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2009年10月21日
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カテゴリ: 新聞掲載
暮らしに寄席、再び
2009年10月21日i_img_render[1].jpg
寄席を開く蔵の前に立つ藤田富美恵さん。「 空堀亭 」のちょうちんも新たにつくった=大阪市中央区

 昭和の街並みの残る大阪市中央区の空堀(からほり)商店街そばにある童話作家、藤田富美恵(ふみえ)さん(70)方の小さな蔵で24日、1日だけの寄席「空堀亭」が開かれる。藤田さんが半世紀近く前から焦がれた「暮らしに溶け込んだ寄席」。それは「近代漫才の父」と呼ばれた父親のこだわりでもあった。

 父親は、漫才作家の草分けの秋田実氏(1905~77)。約7千本の台本を書き、横山エンタツ・花菱アチャコら昭和初期に活躍した漫才コンビを支えた。ひわいさや下品さで笑いをとることを嫌い、「家族連れにも楽しめる笑い」にこだわった人だった。

 長女の藤田さんは1964年に結婚、家族と住んだ家を離れ、空堀商店街のそばに移り住んだ。まもなく、近所のお年寄りが「昔は商店街のなかに寄席があって、風呂帰りによう見にいったもんや」と話すのを聞いた。庶民に溶け込んだ寄席は市内に数多くあったが、ほとんどが太平洋戦争の激化で閉められたらしい。演芸に囲まれて育った藤田さんは、父と離れたこともあってか、それが寂しくてたまらなく感じた。

 以来、半世紀近く。寄席がかつてあった場所の前を通るたび、「商店街に寄席があればどんなににぎやかだろうか」と想像した。3人の子育てを終え、父の残した資料を整理したり、童話や漫才の台本を書いたりする日々を送っていた07年。空堀商店街を舞台に、ひとり暮らしのおばあちゃんが、2人の小学生と寄席の再開を目指す物語の執筆を始めた。「せめて本の中だけでも、思いを遂げたかった」と藤田さんは振り返る。

 今年5月に完成し 、「からほり亭で漫才!」(文研出版、税別1300円)

 藤田さん方の裏庭には、家業でろうそくのろうをつくっていた江戸時代末期に建てた木造2階建ての蔵がある。壊すか残すかで迷ったが、昨年4月に改装し、普段はデイケア施設のまち巡りの拠点となっている。

 「30人ほどしか入れないこの蔵なら、客の反応が演じ手にじかに伝わる。度胸がつくし、芸が客によって磨かれる」。出演者は、藤田さんがスカウトに出向き、 08年度のワッハ上方アマチュア演芸コンテストで大賞・金賞を受賞した落語家「りんりん亭りん吉」さん(小5) と、6歳の娘と32歳の父の漫才コンビ「ぱぱとはる」に決まった。「子どもたちに、こんな寄席がかつてあったことを知ってほしい。父もそう望んでいると思う」と藤田さん。

 24日午後2時開演。入場無料。当日は空堀地区で、長屋や石畳の路地を利用したアート展示「からほりまちアート」も開かれる。問い合わせは藤田さん(06・6762・7635)へ。

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空堀亭.JPG

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最終更新日  2009年10月24日 23時53分42秒
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