2007年10月09日
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今日のまとめ

1. 民間企業の活動を規定する法律の整備は遅れた
2. 自営業の創意工夫がベトナム経済を支えた
3. 国有企業は経済におけるシェアを上げている
4. ベトナム経済は慢性的な資本不足に悩まされてきた


■遅行する法整備

 1986年のドイモイ政策で市場経済の導入が打ち出された後、農業セクターではすぐに改革が実行されました。しかし民間企業の活動を規定する法律が整備されたのはずっと後でした。従ってルールがきちんと決まる前からベトナムの実業界は走り出さざるを得ませんでした。1992年の憲法でようやく経済活動に関する大枠が規定されました。具体的には:

1. 国有企業は個々の経営者が責任を持ち独自で利益を出すよう努力すること
2. 民間企業は国有企業と競争してよい
3. 政府は勝手に民間企業を接収ないし国有化してはいけない

5. 貿易を振興する
6. 生産財を私有化してよい
7. ベトナム政府の経済政策の目的は人民を金持ちにし、個人の物質的、精神的欲求に応えることにある

 などが決められました。このようにベトナムでは先ず民間が既成事実を作って、それを政府が追認するというやり方が採られたわけです。これは杓子定規なワシントン・コンセンサス(世界銀行やIMFが提唱する国づくり)の考え方からすれば危なっかしいアプローチに見えるかも知れません。しかし創意工夫を得意とするベトナム人の気性にはこの方が合っていたのかも知れません。このことからもわかるようにドイモイ政策後のベトナムの経済的成功は政府の賢明なガイダンスの賜物と言うよりは草の根のレベルでの庶民の頑張りに由るところが大きいのです。


■驚異的な経済成長

 言うまでもなく当初のベトナムの競争力の源泉はその安価な労働力にありました。現在もベトナムの平均労働賃金は中国の60%程度の水準です。これは今後も当分の間ベトナムが競争優位に立てることを示唆しています。

ベトナムと中国の労働賃金の格差

 この安価な労働力と創意工夫を梃子としてベトナム経済は目覚しい成長を遂げました。

ベトナムの実質GDP成長率

 実際、過去10年の平均GDP成長率ではベトナムは中国に次いで世界で2番目に急成長した国となりました。

アジア諸国の過去10年の平均GDP成長率

 一人当たりGDPも725ドルとインドの800ドルとほぼ肩を並べています。

ベトナムとインドの一人当たりGDP

 このようなベトナム経済の成功は次の2つのことを考えるととりわけ驚異的であると言えます。即ち:

1. 国有企業の経済に占めるシェアは低下せず、逆に上昇を見たこと
2. 加工輸出などの外国から移植された資本やノウハウに依存しなかったこと



ベトナムの国有企業がGDPに占める割合

 また、法整備の遅れは私有財産を法的に規定、保護することが遅れたことを意味し、これは銀行からの事業融資などが受けにくい環境を作りました。そのためベトナムでは常に商売を始めるにあたっての元手の資本が不足したのです。このため事業所の規模は零細なままにとどまり、自営業のような事業形態が経済の主流を占めました。こんにちのベトナムの株式市場の大半が比較的貧弱な規模の企業によって占められている遠因はここにあります。





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最終更新日  2007年10月09日 18時46分42秒


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