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三女Kはなかなか大変な学科にいます。
実習の講座で絵を描いたりデザインをしたりするのが、一週間に2つあります。
ともに毎回課題が出され、期限までに作品を提出することになっているのですが、 一回たりとも提出時間に間に合わなかったら、その場でその講座の単位は没になる
という、大変厳しい講座です。
だからと言って手抜きなものを提出しても、やはり課題を満たしていないということで、それも没!
描くことの好きなKにとってはまたとない素敵な時間ですが、課題に沿い、なおかつ自分が満足できるようなものを提出期限までに完成させるというのは至難の業。
課題に間に合わせるために、毎週のように完徹(一睡もしない徹夜)の日があります。
他にも毎回テストのある講座もあるし、間もなくクラブの初めてのライブコンサートを控えていてその練習も大変。何しろ、全くの初心者といっていい人が、聴衆の前でトランペットを演奏するというのですから・・・。
2週間ほど前のことだったと思います。
とても悩まされる課題 「壁紙や包装紙のような連続模様の作品を作る
」、と 「見てトリックを感じる作品
」、たとえば同じ大きさのものなのに、背景の描きかたで違った大きさに見えるというような錯覚を起こす作品を作る、という課題がありました。
その構想やアイデアに至るにもとても時間がかかってしまい、おまけに先輩のライブコンサートの打ち上げで気前よく夜中まで付き合っていたりしたから、本当に時間がなくなってしまったのです。
いつもKは徹夜になりそうなときリビングに毛布と枕を持ち込んで、作業にかかります。端っこには栄養ドリンクも置いて・・・ 私なんてそんなもの未だ飲んだことはないというのに、長男Aにどれが効果的とか味は?なんて聞いて情報を仕入れ、知らぬ間に10本セットが買いこまれています。
まだ下書きに少しバックの色が塗られた状態です。一晩かかってどこまでできるのでしょう。
朝起きてみると、もう学校へ行く準備をしているKがそこにいます。疲れた顔ではあるけれど、私の顔を見るなり
「見て見て、ここまで塗れた!」
背景の ワインレッド
、それに蔦?(茎と葉っぱ)は 濃いめのグリーン
が塗られていて、花やつぼみはまだ色がさしてありません。
この二つの色を補色というのでしょうか?互いに反発し合って眼がチカチカしてきます。
色を施していない真っ白な部分があるから余計なのだろうけれど、
「この組み合わせ大丈夫なん ?
」
って思わす口に出してしまいました。
せっかく完徹して塗った色にケチを付けられたKはちょっと溜息!私は即
「花とつぼみの色によっては大丈夫かもしれんな~~」
とホローを入れました。
最も彼女も言われるまでもなくそのことは分かっているのだけれど、はっきり口に出されたものを耳すると ガクン
とするんですよね
なんでも「良い、良い」なんて言っていたら、ちゃんと見てくれてないと言ってすねるし・・・、素人の私が見てやるというのも難しいものです。
学校の空き時間に少しでも塗ろうと作品を持って行くつもりがその日は雨で、わぁ~~画板のカバーにもカバーをかけないといけないほどだし、「不運」とこぼしながらもがんばってバス地下鉄登校しました。
一日を終えて夜に帰宅したKはさすがに疲れた顔、それでも
「お母さん、今晩も完徹になると思うわ・・・」
「へ、それは無理やろ。昨晩一睡もしてないし、二晩も全く寝ないで普通に通学するのはあまりにむちゃ!」
「でも、やるしかない。明日正午が締切なん」
まるで漫画家さんのようです。
前日の如く、しかし栄養ドリンクは何本も置いて、耳にはイヤホーンを付けて・・・
花は どの色 がいいか?とまた私に聞いてくるから、もうちょっと薄いほうがきれいかも…などなどちょっとコメントして、
「とにかく、なるべく早く仕上げて、少しでもいいから寝てね」
と言い残して寝に行きました。そばに居てやりたいけれど、いればいるほど、私にあれこれ聞いてくるから、さらに時間がかかる。
その夜、彼女は睡魔と闘いながら、筆を進めましたが、ふっと気がついてみると、
描いている 花が笑っている
のだそうです。
え、なんでこの花笑ってる
の?そう思うと、つい自分の腕が勝手に笑った顔している花を描いている
ぎょっとして、違う違う、いったい私は何しているん
!
普通に塗るの、そう隣にある花と同じように・・・
翌朝起きてみると、Kはダレッとソファに体を横たえ身動き一つしません。作品の方は90%の仕上がり。まだやらないといけない。
でもあの補色チカチカ現象は見事にクリアーされていて、すごくすてきなパターン模様が作られていました。
ぬさっ、フラッと起きてきたKは憔悴している様子。
「今から自転車で学校に行って最後の10%を塗り、12時提出に間に合わせます。
Hちゃん(長女)この眼の下のクマ、なんとか隠すものない?」
「ハイハイ、Kはもう少し手を抜いて自分の作品を自分らしくする方法を見つけないとね、そんなんじゃ、もたないよ!!」
常に期限に追われる仕事をしている先輩からの厳しいアドヴァイス付きでコンシーラーが渡されました。
ちゃんと学校にはたどり着け、期限にも間に合って提出できたそうです。
若いとはいえ、こんな毎日を送るKには ハラハラ させられます。
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