ハリハリ資料室・第一分室

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2009年10月13日
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◆救われない話を書く作家がいる,という同僚の栗林先生(読書はもっぱら恋愛小説が専門)の話に興味を示したら,翌日,何冊か持ってきてくれた。
 作家の名前は,本多孝好。とりあえず読み始めたのは,『真夜中の五分前』。
 恋愛小説で,主人公は仕事ができて異性にもモテモテの,広告代理店の切れ者社員…… とくると,もうそれだけで読む気など薬にするほどもなくなってしまうはずなのだが,そんなことに気づいたのは,かなり読み進めてからのことで,困ったことに,これがすこぶる面白い。もしかしたら,このままこの作家のファンになってしまうかも。実に困ったことだ。

 新潮文庫版・上巻,p.53とp.55に,ハリネズミ・レトリックが登場する。
「僕は成田さんの口が吐く煙草の煙と酒の匂いと繰言とにうんざりしながら、二人がセックスするするシーンを思い浮かべようとしたが。が、うまくいかなかった。鯨とハリネズミの交尾のほうがまだ想像できそうだった。
『俺たちは愛し合ってるんだ』と成田さんは言った。
 確かに僕も、それ以外に原祥子が成田さんと付き合う理由なんて思い浮かばなかった。(p.53)」
「(前略)そう説明したところで、そんなもの周囲が納得するためのものでしかなくて、そんな理由で人は人と寝たりしない。ハリネズミだって、そんな理由では鯨と寝たりしない。
『たぶん、愛していたからでしょう』と僕は言った。

長内課長は繰り返して、白けた顔で僕を眺めた。
『愛です』と僕は頷いた。
『愛か』
『愛でしょうね』
 小さなため息をついて、長内課長はぼやいた。
『君らの世代の冗談は、時々わかりにくくて困るよ』
『すみません』と僕は言った。」

 この,さりげない毒。絶妙だ。

 もう一つ,p.88には,「メランコリイ入門」向けの言葉も。
「『でも、遺伝子にそんな深い意味なんてあるのかな? 猿と人は遺伝子的にはほとんど同じなんだよね? 五パーセントくらいの違いだっけ? でも、猿は猿で、人は人だ』
『そうですか?』とかすみさんは眉をひそめた。『あなたの周りに、五パーセント以上、猿と区別のつく人がどれくらいいます?』」





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最終更新日  2009年10月14日 02時34分25秒
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