールが銀幕で登場。
 ラテン系女優のサッシャ・カジェ演じるスーパーガールは原作コミックとはイメージが大幅に異なるものの、「ザ・フラッシュ」という作品の最大の収穫だった。今後どうにか彼女を起用し続けてもらいたい、と期待させた。
 が、ジェームズ・ガンは、サッシャ・カジェ演じるスーパーガールは1作限りとし、自身が思い描くスーパーガールのイメージにぴったりだったというミリー・オールコックを新たに起用。
 総指揮者として就任した以上、降板や起用を決めるのは結構だが……。
 観る側が受け入れるかどうかは別問題。

 女優の見た目にあれこれケチを付けるのは、今時発想が古いのかも知れない。
 が、サッシャ・カジェ演じたスーパーガールがコスチューム姿を銀幕で披露した瞬間ワクワクさせてくれたのに対し、ミリー・オールコック演じるスーパーガールがクライマックスで漸くコスチューム姿で登場しても、それ程ワクワクしなかった。
 サッシャ・カジェ(「ザ・フラッシュ」出演当時は27、8歳)はエキゾチックなルックスもあって若々しさが銀幕上で炸裂していたのに対し、ミリー・オールコック(本作公開時で26歳)は酒浸りの退廃的なキャラという設定もあってか、全然若々しくなく、やけに老けていて、「このオバサンのどこがガール?」としか思えなかった(金髪が結局最後までボサボサの状態なのも老けを後押していた)。

 ジェームズ・ガンは、DCEUでは「ザ・スーサイド・スクワッド」、マーベルでは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を手掛けている。
 いずれも、原作コミックシリーズ自体が他のDCEUシリーズ作やマーベルシリーズ作を少し捻った異色の内容。
 王道を走るシリーズ作に少し飽きが来た頃に公開されたので、新鮮な切り口として受け入れられた。
 が、異色作は王道という比較対象があるからこそ光るのであって、王道が無く最初から捻ってしまうとただのゲテモノに成り下がってしまう。
 スーパーガールは、DCの中でもメジャーなキャラ。王道で挑むべきだったのに、マイナーキャラの様に捻ってしまった。
「ザ・フラッシュ」に登場した王道寄りのスーパーガールからまだあまり時間が経っていないのに、こういうのを見せられても違和感しか抱けない。
 また、ジェームズ・ガンは美男子・美人の起用を避ける傾向にある。スーパーマンとして起用したデヴィッド・コレンスウェットは、降板させられたヘンリー・カヴィルと比較するとルックスは普通。ミリー・オールコックも、上述した様に降板させられたサッシャ・カジェと比較すると数段落ちる。
 庶民的なルックスの方が活きるマイナーなキャラならそれで問題無いだろう。
 が、スーパーマン・スーパーガールは共にDCコミックスを代表するキャラで、DCUシリーズを背負っていくメジャーなキャラでもあるのから、ルックスが平凡では納得がいかない。

 ミリー・オールコックが、スーパーガールにしてはルックスが平凡であっても、ストーリーが良ければまだ救いがある。
 が、残念ながらストーリーも、スーパーガールのルックスと同様、平凡。
 というか小粒。
 ペットの犬を救う為に宇宙を飛び回るだけ。
 敵役のクレムも、ずる賢さと残忍振りが際立つだけの小悪党に過ぎない。王道のスーパーガールが相手だったら瞬殺される雑魚のレベル。

 DCEUのアクアマンからは降板させられたものの、ロボという別キャラで起用されたジェイソン・モモアが登場。
 カーラとルーシーという女子キャラだけでは物足りないと判断されて創造されたキャラらしい。
 結局何の為に登場したのかさっぱり分からない役回り。
 敵役のクレムと「ブリガンズ」が宇宙版マッドマックスだったので、それには違和感無くフィットしていたけれども。
 ジェイソン・モモアの無駄遣いだった。

 カーラがペットの命を救う為に動く……、だけではストーリーとして弱いと考えたらしく、殺された家族の復讐を誓う少女ルーシーが登場。
 演じるのは出演当時14歳のイヴ・リドリー。
 フィリピン人の血が入っているらしく、アジア系の顔立ち。
 そんな事もあってか、コミックブックミニシリーズとは異なりアジア系のキャラデザインに。
 演技も作中の雰囲気に合っていて、ただただ退廃的なカーラよりまともに映った。
 ルーシーを省いていたら、真新しさに欠けるストーリーに締まりが無くなっていただろう。

 様々な問題を抱えているからか、アメリカでの興行収入は芳しくなく、1億8600万ドルの制作費に対し、最終的には赤字になるという(黒字には3億ドルの興行収入が必要とされていた)。
 批評家らのウケもあまり良くないらしい。全体的に弱い、と。
 下敷きとしたコミックブックミニシリーズの「Supergirl: Woman of Tomorrow」がベストセラーだったので、それを実写化すれば安泰だ、甘く考えた様である。ある媒体の傑作を別の媒体で作り直しても傑作であり続けるとは限らない、寧ろ元の媒体の欠点が別の媒体に落とし込まれた事により露呈してしまう、というのを体現している。
 DCUシリーズ第1作の「スーパーマン」は好評だったのに、2作目で早くも躓いている。
 3作目は、バットマン・シリーズで登場していた敵役キャラが主人公の作品だという。そしてその次が「スーパーマン」の直接の続編になるとの事。
 3作目はまだ公開すらされていないのに早くもイマイチ感があるので、4作目まで持つのか心配になる。
 ジェームズ・ガン指揮下のDCUに、どこまで期待していいのか。
 3作目、4作目が興行的に期待外れに終わったら、また別の指揮者が任命されるのか。
 その場合、また全否定され、リブートされるのか。
 DC実写版の苦難は続きそう。

 マーベルとDCというライバルスタジオの間を行き来して作品を手掛け、成功したマーベルと、イマイチ軌道に乗り切れないDCを間近で見てきた筈のジェームズ・ガンが、マーベルの成功の方程式をDCに持ち込めなかったのは残念である。

 本作を観ていて印象的だったのが、地球に到着してスーパーマンと対面したカーラが、スーパーマンを見て「何故下着姿なの?」と呟くシーン。
 スーパーマンのコスチュームについて、「カル=エルはスーパーマンの青・赤のスーツを正義のシンボルとして着用しているが、実際にはクリプトン人の下着に過ぎない」と言及するのは本作が初と思われる。
 スーパーマンは実は下着姿で活躍している、というのは切り口としては面白い、と思った。
 本作に於いて、ジェームズ・ガンならではの着眼点が光る唯一のシーン。


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Last updated  2026.08.06 18:09:24
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