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カテゴリ: 魔法使いたちの恋
『魔法使いたちの恋』―再会4―

 その後のことは、あまり覚えていない。
 任命式は、いつの間にか終わった。

 ラウ国王は、カイによく似た意地悪そうな笑みを浮かべたままだった。
 エリル師が何か抗議の声を上げていたが、「わしは嘘を申してない」と答える声だけが聞こえた。

 嘘じゃない――。

 フィア先輩も言っていた。
 『第3王子さまの婚姻が決まった』と。

 カイが、第3王子さま……。




 与えられたその部屋からは、夕陽が見えた。着替えることも忘れたまま、窓辺にぺたんと座って、その夕陽を見上げた。
 衣装が、夕陽の色に染まる。
 それはまるで、この胸に潜んだ醜い感情が染み出てくるかのように思えた。

 痛い。痛い。胸が、痛い。 
 とてもじゃないけど、冷静に受け止められそうにはなかった。

 視界が滲む。
 涙が溢れてくる。

 喉の奥から、抑えていた嗚咽が漏れた。
 両手で口を抑えて、何とか声を殺して、泣いた。

「ふ……っ、うっ、……っ、カイ……っ」

 馬鹿だ。本当に馬鹿だ。


「……いや……っ、嫌……っ」

 耐えられそうになかった。

 でも、カイは王子さまだ。何処かのお姫さまと結婚しなきゃならない。
 意地悪そうな態度を取っていても、カイは優しい。
 きっとお姫さまを愛そうするだろう。そうして、お姫さまもきっとカイを好きになる。



 判ってる。
 僕という存在は邪魔だ。

 なのに……。

「卒業なんて、しなきゃ良かった……。宮廷魔法使いになんて、ならなければ……。王城に来なければ……」
 来なければ何だと言うのだろう。
 2度とカイに会えなくなっていただけだ……。

「……カイ、好き……」
 精一杯そう声にしてみたのに、その声は何もない部屋に吸い込まれていった。
 その声とともに、大事な想いも消えていくような錯覚を覚え、ぞくりと恐怖が走った。
「あ、あ……」
 不安に飲み込まれてしまいそうだ。

 その時、
「……リュイ?」
 そう名前を呼ばれた。
 その声に、強張っていた全身から力が抜けた。
 振り返らなくても、誰だか判る。

 幼い頃から、いつもそうだった。
 傍にいてほしい、そう願うといつだって飛んで来てくれた。

 近付いてくる気配を感じる。しばらくして、背後からふわりと抱き締められた。
 自分より一回り大きな褐色の腕。
 カイの腕だ。
「……会いたかった」
 耳元で、カイの声がそう告げる。
 首筋に、カイの髪が触れる。

 全身の感覚という感覚が、カイの存在を追い掛けた。
 どうしようもないほどに、カイを求める。

 あああ、カイが好きだ。
 離れることなんて、出来ない――。

 回された腕を両手でぎゅっと抱き締めた。そうして、首を傾けてその指に口付けた。
「リュイ?」
 カイの声が聞こえる。
 答える代わりに、身体を反転させてカイを見上げた。
「カイ、好き」
 伸ばした両手で、カイの黒髪に触れた。そのまま指を絡めて引き寄せると、カイの唇を奪う。
「好き、好き……」
 何度かそう呟いて、何度も唇を重ねた。
「まだ、足りない……」
 それでももっとカイと重なりたくて、今度はおずおずと舌を差し入れた。カイの舌が応えてくる。絡め取られる。吸い上げられると、身体の奥が、ずくん、と震えた。吐息が上がる。
「……どうした? リュイ?」
 長い口付けの後、尋ねてくるカイの声には、ただ首を振って答えた。

 理由なんて要らない。
 これからのことなんて知らない。

 今だけは、カイがほしい――。

「もっと、ほしい……」
 何もかもがもどかしかった。
 もっと、もっとカイに触れたい。
 着替えないままでいたことを少し後悔した。この服ときたら、着るのも難しかったが、脱ぐのも容易ではなかった。手当たり次第いくつかの紐を外すと、いろんなところが少しずつ肌蹴てきた。

 何でもいい。
 早く、カイに、触れたい。

「リュイ? リュイ? こら、待てって……」
 カイの手が止めに入ってくる。
「どうして?」
 上目遣いにそう問いかけると、カイが1つ溜め息を落とした。
「……何かあったのか? 泣いている……」
 夏空色の瞳が、覗き込んでくる。

 もしかして、カイ、知らないの……?
 それとも知っていて……?

 でも、もう関係ないや。
 僕は、カイが好き。

 今は、それだけだ。

「……抱きたくないの?」
 釦を外すと、カイの褐色の肌が見えた。頬を寄せると、カイの身体がぴくりと動いた。
「今は、黙っていて……」
 触れた箇所から、カイの熱が伝わってくる。

 嬉しい。
 カイに触れるだけで、こんなにも嬉しい――。

 また、涙が、溢れてきた。

  ……続きます♪

================

リュイ、本領発揮(?)です。
この子はある意味とっても素直だから……。
さて、『再会』前半終了です。
長かったですね…。あと後半4話ほどで完結かと思うと感慨深いものが…(笑)。
今しばらくお付き合い下さるととっても嬉しいです♪

あ、外伝は書きますから(笑)。
ライxシア、セイxエルで(^^)

================

職場にて。
血圧が高いおじさまが一言。
「血圧測ってくれた看護士さんがべっぴんさんでね。もうどきどきして…」
頬を赤らめるかわいいおじさま。
「でも、もう大丈夫。すっかり落ち着いたよ~」

……さいですか。
高瀬ではときめいて下さいませんか(笑)。
いいもん。高瀬、癒し系を目指しますから←何かが違う…。

ちみっと淋しくなった高瀬でした。

いいもん、いいもん……。





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Last updated  October 24, 2006 06:39:45 PM
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海神ほだか@ ご無沙汰してます 高瀬さん、お久し振りです。以前イラスト…
高瀬RING @ >prisonerNo.6さんvv ありがとうございますvv prisonerNo.6さん、ご無沙汰すみませんで…
高瀬RING @ >旭陽さんvv ご無沙汰すみませんでした! 旭陽さん、こんにちは! 励ましのお言葉…
prisonerNo.6 @ おかえりなさい。 言葉、思いつかなくて。 おかえりなさ…
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