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2024.05.06
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カテゴリ: ルネッタブックス


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2022年11月刊
ルネッタブックス
著者:西篠六花さん

男爵家令嬢・清乃は結婚を目前に亡くなった姉の代わりとして、侯爵家嫡男・有季の元へと嫁ぐ。身分と資産を交換するような政略結婚で、婚家の誰もが冷たい中、地味で大人しい清乃は健気にふるまう。実は可憐な容貌と聡明さを持つ彼女に、次第に惹かれていく有季。迎えた初めての夜、清乃は彼の甘く蕩けるような激情に包まれ、熱い手に翻弄されながら快感に震えー。




登場人物
 一堂清乃=周防男爵の次女。亡くなった異母姉の代わりに有季の元に嫁いだ。
 一堂有季=侯爵家の嫡男。婚約者の死により周防家に不信感を持つ。
 石野多恵=有季とは乳姉弟の間柄の使用人。
 御厨圭吾=有季の友人。
 周防燁子=故人。清乃の異母姉で才色兼備と評判の令嬢だった。



実はこの縁談、燁子に甘い父が資金援助を盾に侯爵家にゴリ押したからなのだが、姉は有頂天だった。
清乃は自らも有季に憧れていたことをひた隠し、燁子を祝福。趣味の刺繍や琴の演奏に打ち込み寂しさを紛らわせていた。

姉の結婚式がひと月後に迫ったある日のこと、屋敷ではとある知らせを受けて大騒ぎになっていた。なんと、燁子が人気のない路地裏でこと切れていたというのだ。
手には小瓶が握られており、状況的に事件ではなく自死だと判断された。父は嘆き悲しみ燁子の実母である本妻の喜久子はショックでふさぎ込んでいるらしい。
しかし、あんなに毎日が楽しそうで式を楽しみにしていた姉が自ら死を選ぶだろうか?清乃は燁子が自殺したという事実がどうにも信じられなかった。
喪が明け、一堂家との縁談は無かったことになるかと思われていたが、多額の資金援助をしていた父は破談を良しとはせず、代わりに清乃を貰って欲しいと申し入れていた。
当然ながら一堂家は突っぱねた。そもそも、自殺の原因は燁子が不貞の末に結婚を嫌ってのものとあらぬ噂が立ち、すぐに疑いが晴れたとはいえ有季は警察に事情聴取までされたのだ。
プライドの高い一堂家当主は大激怒。
有季も周防家の対応には内心腹を立てていた。
だが、成り上がりとバカにされない為にも男爵はどうしても侯爵である一堂家と姻戚関係になりたかった。清乃を娶ってくれないなら援助した資金を耳を揃えて返済しろと脅し、何とか承諾をもぎ取ったのだった。

後日、清乃は父からお前が代わりに嫁ぐのだと命じられて唖然。
どうしてそんな恥知らずな事ができるのか。有季は面子をつぶされたも同然なのに。だが、妾腹である自分には父に逆らう力は無い。思う所はあったが、唯々諾々と従った。
それから一年後、清乃は一堂家に嫁いだのだが、歓迎されていないのは歴然。
舅と姑に当たる当主夫妻は清乃を下賤な者と蔑んで徹底的に無視を決め込み、有季には仕事で多忙だとして披露宴の後から放ったらかしにされていた。
そんな彼女を気の毒に思ったのか、有季の乳姉弟だという女中の多恵はなにかと清乃に良くしてくれていた。

それから一ヶ月ほど経ち、漸く仕事も落ち着いた有季は自分が不在にしていた間、清乃が屋敷で孤立していたことを知り猛省していた。男爵の対応に腹を立て、清乃には何の落ち度が無いのに、思い返せば婚約中にも燁子相手にはしていたデートも贈り物の類も全くしていなかった。
ご機嫌窺いにも来ない婚約者にどれほど彼女は寂しく思ったであろう。しかし、久しぶりに会った清乃はお仕事が忙しかったのでしょう?と一切責めず、それどころか有季の身体を心配していた。その言葉を聞いて思い直した彼は妻として清乃を大事にしようと決心したのだった。
翌日から有季は彼女を溺愛、婚約時代の穴埋めをするかのように贈り物をし、デートを重ねた。清乃は内気過ぎて学校も中退していたが博識で字も美しい。ふとしたことで燁子からの手紙も彼女が代筆していたことを知り、彼は異母姉に搾取され続けていた清乃の過去に愕然とした。

夫婦仲も深まり、仲睦まじいことを聞きつけたのか姑の和子からは、認められたいなら早く跡継ぎをとせっつかれた。でも無視されていた頃に比べれば話しかけられるだけで進歩だと思う。
だが、この頃から清乃の私物が無くなるという出来事が。一番最初に消えたのは有季から贈られた帯どめ。高価な品な上にきっと君に似合うと彼が自ら吟味して買ってくれた大切な物。この時はショックで大騒ぎしてしまったが、騒ぎを聞きつけた彼は失くしたというより盗難であろうと判断。執事に使用人の事情聴取と念のため屋敷内の調度品が全部揃っているか調べるよう命じた。
一方、清乃はあのあと、日記帳と有季との写真まで破られているのを見つけて意気消沈。嫁入り道具の簪まで折られており、これはどう見ても金銭目的というより恨みによる犯行に思えた。
帯どめ以外は大ごとにしたくなくて黙っていたが、流石に怖くなり多恵に相談すると、数日後新入りの女中の部屋から帯どめが見つかったとして盗難事件は一応の幕を閉じたのだった。

何とも釈然としない幕引きではあったが、その日、有季が友人だという御厨圭吾を連れて帰宅。どうしても清乃の顔を見たいと圭吾から頼まれたそうだが、顔立ちは整っているのにどうも苦手な人種だった。しかも商談の電話で有季が席を外すと、自分と火遊びしようと不貞行為に誘って来たので思わず怖気が。手を振り払うと圭吾から有季が吉原に足繁く通っている事、馴染みの娼妓がいることを告げられ・・・。


夫に花魁の愛人がいると仄めかされ動揺する清乃。
つい嫉妬心もあって有季を拒絶してしまうも、後に誤解だと判明します。
娼妓は彼の親友の妹で、不幸にも妓楼に売られてしまったが身請けできるほどの金額は用意できず、せめて少しでも早く年季が明けるよう、客として一緒に酒を飲み金を落としていただけでした。
でも、その頃清乃は圭吾の策略によって貞操の危機に。抵抗する中、実はこの圭吾が燁子の不貞の相手だったことを打ち明けられます。有季を妬んでいた圭吾は彼が結婚すると知り、その婚約者を横取りしてやろうと画策。まんまと引っ掛かった燁子は圭吾に骨抜きにされ結婚を迫っていました。
でも、これが明るみになれば一堂家から多額の慰謝料を請求される。燁子のことも煩わしくなり彼女に毒を盛って殺害したというのが事件のあらまし。
真相を知り愕然とする清乃は駆け付けた有季が間に合い事なきを得ます。さらに圭吾は遊びに来ては一堂の屋敷から調度品を盗み出して換金した上に、その他、勝手に有季を騙って借金までしていたことが明るみとなって逮捕されるのでした。
そして、清乃の私物を盗んだり壊していたのは多恵だったと判明。
有季に片思いしていた彼女は燁子も清乃も目障りだった。燁子の事件も直接関与はしていないが逢引の手引きをしたりと圭吾に協力していたことが供述から判り、多恵も罪に問われます。まぁこれは読んでても絶対にお前だろうと思ってたので特に驚きはなかったです。
お姉さんも何だか浅はかな人でしたねぇ。亡くなってからあれこれ露見してしまってかなり株を落とした模様。周防男爵は狡猾ながら清乃のことも可愛いのか、一堂家で蔑ろにされていないか気にしていたので少し印象は変わりました。一堂家の当主夫妻は多恵からあることないこと清乃の悪口を吹き込まれていたのが判り、こちらも誤解が解けて歩み寄りを始めていました。
有季との仲もさらに深まって清乃が待望の第一子を授かったと報告したところで本編は幕。
最終的には結構な子沢山家族になるみたいなことが示唆されてて、ふふってなりました。

ドアマット系ではありませんが今回のヒロインもなかなかの冷遇っぷり。
性悪な姉にいいように扱われていたものの、結婚によって本来の自分を取り戻します。夫となったのは初恋の人で、愛し愛されつつも困難を乗り越えていく、そんなお話でした。
あと、今作の悪役ポジの多恵さんのその後があとがきで書かれてましたが、やはり強かですねぇ。転んでもただでは起きないタイプだったか。


評価:★★★★★






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最終更新日  2024.05.06 10:01:16
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