1994年3月20日ニューヨーク州ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)にてレッスルマニア10が開催されました。節目の10回大会で始まりの場所であり、WWEの本拠地であるMSGに帰ってきました。そしてハルク・ホーガンのいないレッスルマニアがついに実現しました。果たして新しい時代はやってくるのか?
第1試合はブレット”ヒットマン”ハートVS”ザ・ロケット”オーエン・ハート。第2試合はバンバン・ビガロ&ルナ・バションVSドインク・ザ・クラウン&ディンク。第3試合は”マッチョマン”ランディ・サベージVSクラッシュ。第4試合はアランドラ・ブレイズVSレイラニ・カイによるWWE女子王座戦。第5試合はケベッカーズ(ジャック&ピエール)VSメン・オン・ザ・ミッション(メイブル&モー)によるWWE世界タッグ王座戦。第6試合はヨコヅナVSレックス・ルーガーによるWWE世界王座戦。第7試合はアースクエイクVSアダム・ボム。第8試合はレイザー・ラモンVS”ハートブレイク・キッド”ショーン・マイケルズによるWWEインターコンチネンタル王座戦。そしてメイン第6試合の勝者VSブレット”ヒットマン”ハートによるWWE世界王座戦。
この大会からジェリー”ザ・キング”ローラーが解説に付きました。ステロイド問題で無罪を勝ち取ったビンス・マクマホンとコンビを組むことになります。それにしても第1回大会と比べると随分メンバーは変わりました。10年の歳月を実感させる証です。それでもレッスルマニア1で登場していた人も僅かながらいます。それは後で語っていきます。
まずは第1試合です。ロイヤルランブル94から遺恨が発生したハート兄弟の対戦です。しかしこれほどの好カードが第1試合とは驚きです。おそらくメインを控えたブレットに対する配慮だと思いますが。オーエンにとってはたとえ第1試合だとしてもWWE入り以降初のビッグチャンスといえます。ブレットに匹敵する素質がありながら中々真価を発揮する機会がなかったので大いにアピールできるチャンスです。試合ですがこれがあとのラダーマッチに匹敵するほどの内容でさすがハート兄弟だと唸らされました。技と技の攻防が目まぐるしく展開し最後はなんとオーエンが丸め込んで勝利。オーエン生涯のベストバウトといっていい試合でした。第2試合はホントにビガロに対する扱いが悪い…。ところで対戦相手のドインクですが、実は正体はレッスルマニア1でリッキー・スティムボートと対戦したマット・ボーンです。意外なレスラーが参加していましたね。
第3試合はこれがランディ・サべージ最後のレッスルマニア登場です。できればもう一度サべージが活躍するレッスルマニアを見たかったものです…。第4試合はWWEでは久々の女子の試合です。アランドラ・ブレイズは日本やWCWでも活躍したメデューサで戦い方は日本スタイルですね。相手のカイはレッスルマニア1以来の登場です。あのときはウェンディ・リヒターと対戦しましたが、今回はそれのオマージュかな。セコンドにシンディ・ローパーがいないだけで。第4試合のタッグ王座戦ですがケベッカーズは結構いいチームですね。当時はそれほど気にも留めてませんでしたが、90年代の隠れ名チームかもしれません。
さて第6試合はWWE世界王座戦。ここまでWWEというかビンス・マクマホンはルーガーを推していました。ビンスが好む大形マッチョ系レスラーだからですが、WWEファンのリアクションと比べると温度差がありました。ファンはブレットが王者になることを望んでいたからです。とはいえ試合そのものはサマースラム93ほどではありませんが内容はそれほど悪くはありません。しかし今回の特別レフェリーであるカート・ヘニングが攻撃に巻き込まれた形ではありますが、ルーガーの反則負けの裁定を下しました。ルーガーは激怒するも裁定は覆らず。これでメインはヨコヅナVSブレットとなりました。第7試合はあまり印象にないです。それも当然でアースクエイクが秒殺したからなんですが。アダムは素材はいいけど素質がない…。
第8試合は今大会ベストといえるラダーマッチです。ショーンが一躍スターダムにのし上がったメモリアルマッチですが、対戦相手であるラモンにとってもベストといえる試合でした。キャリア的にはショーンとほぼ同時期にデビューしましたが中々素質とキャラクターを生かせず低迷していました。WWE入りしレイザー・ラモンというキャラを得てインターコンチネンタル王座を獲得し、今回のラダーマッチで見事開花しました。ショーンもラモンを光らせることで評価を高めステータスを不動のものとしました。
そしてメインです。第1試合で登場したブレットと第6試合で登場したヨコヅナ、インターバルはブレットのほうが長かったのですが、負傷したヒザを引きずりながら登場し、ヨコヅナは余力を十分残した状態で登場しました。そしてメインのスペシャルレフェリーはレッスルマニア1のメインでホーガン&ミスターTと戦った”ラウディ”ロディ・パイパーが裁きます。試合はヒザの調子が悪いブレットが一方的に攻め込まれます。それでもどうにか反撃しますがカウントを数えようとしたパイパーの足をヨコヅナのセコンドに付いていたジム・コルネットが引っ張ります。もっともパイパーに殴られるというお約束が待っていましたが(笑)。ヨコヅナがとどめとばかりにバンザイドロップを仕掛けようとしますが、足を滑らせてダウン。すかさずブレットが押さえ込んで逆転勝利。1年ぶりにWWE世界王座を奪還しました。
この結果WWEはようやく新しい時代への移り変わりに成功しました。WWE世界王者となったブレットを筆頭にショーン、ラモン、オーエン、試合には登場しませんでしたがディーゼルらが新しい時代のWWEの主役”ニュージェネレーション”として引っ張ることになりました。