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2008.11.25
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カテゴリ: 友人



今日(11/25)の読売新聞の「こころのページ」に友人が載っていたからです。

以前にもこの日記で紹介したことがある多発性硬化症で2000年に亡くなった 阿南慈子 さんのご主人で阿南孝也さんです。難病になった妻の看病と発病時3歳と1歳だったお子さんの育児、そしてご自分のお仕事と穏やかなその笑顔や態度からはちょっと想像できないぐらいがんばった毎日を何年も続けておられました。

私も94年春にカナダから京都に帰って、慈子さんのところに二男Sを連れて訪問したときは、そのとっても大変な時期を少し越えられて、家事はお手伝いさんが入って下さったり、ボランティアの方がきて下さったりして、慈子さんの自宅療養がスムーズになってきていた時だったと思います。

そのうち彼女の作った詩やエッセイを本(花シリーズ他)にすることになって、ひっきりなしに口述筆記のために私も含めて友人たちが彼女の家にお邪魔するようになっていきました。

その時、みんな慈子さんにばかりに気を取られていたように思います。
なんといっても難病になっているのは彼女だからです。
全く寝たきりの状態で、寝返りなど到底できない、
首から下は全く感覚がなく、動かすこともできない彼女。
全く視力はなく、
かろうじて小さな声と普通の食べ物を味わってごっくんと呑み込めること、
そして彼女の言う「地獄耳」が小さな音を聴き逃すことなく周りの状況を彼女に伝えているのでした。

今日の記事の中に
不機嫌になる夫に失望し嘆くのである。体のどの機能を失ったことより、夫が持て余しているのではと感じていたこの時期が最も辛かった
と彼女のエッセイの一部が引用してあるのを読んで、「慈子さん、慈子さん」とみんなが言っていたころのご主人の気持ちを思いました。

ご主人は本当に彼女のために普通の人では考えられないほど、毎日毎日精一杯のお世話や看病と子育てをなさっていました。
どれだけ彼女のことを愛しておられたか、と思います。
本当に誰もができることではない。

それでも時にはため息が出る。
身体の限界を感じたり、全くやる気がでない日もある。
そんなときでも、私がやらなければ・・・、と孝也さんは動かれた。

何しろ彼女は夜中に「寒い、」と思っても自分で布団をかけ直すことも、エアコンのスイッチを入れることも、のどが渇いて目が覚めても、自分ではお茶を飲むことすらできないのです。

何でもそばにいる彼を起こさなければいけない。

よく彼女が言っていました。
「もう少し、我慢しよ。もう少し孝也さんを寝かしてあげよ・・・」
それでも、とうとう限界がやってきて、起こさなくてはならない。

「ごめんね、ごめんね、」と声をかける前から思い続けている彼女。
寝ぼけた彼がちょっとついたため息を彼女の地獄耳が察知してしまう。
そんなとき、どうしても彼のお荷物になっている自分しか、見つけられないのです。
それが彼女にとって最も辛かった。
一番よくしてくれる彼に一番感謝して、何か自分が彼を喜ばすことはないかと、いつも明るい心で考えようとしているのに、お荷物になっている自分ばかりが見えてくるみたい・・・。

そう彼女が彼に言ったら、どれだけ彼の方もがっかりしたでしょう。
何のために僕はこの努力をしているのだろう、って。

そういう二人のことを私は十分想像できていたのに、自分(さっちゃん)は忙しいからとか、彼の力になってあげられることが具体的にちょっと分からない、などと自分の中で理屈をつけて
「えらいですね」「お身体大丈夫ですか?」とか通り一遍なことしかできていなかったなぁと思う。

今なら、きっととりあえずじっくりお話しをすることから始めるだろうに・・・。

先日も孝也さんにはばったり出会った。変わらぬ穏やかな笑顔でご挨拶して下さるその姿に、私はいつも清々しい気持ちになるのです。






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Last updated  2008.11.26 09:38:53
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Re:孝也さんと慈子さん(11/25)  
YM1024 さん
阿南さんご夫妻の展示を亀岡に夫婦で見に出掛けた二日後、姪っ子の訃報が飛び込んできました。

どうしてあの時、阿南さんご夫妻の展示が見たくって、駆り立てられるように二人でドライブし、二人それぞれに展示を見て涙するだけで、何も語らずに帰って来たのか・・・その時は、私が腰を悪くしたりして、寝たきりで夫が長男をみてくれていた時のことを思い出して、孝也さんの気持ちも慈子さんの気持ちも分かるなあ・・・と思い帰宅したのですが、それから数ヶ月過ごすうちに、幾度となく夫にさっちゃんが口述筆記をされて、Toさんが挿絵も描かれた慈子さんのエッセイ集の話をしては、二人で苦しみを乗り越えられたご夫婦のあり方に、私達夫婦も支え導かれてきたように思います。

想い合っているからこそ、口に出来ない言葉。そしてその人の生き方に、自分自身の生き方や想いが響き合った時、大きな力を得られるように思います。(何度か義姉に慈子さんのエッセイ集を・・・と夫にいいましたが、慈子さんのように病に負けずに生ききった人の話は今の義姉には辛いはず・・・と夫はOKを出しません。それよりも私に、出来る限り義姉のところでいろいろ話し相手になって欲しいと頼むのでした・・・義父や自分では近すぎて義姉は本音が話せないはずだから、ダメだ・・・私だから頼めることだといわれ戸惑いましたが、弟だけに分かる姉の心を感じました) (2008.11.26 14:40:33)

Re:孝也さんと慈子さん(11/25)  
Tetsuo6667  さん
良く分ります。

慈子さんに皆さんが気を取られるのは、実際に難病で苦しんでいる姿がそこにあるから。

看病しておられた孝也さんの姿は、目に留める事が少ないから。心の中は、尚更でしょう。

でも孝也さんは、慈子さんの気持ちを分かっておられたはずだから 周りが色々言う(想う)必要などなかった様な気がします。
(2008.11.26 19:50:48)

Re[1]:孝也さんと慈子さん(11/25)  
YM1024さん

昨日コメントを入れたのになぜか消えてしまっていました。
不思議なタイミングでしたね。

あそこで阿南ご夫妻のことを考えておられたとしたら、やはり心の中で夫婦というものをクローズアップされていたからでしょう。
実際のところ共に病を受け取ったことで、大きく成長されたお二人です。
もちろん、昔から素晴らしい方々でしたが根本からの人間の存在ということを体験されたと思います。
そして今もご主人やお子様たちはその意味についてさらに味わっておられることでしょう。本当に大きな恵みだと思います。

語れないところにこそ、真実の思いがあったり、また口にしないからこそ、大きな意味が伝わってきたりしますね。

お姉さんへの心遣い、さすがYMさんのご主人です。女性同士だから母だから分かり合えることもありますものね。

自分は孝也さんの大荷物になっていると思っていた慈子さん。どうやったら軽い荷物になれるのだろうと考えておられました。歳月を経れば、自分が軽い荷物、ふわふわ綿菓子のようだと思いさえすれば、孝也さんにとってもふわふわ綿菓子になったのです。

荷物にしているのは自分自身。

亡くなられたお父さんのことをとても悔んでいた友人が、先日おとうさんと楽しく食事をしている夢を見たと、とても喜んで話してくれました。その時「やっと気がついた」、と言っていました。
父は「私と一緒に生きているよ」、て言いたかったんだって・・・!

阿南さんたちも、その友人も悲しみや辛さを真珠貝のように懐に抱いて、とうとう立派な真珠に育て上げられたのですね。

義姉さまの心にも必ず真珠が輝くようになるでしょう。傍らで耳を澄ましてあげて下さい。
(2008.11.27 23:27:16)

Re[1]:孝也さんと慈子さん(11/25)  
Tetsuo6667さん

>でも孝也さんは、慈子さんの気持ちを分かっておられたはずだから 周りが色々言う(想う)必要などなかった様な気がします。
-----
もちろん私が力になってあげられたかどうかは分からないことです。でもやっぱり彼は色々語りたかったのではないかなぁと思います。
私なら、きっと聞いてほしいと思うから・・・

そして今もいっぱい語りたいだろうなっと思います。

(2008.11.27 23:38:08)

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