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2005年12月04日
第四回 世界最大の株式の買い手
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2005年9月30日
ADRと株価形成
ADRを発行するとアメリカの株主が増えますから、その企業の株価形成も自ずとアメリカ人投資家の「好み」を反映しやすくなります。それでは一体、「アメリカ人投資家の好み」とは何でしょうか?。これは対象となるセクターや個々の企業の業績の推移、その企業の投資家とのコミュニケーションの在り方など、様々な要素に左右されます。従って、とてもひとことで言い括ることは出来ません。それらの細かいニュアンスについては今後、折に触れて解説してゆくとして、今日は大局的な見地から考えてみましょう。
米国は世界最大の株式の買い手
米国の株式市場は時価総額で約15.6兆ドルの巨大市場です。世界の株式市場の約半分を占めている計算になります。連邦準備銀行の資料によれば米国市場の60%を個人投資家が直接、間接(投資信託)的に保有しています。ADRを発行するという事は即ちこの巨大な資金プールにアクセス出来るという事を意味します。
米国の投資家は昔は「田舎者」で、海外の市場には見向きもしませんでした。国内に大きな株式市場がありますから、わざわざ外国株を買うという発想にならなかったのです。しかし、過去25年くらいの間にこの投資態度は劇的に変化しています。この間、米国人の保有株式に占める外国株比率は全体の1%から13%へと比重を増しています。金額ベースで言えばおよそ100倍に成長しています。このトレンドを反映してADRの売買高も年々二桁成長を記録しています。
つまり、今後、米国投資家の世界の株式市場に対する影響力はさらに大きくなることが予想されるわけです。米国投資家の存在がエマージング・マーケットの株価形成に影響を及ぼす片鱗は既に中国株に見て取れます。
中国株に見る外人投資家の重要性
近年の中国株のトレンドとして、外人投資家向け市場であるH株市場は堅調であるのに対して、中国国内投資家向け市場であるA株市場は買い手不在のままズルズル安という構図が定着してしまったようです。同じ国の株式市場なのにどうしてこうまで差が出たのでしょうか?
勿論、中国政府はQFII制度などによりA株市場へも外人の資金を呼び込むことを試みてはいます。しかし、「QFII制度の導入がA株市場の下支えになるのではないか」という期待はこれまでのところ裏切られていると言わざるを得ないでしょう。そのひとつの理由はQFII制度によるA株市場の開放はあくまで「中国のルール」で勝負することを強いる制度だからです。これとは対照的にADRは「アメリカのルール」で勝負することを強いる制度と言えます。つまり、発行体(株を出している企業のこと)の方がアメリカの開示基準に合わせることを要求されるわけです。
アメリカの投資家には「自分達は世界で最大の資本市場を持っているのだから、我々のルールがベストだ」という考え方が根強くあります。パックス・アメリカーナ(アメリカ覇権主義)的な考え方ですね。本当にアメリカのルールがベストであるかどうかは一概には言えない気がしますが、QFII制度がアメリカの資金をA株市場に呼び込めなかった根本的な原因はここにあると思われます。
一般に、米国投資家の中国株に対する関心は日本のそれに比べてまだまだ低いです。今回の人民元の切り上げなどを契機に今後注目度が高まることが考えられます。中国株の今後の株価形成を理解する上でADR投資家の視点から物事を考えてみることが、今後ますます重要になるのではないでしょうか?
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最終更新日 2006年01月31日 11時54分04秒
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