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2016年04月26日

「報徳記」は当時の支配階級の武士層が感動したもので、日本人が感動するエキスが詰まっています、日本の聖書といえます。

カテゴリ：報徳記＆二宮翁夜話

平成二八年四月二三日　○○センター
参加者は三人。
「廣井勇君之小伝」と「報徳記巻の六」の下館仕法を三人で輪読する。

　ボーイズ・ビー・アンビシャス第一集を再版を印刷します。「廣井勇君之小伝」が後半を略して収録していましたが、全文を収録します。
　また四月十五日報徳二宮神社例大祭の直会の席で広島市の論語を読む会のＥさんと一緒になりました。読書会で「報徳記」を読むのによいテキストがないかと探しに来られたというので、持ち合わせていた第三集を差し上げました。「第一集はないのですか？」「手持の第一集第二集を送ります。第一集は絶版なので原文を複写し読書会でお使い下さい」と答えました。そして初対面のＥさんに「第三集を中国・四国の公共図書館に寄贈するのに郵便料が足りません。五千円分推譲していただけますか」と提案しました。（笑い）
すると「分りました」と即答されました。
すぐに郵送すると「第一集第二集が届きました。一万円送付します」と電話があり、これには感激しました。
「報徳記を読む」はもともと全国の読書会等で私たちと同じように声に出して読んでもらおうと作成したものです。その目的で使っていただける、自発的な推譲があるということを考え、「報徳記を読む第一集」再版を印刷し、必要部数をＥさんに差し上げたいと思います。

　下館仕法は一般にそれほど注目されていませんが、「下館談話記」と併せ読むと「報徳記」の成り立ちが分ります。富田高慶はこうした膨大な記録を書き綴っていて、そのエキスを抽出したものが「報徳記」だと思われます。尊徳が幕府登用後不遇な時代に幕閣の要人に対して先生の人と事業がいかに優れたものか、繰り返し説く中で儒教的教養に富んだ高級武士層が感動したものが載録された。そうした中で事実や登場人物は単純化され、筋道が分りやすくなった。最近「報徳記」の事実関係は違うとその史料的価値を否定する研究が多いのですが、「報徳記」の尊徳の会話は信用できると考えます。また、内山稔氏が「尊徳の生涯と事業、あるいはさらにその精神を知るには、彼の高弟富田高慶が熱誠をこめて綴った伝記『報徳記』にしくものはない」「『報徳記』を読んで感動しない者は、たとえ他にどんなにたくさん解説書・研究書を読んでも、尊徳の精神、尊徳の事業を正しく理解することはできないし、その神髄に迫ることはできないであろう。」（「尊徳の実践経済倫理」p.139）と書かれています。「報徳記」は当時の支配階級の武士層が感動したものであり、内村鑑三もこの本を読んで「キリスト教のバイブルを読むようだ」と評価し、「代表的日本人」の一人として尊徳を取り上げたのです。日本人が感動するエキスが詰められており、日本の聖書といえます。文献批判をしないで、「報徳記」「語録」の史料的価値を全否定する研究者は、尊徳の精神の真髄を理解することはできないと考えます。

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