Angel

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全て | 日々の日記 | 小説
March 23, 2009
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カテゴリ: 日々の日記
伯父様の言葉に、なんか余計に心配になる。




 「...皆様!ご飯ですよ!」

薫さんが、呼びにやって来た。

「薫さん。お爺様、見掛けませんでしたか?」

そう問うと、不思議そうな顔をしていた。

「大旦那様ですか?大旦那様なら、先に席に着かれておりますよ!」

「えっ!もう、そっちにいるの?!」

「はい。ですから、皆様も早く着替えまして、お食事をお取り下さい!」

少し驚いたが、もう行っているのを聞いて、安心した。





 その頃、お爺様達はシーンとした空気の中で座って待っている。

「...皆さん、遅いですね?先に召し上がりますか?」

伯母様がそう尋ねたが、誰も何も言わない。何時もより空気が重くて困ってしまう。

「...もう少し待ちましょう。椿ちゃん達ももうすぐ来るでしょうし。そう言えば、カマクラを作るって言っていたけど、難しくないのかしら?」

みー御婆様は、空気を変えようとした。

「...ええ、ちょっと力が要りますが、そこまで、大変でもないですかね。久々に作るから、腕がなりますわ!」

伯母様はやる気満々だった。

「そうなの。誰が参加するの?私も見に行こうかしら?」


みー御婆様は珍しく興味津々だが、伯母様は、未だ変わらない空気に威圧感を感じていた。

「...椿ちゃんです。」

「そうか...。今日は、雪で床が何時もより冷えるから、稽古は本日はお休みだが、自主的には、稽古をして欲しいものだが、無理だろうな...」



「そうですね。...お義父様。お体の調子、まだ悪いんですか?」

伯母様は、皆と稽古に出ないお爺様のことが気になっていた。

「いや、そうではないんだが、色々と考えごとを明け方までしていたものだから、朝稽古に行けなくなってしまっての。儂としたことがな...」

お爺様は、やっぱり疲れた様子。

「本当に大丈夫ですか?今日はゆっくり休まれた方が...」



「...そうですか。どうぞ、無理なさらないで下さいね!お義父様が無理なさったら、皆、心配します。」

本当に心配していた。

「和樹ちゃん。本当にそうよ!無理だけはしてはいけないよ!約束だよ。」


みー御婆様がそう言った瞬間、お爺様は何か想い出したらしく、悲しそうに笑った。

それから間もなく、私達も合流し、一緒にご飯を食べた。

お爺様は、朝食を終えると早々といなくなった。出掛けることを聞いたが、何だか一人で行かせてはいけない気がした。

「...ご馳走様でした。お爺様の所、行ってきます!」

立ち上がり、食器を持ち、台所に

「...おぃ、椿!」

和久様の制止する声さえ、無視し、急いだ。私は、気が付いていなかった。御婆様が具合が悪くて止めなかったことを...


 「...お爺様!お爺様!私もついて行っても良いですか?」

私は、慌てて、お爺様の部屋を向かう途中で、今まさに出掛ける様子だったので、引き止めた。

「...椿ちゃん?」

「私は、仕事に行くんだよ!」

「解っております!何だか、最近、お疲れ気味で、私も心配なんです!絶対に大人しくしているんで、連れて行って下さい!」

私は、必死に頼んだ。その熱意に負けてかどうかは解らないが、お爺様は了承してくれた。

「...解った。今日は寒くなるから、暖かくして、出掛けようね。待ってるから、早く準備しておいで...」

「はい!」

その言葉に笑顔で応えた。支えになりたいと思った。



 バタバタと慌てて、出掛ける準備をして、出掛けた。お爺様と二人だけで、出掛けるのは、初めてかもしれない。




 「...椿ちゃん、大丈夫かい?」

「はい、大丈夫です!お爺様」

普段より長い距離を歩き、また、歩きなれない道だったので、心配された。

「大丈夫なら良いんじゃが、普通の若い青年達ですら、きついと言われる道だ。だから、無理しなくて良いんだよ!」

「いえ、大丈夫です!お爺様は、大丈夫、なのですか?」

「ああ、若い頃から散々鍛えられからのー。水瀬に、よく忍者屋敷のような装置を作られ、怪我しそうになり、身の危険を感じた。まあ、その後で懲らしめたんじゃがな!」

なんか時々、お爺様が怖いと思う。

「...そうなんですか。そう言えば、辰之介様達は、雪合戦をやっているのでしょうか?」

「かもな...。儂も若い頃、水瀬達とやり合ったなー。みっちゃんを賭けて。」

その言葉に、何故と疑問点が上がってきた。

「...みっちゃんの写真を見たことあったよね?」

頷いた。

「みっちゃんは、誰もが護ってあげたくなる天然系の美少女だった。花のように可憐で、か弱くて、お淑やかな娘でね。彼女を口説いたりする奴や熱狂的親衛隊がいたんだよ!」

「そうなんだ。お爺様は自慢だったんでしょ?」

「ああ、それはかなり鼻が高かったよ。でも、あまりの可愛さに周りが放っておかなかった。で、水瀬が資産家の息子とかに頼まれて、勝手にみっちゃんと遊びに行く約束を取り付けやがったから、抗議したり、蹴散らせたり、雪合戦をしたんだ。まあ、内のお庭番達の協力あっての完全なる勝利だったんじゃ。ずっと、みっちゃんをお嫁さんにするつもりでいたんだが、それは叶わなかった。みっちゃんは、体が弱くて、跡継ぎを産むのに、望ましくなく、血が濃くなると言った理由で、結婚を認めて貰えなかった。まあ、その裏で、みっちゃんのお母様が糸を引いていたんだ。みっちゃんを殺そうとしたり、体を傷物にしようとしたが、全て、失敗に終わったが、あの娘の心は硝子のように傷付き易くて、かなり心に深手を負った。何があっても、彼女を護っていくつもりだったが、私は...裏切ってしまったんだ....」

お爺様は、歩くのを止め、立ち止まった。

「...みー御婆様はそんな風に思ってないと思う。お爺様のことが今でも大好きだと思います。だって、そうじゃなければ、逢いに来ないだろうし、お爺様の好物とか作ってくれないんじゃないでしょうか?」

お爺様は、悲しそうに笑う。

「...良いんじゃ。さぁ、雪で歩きにくいだろうが、急ごうか?」

「はい。」

これ以上、何も言えなかった。




 ーIN北条家

「ええ!!椿ちゃん、お爺様とお出掛け!そうか...せっかく、お芝居の招待券を戴いたから一緒に行こうと思ったのに......。」

北条家を訪ねた辰之介様だが、私は、お爺様と一緒にいることを薫さんから聞いて、しょんぼりしていた。

「...そうだ!薫さん、樹が何か武器の整理をしていたんだけど、行き着けの金物の主人が体を壊してしまって、修理を頼めなくて、困っていたんだけど、どこか、良い所を知らない?」

思い出したように言う。

「それでしたら、確か腕の良いお弟子さんと息子さんがいるはずですよ。若しくは、樹の一族の方にも、刀鍛冶の方がいらっしゃるはずですわ。」

「そうなんだ...。これは、俺は勝手にしたことだから、樹に言わないで下さい。ただ、以前より溜め息が増えてね。薫さんの見合いの噂を聞いてから、ドジもよくするから、心配なんだ。」

「もう、そんな噂が...。樹様は、ただ単に、調子が悪いだけですわ!時期を過ぎれば、戻るはず!だから、私が余計なお節介するなんて出来ないわ!」

逃げているように思った。

「...薫さん。樹に好意を寄せるとかないの?あいつは、きっと、貴女のことを好きだよ。樹は不器用だから、口に出さないけど、ちょっと嬉しそうな時もある。薫さんに好きと言って貰えたら、きっと...」

「そんな訳ある訳ないでしょ。」

そんな話をしている時、和久様が乱入。

「何で、テメェーがいるんだよ!」

「椿ちゃんに逢いに来たんだよ!あいにく、留守だしな。薫さん、何でも否定するなんて良くないよ!」

和久様を無視して、話を戻したので、彼にはチンプンカンプンだった。

「その話は終わりにしましょ!私、まだ、仕事がありますんで、失礼します!」

「あっ!待って、薫さん!」

追い掛けようとすると和久様に捕まった。

「無視するな!ここで逢ったら100年目!勝負だ!」

「また?それより、薫さんを追い掛けないと...。和久君は、薫さんと樹、どう思う?」

「ハァ?知るかよそんなこと。二人に何かあんのかよ?」

「あると言うより、樹が薫さんが見合いする噂に戸惑っているんだよ!優秀なのに、失敗を連発して、彼女の名が上がる度、ビクついたりして、気の毒なんだよ!」

必死に訴えかける辰之介様に、若干、苛立っていた。

「そこで、椿ちゃんと俺と君で、樹と薫さんをくっつけよう大作戦を決行しようと思うんだけど、どうかな?良い案だと思わない?」

全くと言って悪気のない辰之介様の笑顔と心遣いが、和久様は更に苛立った。

「勝手に決めるんじゃない!椿が言い出したんなら聞かないわけに行かないけどな!お前のは、余計なお節介で、腹が立つんだよ!誰がお前になんか協力するか!」

「和久君は、二人が好きあっているのに、離れ離れになっても平気なの?俺は、そんなの耐えられないよ!ねぇ、和久君!」

猫なで声のように一生懸命、訴えかけるが、逆に苛立ちを買ってしまい

「協力なんかしねぇよ!どうしてもと言うなら、俺に勝ってから言えよ!」

この売り言葉を坂手に取り、辰之介様は言った。

「俺が勝ったなら、文句なしに協力してくれるんだよね?だったら、勝負しよう。負けたら、君には頼まない。それで良いかい?」

さっきの小さな子供が駄々をこねるような声から、一瞬にして声の高さが変わり、低く落ち着いている。逆に、その変わり様が、和久様に嫌な予感を予兆させるものだった。

「...ふっ、まあ良い!勝負雪合戦だ。これだけ、降り積もれば、思う存分、出来るだろ?どうだ、やるか?」

「望むところだ!」

こうして、白熱の闘いの切り札が切って落とされた。



 舞台は移り変わり、何故かただの雪合戦が見物人が増え、薫さんが実況中継を送ろうとしていた。

「は~い!これより北条家の若き天才舞踊家の和久様と九条家の笛の名手の孫で、爽やか、優しいと評判で、椿様の素敵な恋人、辰之介様の雪合戦、対決が始まります♪」

和久様は、突っ込んだ。

「おぃ、ちょっと待て!俺様の解説は一言に対して、こいつだけ長いんだ!しかもちゃっかり公認恋人みたいな話までしやがって!!」

「だって、辰之介様は、毎回、訪ねて来られる度に土産を下さいますし、困っていれば、さりげなく助けて下さいますよ!」

いつしか、株が上がっていると思った和久様は、辰之介様を睨んだいた。

「和久君!日頃の行いだよ!」

笑顔で言う辰之介様。悪気はないのだが、和久様には、腹黒く写っているようだ。

「っち。で、なんでこんなことになるんだ?」

「あら?だって!毎年、恒例行事みたいなものですし、今年は何か違うような雰囲気を醸し出している様な気がしまして、こんな面白そうなことを見逃すわけには、行きませんわ!」

野次馬化する薫さんに、和久様と辰之介様は疲れた。





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Last updated  April 1, 2009 07:56:38 AM
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