ドラゴン山田の研究室

ドラゴン山田の研究室

2006.01.31
XML
テーマ: ニュース(96820)
カテゴリ: Ideas
ライブドア・ショックに関する議論も、ほぼ出尽くしつつあるのだろうか。私は経済の動きをきちんと分っているとは言えない人間だが、種々思うところはある。まぁ、近年やたらと重要視されている「起業家精神(アントレプレナーシップ)」とやらは、新しい創意工夫を生み出して、停滞した社会に活力を生むという方向に働けば、確かによい面を持つものだろう。

だが、第1に、結局はマネーゲームでしかなかったのかと思うと、この国はバブル崩壊から16年経とうというのに今だに「バブル」的思考なのだろうか、と思ってしまう。考えてみれば、バブル崩壊と冷戦崩壊とアメリカ型グローバリゼーションがほぼ同時だった、というのは皮肉だ。ビジネスに身を置く人が、儲けを追求することは、資本主義経済においては当然のことだろう。小さな政府・自由経済・規制緩和をうたい文句に、グローバル化の波に乗ろうとするのをよしとする風潮を考えれば、ホリエモン的な人の出現に顔をしかめる理由はなかろう。しかし本来、バブル崩壊がもたらした教訓は、労働するとか物を作るとかすることなく「濡れ手にアワ」のような金を手にすることは所詮「バブル」に過ぎない、ということだったはずだ。にもかかわらず、その点は全く学習されなかったのだろう。最近の「勝ち組/負け組」「稼ぐが勝ち」「下流社会」等々といった言説に接すると、バブル崩壊は日本の経済界に何の教訓ももたらさなかったのだろうか、と思わざるを得ない。かつて1980~90年代、日本のむき出しの資本主義を「何でも商品にして恥じない」と痛烈に批判していた藤田省三氏がもし存命だったら、この状況をどう見ていたであろうか。

「いや、テレビやマスコミをにぎわし、人気を集め、株価を上げることは、立派な労働だ」という向きもあろう。だが、第2の問題点は、そうした「人気取り」およびメディアがそれに便乗するという構図は、「国民は政治家の話の内容よりネクタイの色に左右される」のと同じくらい、あまりにも古典的な大衆社会の問題だということだ。私が10数年間「大衆社会論」にこだわってきたから言うのではない。現にそうではないか。今回のライブドア・ショックについて、ライブドアやホリエモンをやたらと持ち上げタレント化させたメディアの問題性・責任も問われているが、私に言わせればそうした論点は何ら新しいものではない。1世紀も前から(当時はテレビはなかったにせよ)形を変えて言われ続けていることではないか。メディアが商業主義に陥り、売れればよいという発想で、はばかることなく「黒」も「白」だとぬけぬけと言う、そして一般大衆はメディアの流す宣伝や嘘やプロパガンダを見抜けない――というのは、改めて確認するまでもないくらい古典的な問題だ。だからこそ、真実を追究するという本物のジャーナリズムが今こそ必要な時代もあるまい。

そして、それについていみじくも、「ジャーナリズムが必要だったのは、インターネットがなかった時代の話だ」と言い放つホリエモンは、以上のことが問題なのだということが認識できなかったのか(もしそうなら「愚か」)、それとも分った上で開き直っていたのか(もしそうなら「悪党」)、そのどちらかではあるまいか。「本当か嘘か、真実か虚偽か、そんなことはどうでもいい。要するに売って儲けた方が勝ちだ」という思考回路が、どれほど堕落しきったものであるかを、改めて一々指摘しなければいけないかと思うと、そのあまりのレベルに低さにバカバカしくなる。「何だ、いかにも賢そうな『勝ち組』の顔をしているが、所詮その思考回路は低俗週刊誌と同じレベルかよ」と言いたい。それを、持ち上げるだけ持ち上げておいて、いざ真実が明らかになると「ショック」だなどというのは、お里が知れようというものだ。

同じことは、地下鉄サリン事件を起こす前にオウム真理教をことさら持ち上げていたメディアや一部「知識人」にも言えたことだ。新奇さを求めているように見える連中の思考回路が、何でこうもワンパターンなわけ? 「才能ある畜生」「合理的な愚か者」というのは、本当にいるものだ。そういう人たちが、経済やメディアを動かしている(かのように踊っている)のかと思うと、薄ら寒いものがある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006.02.03 11:09:43
[Ideas] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: