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ニュージーランドの作家メイベリーによるジュニアSF。粗筋: 中学生のジェイソンは、よく行くゲームセンターで新たなゲームを見付ける。タイム・ツイスターである。 が、タイム・ツイスターはただのゲームではなかった。未来から送られたタイムマシンだったのだ。ジェイソンと、姉のヘレナは、それぞれYosと名乗る未来からの男女と会い、二人は「力」を持っていると教えられる。Yosは、二人に対し、使命を与える。タイムマシンを使って、ある陰謀を阻止しろと。 その陰謀には、二人の父の職場(コンピュータ研究を行っている大学)が関わっていた。ある組織が、コンピュータを通じて世界征服を企んでいたが、それを成功させる為には大学に最近納入された新コンピュータが必要だったのだ。 ジェイソンとヘレナは、時間を何度も飛び回り、組織が新コンピュータにセットしたテープを奪うことに成功した。 全てが終わった時点で、二人はYosと名乗る男女の正体を知る。Your Older Self、つまり将来の自分らだったのだ。解説: ……時空を超えて過去や未来へ飛び回る、というストーリーは、複雑になり、何が何だか分かり難くなることが多い。本書も例外ではなかった。何度も何度も飛び、しまいには数時間前の自分とばったり会う、というシーンまであるので、お手上げ。「使命」の方はいつの間にか完了し、「めでたし、めでたし」で終わっていた感じ。 世界征服の陰謀が絡んでいた割には呆気なかった。 なぜ世界征服を企む組織が、ニュージーランドの田舎町にある大学に納入されたコンピュータにこだわるのか、なぜYos は自分らでタイムマシンを使わずに子供の頃の自分らにタイムマシンを使わせたのか、など不明な点があるが、ジュニア小説なので深く考えるのは無意味だろう(舞台がニュージーランドであることは明記されていないが、出版社がニュージーランドにあり、硬貨の裏にエリザベス二世があるとなっていた)。 ジェイソンの友人らがテレビ番組「The A Team」のテーマ曲を合唱するところは時代を感じさせる。現在では「The A Team」と述べてもキョトンとされるだけだろう。 作中で、指紋や手の皺を含む手形を新規セキュリティシステムに全て読み込ませたところ、手形ファイルが16Kにもなると知ったジェイソンが「それはでかい!」と叫ぶ場面や、そのシステムが手形を6までしか記録できない(つまり96Kまでしか記録できない)という下りも、時代を感じさせる。コンピュータの進化は凄いものである。関連商品:人気blogランキングへ
2005.08.09
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イギリスの児童作家ルイスによる全七巻から成る小説シリーズ「ナルニア物語」の第五巻。 子供達が日常の世界から魔法の国ナルニアへ突然飛ばされ、様々な冒険をした後また日常の世界へ戻る、という物語。粗筋: エドマンドとルーシーの兄妹は、以前ナルニアに行ったことがあった。両親が仕事で家を長期間離れることになった為、二人は叔母の家に預けられる。そこには従弟のユースタスがいた。 ユースタスは、親の影響もあり、歳の割には現実主義だった為、従兄妹らが語るナルニアの冒険などまるで信じない。そのことからエドマンドとルーシーに煙たがられる。 ユースタスの家には船の絵があった。それの船はナルニアのものに似ていた。エドマンドとルーシーとユースタスは、それを眺めている内に中に引き込まれ、ナルニアの世界に飛んでいた。 三人は絵に描かれていた船に救出された。その船で、エドマンドとルーシーはナルニアの少年国王キャスピアンと再会する。 キャスピアンは、自分の航行について述べる。昔、キャスピアンの父であった前国王は、七人の勇者を東の海に派遣した。が、その七人は戻ってこなかった。キャスピアンは七人の勇者の行方を探し、世界の端を自ら確認するつもりでいた。 エドモンドとルーシーは航行に参加することにする。ユースタスは嫌がったが、元の世界に帰る手だてがない為、同行するしかなかった。 途中、一行は奴隷取引が行われている島で奴隷として売られそうになったり、ドラゴンと遭遇したり(ユースタスは魔法によりドラゴンへ変わってしまう。ナルニアの伝説のライオン・アズランによって元に戻される。勇者の一人もドラゴンになっていた)、浸ったものを全て金に変えてしまう湖に遭遇したり(湖底に勇者の一人が金の像となって沈んでいた)、透明人間のいる城に入ったり、魔法使いと会ったりする。 一行は、その過程で七人の勇者の行方を全て知った。キャスピアンは、将来妃にする魔法使いの娘と会う。 エドマンドと、ルーシーと、ユースタスは、アズランの魔法により元の世界に帰る。 ユースタスは、帰還後嫌味な性格が丸くなっていた。そのことで彼の母親は「普通の子になってしまった」と嘆き、その原因であろうと見た甥と姪を恨むことになる。解説: ……ナルニア物語には苦い思い出がある。 日本語の小説は小学生からずっと読んでいたのに、英語の小説は読まず嫌いで高校に入るまで読まなかった。その原因となったシリーズの一つなのだ(もう一つはアレキサンダー著のプリデイン物語)。 本シリーズは、小学六年生の時(自分は北米にいた)、学校の教材として使われていたのだ。無論、洋書である。当時はまだ英語が達者とは言えず、読解力が低かったので苦労した。その結果、洋書は「難解なもの」と見なすようになり、読まず嫌いになってしまったのである。 現在読み返してみると、「難解だ」と決め付けてしまったのも無理もないように思える。 魔法の国や、人間の言葉を喋る動物や、ドラゴンや、魔法使いなどが出ていて、口絵が多くあるので、児童書であることは確かだが、発表された1952年当時はともかく、現在の視点では「古典」となっている。イギリスで書かれた本ということもあって、古臭い上に小難しく、理解し難い文体なのだ。 大人(と自分をそう思いたい)でもなかなか頭に入り難い文体なのである。 本の大部分は小説というより粗筋をいくらか肉付けした説明文を読まされている感じで、途中でだれるのも問題。 190ページなので、決して分厚い訳ではないのに、二倍の長さを読まされた感じ。様々なエピソードを盛り込み過ぎている。もう少し整理してほしい。 200年前の小説の文体と、100年前の小説の文体と、50年前の小説の文体と、現在の小説の文体は、それぞれ異なる。同じ言語で書かれていても、時代が全く異なるのだ。当然である。 本シリーズも最初に出版された時は児童書だったのかも知れないが、現在の視点からすれば「古典」同然(キャラの価値観も現在からすると首を捻りたくなる部分が多い)。この手の本の良さは大人にならないと分からなくなってしまっている(自分のように、大人になったら大人になったで理解できないかも)。こんなのを読解力に乏しい子供に「児童書だから」「名作だから」といって押し付けると、本嫌いを生み出すだけになるだろう。 現在もこのシリーズが教材として使われているかは不明だが、もしそうなら中止して、現代物に切り替えるべきである。さもないと、活字離れがますます進む気がする。関連商品:人気blogランキングへ
2005.08.04
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ティルマンによる近未来の海上戦争小説。粗筋: 湾岸戦争直後。 ソビエト連邦はユーラシア共和国連邦(UER)へと移行した。一方、南アフリカ共和国では、三人の実力者が暗殺される。大統領F.W.デクラーク、ANC党首ネルソン・マンデラ、そしてインカタ自由党党首ブトレジである。 これをきっかけに、UERの支援を受けたアフリカ南部諸国が南アフリカ共和国に侵攻する。UERは大中小の空母六隻から成る大艦隊を南インド洋に派遣。 アメリカはこれを許す訳にはいかず、阻止に動く。が、UERは周到に準備していた。UERは、様々な工作により米海軍の空母部隊が南インド洋に集中するのを阻止したのだ。米海軍にとって南インド洋にいる唯一の空母艦隊は、空母ラングレーを中核とした部隊だけとなる。黒人提督のチャック・ギディオンが指揮していた。 ラングレーは旧式と成りつつあるフォレスタル型空母。戦闘力はどのUER空母より高いが、一隻だけ。UER空母は、個別の戦闘力はラングレーに劣るものの六隻もあるので圧倒的に有利だった。 ギディオンは不利を承知で戦闘に突入することを余儀なくされる。 ラングレー空母部隊は、UER部隊の旗艦空母バリヤグと空母ノボロシスクを大破させる。ただ、ミサイルなどの消耗品が補充されない為、たちまち戦力不足に陥る。 UER艦隊はアメリカ部隊旗艦ラングレーを撃沈させた。 米軍・UERは、空母の航空兵力を陸に避難させていた。陸上での戦闘を続ける。 南アフリカ軍は、米軍の支援により侵攻軍を撃退し、相手から停戦合意を引き出すことに成功する。 アメリカとUERも停戦した。解説: ……世界には様々なホット・スポットという危険地域がある。これまで、小説では中東や極東が主だった。南アフリカ共和国を発火点にしたのは本作品が初めてだろう。というか、他にこの地域を発火点にした小説は聞いたことない。作者が無理矢理ホット・スポットに仕立てた感がなくもない。 本作品は1992年が舞台だが、架空の設定が随所に見られる。ソ連(現在でいうと旧ソ連)はUERになっている(奇妙なことに政治体制は全く同じ。なぜこの設定にしたのかは不明)。また、南アフリカの三大実力者が暗殺されたことにもなっている(実際にはデクラークは任期を全うし、アパルトヘイド(隔離政策)を廃止する。それによりマンデラが大統領に就任。マンデラも任期を全うする)。 架空の設定が現実とあまりに異なる為、近未来を描いている筈なのに逆に時代遅れになってしまった感がある。 560ページは本として決して分厚くないが、字が細かい為、小説としてはかなりの量がある。たった数日間の戦闘を多面的に扱っているので、様々な勢力や人物が登場する。残念なことに、あまりにも長々と描かれている為、空母や巡洋戦艦の撃沈など派手な展開が盛り込まれている割には緊迫感を維持できず、中ダレする。 よく分からないのが、「なぜこんな戦闘が始まってしまったのか」という点。 UER がアメリカとの全面戦争の危機を承知して南アフリカに侵攻する理由が不明だし、アメリカが圧倒的な不利な状況にも拘わらず南アフリカを支援しなければならない理由も不明(発表当時はまだ黒人隔離政策(アパルトヘイド)が続いていたから、南アフリカは世界から孤立していた)。 UERは、空母部隊を戦闘に突入させなくても南アフリカ軍を倒せた可能性は高かった。空母を待機させるだけでもアメリカに二の足を踏ませられただろう。一時的にせよ南アフリカに傀儡政権を樹立させられたかも知れない。 逆にアメリカはラングレー以外の空母部隊が到着するのを待ってから行動していたら、戦闘をより有利に運べただろう。そもそも他の米空母部隊がUERによる安っぽい戦法で足止めを食らってしまうのは情けない。 結末も分からない。ギディオン提督は指揮下の空母部隊の大半、そして数千人の兵を失う。が、停戦後、米国大統領(作者の意図とは裏腹に単なる馬鹿にしか思えなかった)は彼との面会で副大統領にならないかと持ちかけている。ハッピーエンドを強引に捻り出しているのだ。一方UERでは、空母部隊の司令官が戦死し、UER大統領が失脚を恐れる羽目になっている。 著者によるご都合主義で戦闘に突入し、ご都合主義で幕を引く小説。 本作品は第二次世界大戦から数えて六回目の空母対空母の会戦(だからタイトルがThe Sixth Battle)を描きたかっただけで、アフリカでの戦闘はどうでも良かった感じがする。海戦が終わった後はバタバタと停戦に持ち込まれ、小説が結末になだれ込むのも、それが理由だろう。関連商品:タミヤ 1/700 アメリカ海軍 航空母艦ホーネット瑞鶴(ずいかく)航空母艦人気blogランキングへ
2005.08.02
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アメリカの人気テレビシリーズだったSTAR TREK: THE NEXT GENERATION(日本では新スタートレックとして知られている)のオリジナルノベルシリーズの第10作目。解説: 宇宙連邦航宙艦におけるエンタープライズ号の副艦長ライカーは、地球化計画が進められている「パラダイス」という惑星に行くよう命じられる。計画が思うように進んでいないので、監察にいって欲しいと。計画の責任者がライカーと幼馴染みだったのだ。ライカーは命令通りエンタープライズ号を離れ、「パラダイス」に向かう。 エンタープライズ号には、代理の副艦長として、ストーン中佐が赴任する。実は、ライカーを「パラダイス」へ派遣したのは単なる口実で、本来の目的は、ストーン中佐の宇宙軍における適正をピカード艦長に評価して貰いたい、ということだったのだ。 ストーン中佐は、上層部の意向を無視して乗組員を救出したばかりだった。このことから一般の乗組員からは支持されていたが、上層部からは危険視されていたのだ。 ストーンを副艦長としたエンタープライズ号は、ある惑星に向かう。そこでは革命の一歩手前までに追い込まれた支配者が、銀河連邦の者を人質に取り、革命阻止を支援しないと人質を殺すと脅していた。 一方、「パラダイス」に到着したライカーは、惑星が楽園とはほど遠いことを知る。あまりにも厳しい環境の為最新技術が殆ど使えないという有様だった。そんなところ、幼馴染み夫婦が遭難してしまった。ライカーは救助へ向かうが……。解説: STAR TREK: THE NEXT GENERATIONでは多数のレギュラーキャラが登場する。オリジナル小説シリーズでは、その中のどれかが中心となって活躍し、他は脇役を務める、というのが多い。本作品ではライカーがその役を担う筈だったようだが、本作品の為だけに登場するストーン中佐が彼を完全に食っている。本作品ほどレギュラーキャラの存在感が薄いものも少ないだろう。 ストーンは言動が予測不能な危険人物として描かれ、その言動には百戦錬磨のピカード艦長も振り回されるほど(本作品のピカードは別人かと思われるほど馬鹿として描かれているような感が……)。しかし、こちらとしてはストーンがむしろ常識的で、銀河連邦が制定したプライム・ダイレクチブ(不干渉規定)を杓子定規に守ろうとするエンタープライズ号の連中の方が非常識に見える。 ストーンが危険を冒してでも他人を守るようになったのは、ある惑星で起こった大虐殺を、プライム・ダイレクチブの為阻止できなかったからだった。ストーンは大虐殺を目の当たりにしながらも、干渉するなという上層部の命令で、見逃すしかなかった。ストーンはそれがトラウマになり、上層部の判断や命令を疑うようになった……。 宇宙軍は、「ストーンの言動がまるで理解できない」と言い張るが、ストーンの体験を知らない筈がないのだから、「理解できん!」と手を上げるのはおかしい。同じような体験をした者がこれまで一人もいなかったのか、と疑ってしまう。 無闇に干渉すると、それがたとえ善意のつもりであっても文明の発展に弊害をもたらすことがある。そういうことを阻止する為のプライム・ダイレクチブだが、それも程度の問題だろう。目の前で起こっている虐殺に対し何もするな、となったら長期的には宇宙軍の士気低下に繋がると思うのだが。 本編を読んだ限りでは、こんな臨機応変に行動できない組織がよく未開の惑星に宇宙船を送り込むことが出来るな、と思ってしまう。 テレビシリーズでは、アメリカにも拘わらずメートル法が使われているが、本作品の作者はメートル法に慣れていなかったらしく、ヤード・ポンドの単位が観られる。編集でチェックされなかったのだろうか。関連商品:スタートレックネクストジェネレーションコンティニューイング・ミッション新スター・トレック コンプ・シーズン1 コレクターズ・ボックス人気blogランキングへ
2005.07.29
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ニューオーリンズ出身のジャズピアニストによるマフィア小説。解説: サル・ダモーレは売れていないピアニスト。生活費を得る為、マフィアの下請けでせこいアルバイトをしたり、年上の愛人らから金をせびり取っていた。サルは、マフィアの金をくすねては競馬に賭けて利益を得ていたが、ある日大損してしまう。マフィアに狙われる羽目になったサルは、ニューオーリンズを去る。 逃亡中の船で出会ったのが美観の女性イザベルだった。ブラジルで高級靴を製造・販売しているジョバンニ・ジェメリの一人娘だった。サルは、イザベルの歌手としての才能に気付き、プロデューサーとして彼女を一大スターにさせる。 しかし、マフィアはサルのことを忘れていなかった。グラミー賞出席の為にアメリカに戻ったサルを襲う。しかし、サルは命辛々逃げ出し、メキシコに移動する。マフィアはメキシコでもサルを追う。サルは自分が死んだように見せかけ、難を再度逃れた。解説: それなりに面白いストーリーに成り得たのに、作者(それとも編集者か?)の力不足で退屈になってしまった。 何よりもペースが遅過ぎ。サルが賭事に失敗してニューオーリンズを脱出するまでの経緯に100ページも割いている。アメリカの小説としてはお決まりのようにサルの過去、そしてジェメリの過去が描かれている(いわゆる「人間を描く!」てことだろう)。しかし、サルの過去はともかく(もっと短くしても良かった)、ジェメリの過去(50ページほど)は完全に蛇足。ジェメリやイザベルは、カバーの絵を見るとストーリーで重大な役割を果たすように思えるが、実際には最後には全く登場しないマイナーなキャラに過ぎないのだ。 主人公のサルも、過去のことが詳細に描かれている為それなりにリアルなキャラではあるが、共感したいキャラではない。彼がマフィアに追われる羽目になったのは自業自得だし、年上の女から金をせびりながら生活している、という小悪党振りも好感度を下げている。 また、イザベルは単なるセックス狂いのどうしようもない女(サルと出会って時点ではまだ17歳。それでもやりまくる。日本だったら違法になる)で、サルや他の男がなぜこんなあばずれに惹かれるのだろうかと読んでいる最中に何度も思った。こんな女がスターになれるかよ、と。 本作品は典型的なアメリカ小説。つまり、平凡なプロットに無駄なディテールを書き込んで厚みを持たせようとした結果、ストーリー展開のペースを落とし、元々退屈なものが更に退屈になっている。本作品は500ページを超す大作だが、まともな作家なら300ページくらいに抑えていただろう。 こんなのが、少なくともこんな形でよく出版されたなと思う。一気に読みたいものではなかった為、読むのに1ヶ月以上もかかってしまった。 この作者の作品を読む気はもうない。人気blogランキングへ
2005.07.27
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クリント・イーストウッド出演の映画にもなった諜報小説。解説: 1970年代。 ソビエト連邦は西側のどの戦闘機をも上回る性能を持つ戦闘機――ミグ31 NATO名「ファイアフォックス」――を開発した。 実戦配備されたら、冷戦は西側にとって不利になる、と考えたイギリス諜報部は、ある作戦を決行する。 パイロットをソ連に送り込み、ファイアフォックスを盗み出す。 そのパイロットとして選ばれたのが、ベトナム戦争経験のあるアメリカ人ミチェル・ギャントだった……。解説: クリント・イーストウッド主演の映画にもなった小説。映画も原作もそれぞれ味があってよいと思う。大抵の小説は映画化されると小説の状態では目立ち難かった荒れや問題点が浮き彫りになり、興ざめしてしまうが、本作においてはそれがない。映画も小説も面白い、という貴重な存在。 作者がこれを超えるものを書いていないのが残念(これ以降はやたらと長いだけのものが多くなってしまった)。続編としてファイアフォックス・ダウンがある。 トーマスの出世作と同時に最高傑作。 主人公のギャントは続編のファイアフォックス・ダウンの他に、ウィンター・ホークにも登場する。 問題点をあえて述べるとすると、調査不足の面が見られること。ミグ31は英語ではMiG-31と表記されなければならない。なぜなら、Mikoyan-Gurevichの略だから。しかし、作中ではMigと誤って表記されていた。作者はこれを指摘されたらしく、続編ではMiGと正しく表記していたが、そちらでは今度はヘリコプターのミルをMiLと表記していた。ミルは略ではないので、Milが正しい。 また、時代も感じさせる。作中ではミグ31はNATOコードネームがファイアフォックスという物凄い戦闘機だが、後年存在が確認された実際のミグ31はミグ25の改良版で、性能は限定的だった。NATOコードネームもファイアフォックスではなくフォックスハウンド。 それ以上に、ソビエト連邦はとっくに崩壊してなくなっている。人気blogランキングへ関連商品:ファイアフォックス・ダウン(下)
2005.07.06
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解説/感想: 世界各国のスーパーカー45種をフルカラーで解説。各車に4ページずつ割いていて、カラー写真も多い。 Aston Martin V8 Zagato、Ferrari 288 GTO、Ferrari F40、Ferrari F50、Honda NSX、Jaguar XJ220、Maserati Boraなどのメジャーなスーパーカーを取り上げる一方、Bizzarini GT Strada、Iso Grifo、Panther Solo、Vectorなどのマイナーなスーパーカーも取り上げている。 詳細なスペックも全車にある。 問題点といえば、文章は写真の説明文が大半で、他はテストドライバーの印象が簡単に記載されているだけ、ということ。 また、フェラーリ、ジャガー、アストン・マーチン、ポルシェ、TVRは取り上げているのに、ランボルギーニ、マクラーレンはない。フェラーリは8台も取り上げているのに、ポルシェは1台のみ。ロータスを取り上げているものの、ロータスが製造した車ではなく、ロータス・エンジニアリングが手がけた車。 また、「これのどこがスーパーカー?」と首を捻りたくなる車(トヨタ・スープラ、アウディRS2ワゴン、シェルビーCSX)もあり、取り上げることにした車の選考基準がさっぱり分からない。 全体的に、中学生向けに編集されたスーパーカーが載った絵本であり、自動車についてある程度の知識を持った者が満足できる代物ではない。関連商品:オートアート アストンマーチンDB-7バンテージ(M.グリーン)【P・M・A】1/43アストンマーチンDB9・2003オートアート 1/18【ミニカー】 ポルシェ911(996)GT3Rカー・マガジン・メモリーズ・フェラーリ 2人気blogランキングへ
2005.06.10
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