ドラゴン山田の研究室

ドラゴン山田の研究室

2007.07.30
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カテゴリ: Ideas
私は一政治学徒ではあるが、選挙研究や政党政治研究をしているわけではない。自分が専門としていないことについて、うかつにあれこれ言うのは禁物ではある。しかし、ブログは基本的にパーソナルな思いを綴る場だと思っているし(確かに、パブリックな性格は持つものの)、事実無根の誹謗中傷をするのでないかぎり、ここで書いた事にいちいち責任を追及されることもなかろう。

さて、参院選の翌日である今日。ここ半月におよぶ部屋の大掃除と、10年以上も使っているテレビを処分する決断を下したのとで、すでにテレビやビデオは外してしまっている。だから夕べは、開票速報を見ることはなかったが、インターネットで大体のことは分かった。今回の結果のあらましを知った時に脳裏をよぎったのは、1989(平成1)年の参院選のことであった。あの時、消費税導入の是非をめぐって、与党の自民党が敗退。参議院での与野党逆転がやがて、1993(平成5)年の細川内閣発足(自民党の下野)という「政変」につながったことは、平成生まれの人でもない限り知らぬ者はおるまい。もっとも余談だが、1989年の時に、「消費税反対」を掲げておびただしい政党が登場したが、それらは今いったいどうなったのだろう? また、消費税アップに反対する声は聞こえるが、消費税そのものを無くせという声は今ではほとんど聞こえない。89年に「消費税反対」を掲げて今でも政治家でい続けるお歴々は、その辺をどう考えているのだろう? ま、それはともあれ。

しかし、93年政変が「政治改革」の機運を高め、そこに多くの政治学者も関わったにもかかわらず、「政治改革」はいつの間にか「選挙制度改革」になって、それで終わってしまった感がある。当時は、自民vs反自民という図式で2大政党制が模索された。当時から私は、「二大政党制が理想的なデモクラシーだ」などとは信じていなかったが、ともあれ、反自民の諸政党が新進党を作り、選挙制度にも二大政党制にするための小選挙区制が導入された。それが、90年代半ばの政治改革の成果だとされた。だが、戦後ずっと反自民の旗振り役だったかに見えた旧社会党が新進党から離脱。自民党と連立を組んで「自社さ政権」を作り、村山内閣ができた瞬間、日本での二大政党制の構想は崩れたと私は今でも信じている。反自民で社会党を推してきた多くの有権者や労働組合が社会党に絶望し、しかも阪神大震災の時に村山内閣の危機管理能力のなさが露呈し、今では社会党は社会民主党という極小政党になってしまった。今の社民党はともあれ、社会党は村山内閣が崩壊した時点で、その歴史的使命を閉じたのだろうな。

私は今回の参院選では、自民党が大幅に勝ってはならないが、民主党が圧勝することも断じてあってはならないと思っていた。なぜなら、党内で政策についての考え方があまりに違いすぎ、マニフェストの中身も裏づけがないものだらけであり(前回のマニフェストとの整合性も怪しいし)、しかも飲酒運転やセクハラといった低劣な不祥事を起こす議員がやたら多い民主党に、政権を任せることなど到底考えられないからだ。「いや、安倍政権はダメだから、とにかく民主党に一度やらせてみればいいんだ。それでダメだったら、また次の選挙で変えればいい」という声も少なからず聞いた。だが、そういうことは10年前に言って欲しかった。財政的な裏づけのない民主党のマニフェストを本当に実現しようと思ったら、今の日本は沈没するだろう。しかも、民主党政権になったら、かつての新進党のように、党内部での政策の考え方の違いからやはり分裂するだろうと私は見ている。同じことを繰り返すわけ? 新進党の失敗から、何も学習していないわけ? これじゃやはり「失われた10年」だよね。あ、15年くらいか? 「確かな野党」を公言していた共産党も、伸びなかったね。選挙の直前になると毎回お決まりのように、他党を非難中傷するビラ配りしかできない独善的な党を、国民は「確かな野党」だとか「革新政党」だなどとは思っていないということだろう。亡くなった宮本顕治氏は、この結果を天からどう見ているだろうか? ところで素朴な疑問だが、「確かな野党」って何だろう?

それより、私が以前からずっと疑問に思っているのは、公明党に対する評価が一般的に極めて低すぎることだ。数年前、北海道で行われたある学会で、政治学界の重鎮の1人が「公明党に関する研究がなさすぎる」と発言し、私も内心「その通りだ」と思っていた。メディアの扱いを見ると、公明党はほとんど、初めから「知的対象としてきちんと論じるに値しない」と考えられているかのようだ。しかし、公明党がどんな党であり、何を訴え、どう行動してきたのかについて、ほとんどまともに報道されていない以上、私たちはこの党について真っ当に知ってはいまい。知らないものに対して、評価を下していいのか? ちなみに、ある NPO の調査によれば、マニフェスト達成率がダントツに高いのは公明党らしい。メディアがこのことについてろくに言及しないのは、「公明党寄りだと思われたくない」とかいう意味不明な思惑でも働いているのだろうか? だが、主観的な好き嫌いはともあれ、知りもしないで、調べもしないで、あれこれ判断を下すのは、果たして知的に誠実なことなのだろうか? 何ごとであれ、初めから「知るに値しない」と決め付けてしまうことは、極めて危険であると私は思っている。

それにしても今回の選挙、一体何が争点だったのだろうね。憲法? どうもそうはならなかったね。年金? それは、どちらかというと急に浮上してきた問題であって、果たして争点になったのかどうか。政治とカネ? それは、ことさら今回の選挙の争点ではなく、永遠に戦って行かなければならない問題でしょ。「政治は汚い。だから政治は嫌いだ」とか言って政治に背を向けるのでは、駄々っ子にも等しい。「政治は汚くなりがち」だからこそ、政治を厳しく「監視」しなければならない。それが有権者の責任だよね。しかしその「監視」が、ただの好き嫌いやイメージや「風」でなされたのでは、この国の政治も、政治家も、国民も、選挙から何も学習しないまま終わってしまう気がする。なお、結果的に二大政党制的になっている現実を私も認めないわけではないが、ことさら二大政党制にもっていこうとするかのようなマスコミの論調は、情報操作・大衆操作には当たらないのか――? 衆議院の解散でもあったりして?





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最終更新日  2007.07.30 14:51:36
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