つきあたりの陳列室

つきあたりの陳列室

2011.05.12
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カテゴリ: Other topics
(2010,F×Comics,太田出版)



志村さんの漫画では,一見よくありがちな話の流れだなあと思わせておきながら,読者を煙に巻き,少しずつ妙な方向へと話がずれていくことがよくあります。登場人物が可愛らしくてつい感情移入してしまうのですが,いつのまにかそういう不可解な世界や,不穏な展開にその子たちが導かれていくので,どうなっちゃうの?と不安になるわけです。

そしてハッピーともバッドとも言いきれない一見曖昧なエンディングも多く,もしかしたら吉本ばななや江國香織や川上弘美や小川洋子が好きな方には,肌に合うかもしれません。

「センセイの鞄」川上弘美の感想文
「すいかの匂い」江國香織の感想文




「すてきなあのこ」
 あまりにも面白くて悶絶しました。三つ編み眼鏡の真面目そうな女の子に惚れたほがらかな少年が,隣の机から毎日彼女を眺めていたら「見ないでくれますか」と言われ,告白したら「魔女になる修行の妨げです」と断られ,「じゃあぼくも魔女になる」と言ったら化学実験室に連れてかれて,そして……後半のアクロバチックな展開を嫌う人もいるでしょう。しかしそこは,現実の恋愛や,現実の失恋で感じるあの,非現実的な感覚をうまく表現しているような気もするのです。これはもしかして,ほんとうにおきたことではないんじゃないか…という。


「あたいの夏休み」 「中学生」 「とあるひ」
 この三作は,それぞれ小学生,中学生,20代とばらばらな年代の女性が主人公ですが,いずれも男性への思慕が描かれた,スナップショット的で読みやすい話です。どれも思わず頬が緩むような読後感ですが,特に,銭湯の番台お兄さんに惚れてしまう小学生女子の,あいまいな恋心を描く「あたいの夏休み」が好きです。タイトルを見てにやり。


「不肖の息子」
 しょぼくれた男性漫画家が二重三重の悲運に凹みながらも,なんとか踏みとどまろうともがく青春小説的な力作。山川直人さんの「コーヒーもう一杯」にも,ちょっと似た設定の話がありました。いずれもラストに深くて苦い余韻が残る,忘れがたい作品です。


「変身」
 主人公の20代女性が無意識レベルで友人に嫉妬していることが,不思議な手法で描かれます。とても短い話ですが,複雑な葛藤をすっきりさらりと読ませてくれる,実に巧い作品だなと思いました。







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Last updated  2011.05.12 22:58:47
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inalennon @ Re[1]:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子(09/19) フィンちさん >この世は なんてままなら…
フィンち@ Re:「記憶の中の源氏物語」 三田村雅子 「人生のままならなさ」への強烈な疑問と,…
inalennon @ Re:4年はあっという間(03/04) ハオさん >バーチュー&モイヤー組見…
ハオ@ 4年はあっという間 バーチュー&モイヤー組見ました。 優雅…

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