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2008年09月29日
第141回 リパトリエーション(資金引き上げ)下での投資機会について
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今日のまとめ
1. ロシアは市場閉鎖などで失った投資家の信頼を回復するのに時間がかかる
2. インド、ブラジルは堅実な経済運営がされているが、不安を残す
3. 通貨の安定性の面では中国が抜きん出ている
■ロシアの資本市場はかなりギクシャクした
米国のサブプライム問題に端を発する今回の世界の金融不安で、一番対応を誤った国はロシアだと思います。ロシア株式市場はザラ場20%近く乱高下する日が相次いだのみならず、9月17日、18日、19日の3日間にわたって部分的ないし終日市場が閉鎖されるなど、世界の株式市場の中でも最も大きな混乱を見せました。鉄鋼会社メチェルに対するあからさまな政府の介入、原油価格の下落、グルシア侵攻など、世界の投資家を幻滅させる材料が次々に出てきたことがその原因です。また財務大臣が石油会社に対する減税に反対すると発言し、これが石油株の急落を招いたことも指数下落に寄与しました。投資家は今回の市場閉鎖のように「売りたいときに売らせてくれない」マーケットをとても嫌います。その意味ではロシアの今回の措置は後々まで投資家の記憶に残るでしょう。
ロシアの外貨準備はつい今年の夏までは6000億ドルにも迫る勢いで、中国、日本についで世界で三番目に大きかったです。しかし今回のロシアからの資金引き上げで外貨準備は急速なペースで減少しました。
ロシアの金利は上昇気味です。宅建業者の資金調達コストはこれまでの8%から25%に跳ね上がりました。モスクワのアパートの価格は過去3年で3倍になりましたが、今、バブルが弾けつつあります。資本市場に貸し付けの原資を依存しているロシアの銀行や証券は瞬間的に資金繰り困難に陥りました。いわば、「ミニ・リーマン・ブラザーズ」的な状況になったわけです。政府は金融機関に対する緊急融資でこの急場をしのぎました。
幸いロシアの失業率は歴史的に低いし、小売売上高は堅調に推移しています。輸出のペースもまだ落ちていません。だから全てが失われてしまったわけではありません。しかし原油価格の低迷が長引くと石油や天然ガスの輸出から来る収入のクッションがなくなります。
■優等生ブラジルも試される
ブラジルは現在の世界的に厳しいマクロ経済の環境の中で比較的手堅い経済政策を敷き、苦境を乗り切ろうとしています。こういう局面での対応という点では世界のどの新興国よりブラジル中央銀行は経験があります。ブラジル中銀の処方は政策金利を高目に引き上げ、インフレを押さえ込むとともにブラジル・レアルの魅力を維持することで海外資金をつなぎとめておくという手法です。この方法が功を奏して消費者物価指数は明らかに沈静化しつつあります。ブラジル中銀の高金利政策は株式にとっては悪いことですけど、若しこれでブラジルが金融不安を乗り切ることができれば、内需を中心に再び投資チャンスが出てくると思われます。さらにこのところのブラジル・レアルの下落で輸出業者は少し楽になっていると思われます。
ブラジル市場の株価収益率(PER)は約10倍で、来年のEPS成長率は12%程度が見込まれますが、これは素材価格に大きく左右されます。
■インドは通貨不安局面には弱い
インドは貿易赤字の上、財政赤字でもあり、さらに外貨準備も中国やロシアほどは厚くないということから足の速い投機資金が逃げやすいマーケットです。ただ、そういう比較的恵まれていない条件の中で、インドの政府はできることはちゃんとやっていると思います。卸売物価指数も沈静化してきている印象を与えます。また、インドは石油を輸入に頼っているので最近の原油価格の下落はプラスです。そういう好材料にもかかわらず通貨危機の状況では圧倒的な世界のお金の流れに押し流される危険もあると思うのです。BRICsの中ではこれまでインドが一番好きな市場でしたが、このところの新興国からのリパトリエーションの状況の中ではより用心深い投資態度に変更した方がよいと考えています。
インド市場の株価収益率(PER)は約15倍で、来年のEPS成長率は17%程度が見込まれます。
■際立つ中国の通貨の安定性
最後に中国ですがオリンピックが終わったあと、経済には成長鈍化の兆候が見えています。まず工業生産にモメンタムの衰えが見られます。これは五輪開催期間中という特殊要因も働いているのかも知れません。小売売上高も少し頭打ちの様相を呈しています。消費者物価指数はかなりザックリと下がりました。こうしたマクロ経済指標の低下を受けて中国の貸付金利は27bp引き下げられ、7.2%となりました。中国の金利政策が緩和基調へと転ずるのは実に6年ぶりのことです。BRICs各国中、中国だけが利下げ局面に入れているということは中国経済の強さの表れです。なぜなら、中国は通貨防衛を心配しなくてよいからです。今回の利下げが株式市場に効いて来るのは未だ先の話かもしれません。でも基本的にインフレが収まり、金利が下がり、しかも通貨に心配が無い状態では、株は「買い」なのです。このことから現在の新興国の中では中国が抜きん出て魅力的だと言えます。
中国市場の株価収益率(PER)は約13倍で、来年のEPS成長率は約19%が見込まれます。
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最終更新日 2008年09月29日 19時59分47秒
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