New Worid

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至高の名勝負

 1996年3月31日カリフォルニア州アナハイムにてレッスルマニア12が開催されました。これまでの流れを説明します。ロイヤルランブル96でのランブルマッチを制したショーン・マイケルズはレッスルマニア12でのWWE世界王座挑戦権を獲得。イン・ユア・ハウス6でディーゼルの挑戦を退けたブレット・ハートとメインで戦うことが決定しました。そしてその際の試合形式として”アイアンマン・マッチ”で行うことになりました。ルールは60分間戦い抜きどちらがより多く勝利した者が勝者という過酷なルールです。1992年11月から始まったブレットとショーンの戦いが遂にレッスルマニアで、しかもアイアンマン・マッチという過酷かつ技量とセンスが問われるルールで雌雄を決することになりました。
 第1試合はオーエン・ハート&”ブリティッシュ・ブルドッグ”デイビーボーイ・スミス&ベイダーVSヨコヅナ&ジェイク”ザ・スネイク”ロバーツ&アーメッド・ジョンソン。第2試合は”ストーンコールド”スティーブ・オースチンVSサヴィオ・ベガ。第3試合はアルティメット・ウォリアーVSハンター・ハースト・ヘルムスリー。第4試合はジ・アンダーテイカーVS”ビッグ・ダディ・クール”ディーゼル。第5試合は”ラウディ”ロディ・パイパーVSゴールダスト。そしてメインはブレット”ヒットマン”ハートVS”ハート・ブレイク・キッド”ショーン・マイケルズによるWWE世界王座戦。なおフリー・フォー・オール・マッチとしてザ・ボディダナズ(スキップ&ジップ)VSザ・ゴドウィンズによるWWE世界タッグ王座決定戦、ナッチョマンVSハックスターがありました。
 例年と比べると試合数が少ないのはメインのアイアンマン・マッチとの兼ね合いですかね。さて第1試合ですがこの中では若手と言えるジョンソンを除けばなんとも贅沢な第1試合と言えるかも。ベイダーはまだWWEに馴染んでいない感じがするかな?第2試合の前に、厳密に言うと第5試合のパイパーVSゴールダストは試合会場から少し離れた場所で既に開始していました。ストリート・ファイト形式の試合でバットを持ってヤル気満々のパイパーにゴールドのリムジンでパイパーを轢こうとするゴールダストといきなりカオスな展開に形勢不利と見たゴールダストがリムジンで逃走するとパイパーも追いかける展開に。ここで第2試合が始まるというレッスルマニア12ならではの特殊な進行となりました。ロイヤルランブル96ではリングマスターだったオースチンはここで初めて”ストーンコールド”スティーブ・オースチンと名乗ることに。但しこの時点ではまだリングマスターのイメージを残したままです。ストーンコールドがストーンコールドとして振舞うようになるのはマネージャーであるテッド・デビアスがWWEを退団してからです。この頃のストーンコールドのフィニッシュはデビアスから引き継がれたミリオンダラー・ドリーム(変形スリーパー)であってスタナーはまだ使用していません。それでもWCW時代から試合巧者としての評価が高かったのでベガとの試合はメインを除けば好試合といっていいかも。ベガは初期のストーンコールドのライバルの1人です。オースチンは結構中堅で活躍している試合巧者のレスラーをよく評価しています。ベガ然り。WCW時代ではボビー・イートン、新人時代ではダニー・デービスを高く評価しています。
 第3試合は後に”ザ・ゲーム””キング・オブ・キングス”と呼ばれることになるトリプルHことハンター・ハースト・ヘルムスリーがレッスルマニア初登場となりますが、相手がアルティメット・ウォリアーだったせいで貧乏くじを引くことに。WWE入り初期のハンターは結構苦労しています。ゴドウィンズに豚のエサをぶちまけられるなどのヨゴレ役を受けたりしていますし、この時代の苦難を知っているだけに2012年現在マクマホン一家の一員として活躍しているハンターに深い感慨を憶えるのも無理ないかも。1992年以来の復帰となったウォリアーですが相変わらずな試合ぶりです。でもこの人はこれでいいのかも。ぺティグリーを受けてあっさり起き上がるのもウォリアーならではで、あっさりと秒殺してしまいました。ハンターのレッスルマニア初出場がこんな結果とは…。ちなみにハンターと一緒にセイブルも登場しました。のちのアテテュード路線の初期を代表するディーバの1人です。本来はマーク・メロのマネージャーですがこのときはハンターと一緒でした。まあこのあとハンターとメロが乱闘することになり抗争へとなりますが。
 第4試合は大型同士の対戦だけに迫力満点の展開になるだろうと予想していました。少なくともこの時点でのテイカーのレッスルマニアでの対戦相手の中ではディーゼルはトップクラスの対戦相手です。ただ、ディーゼルは既にレイザー・ラモンことスコット・ホールと共にWCW移籍を決意していましたのでややモチベーションが低下していた感は否めません。必殺技ジャックナイフを決めたにも関わらず、余裕を見せ過ぎたのか最後はテイカーのツームストン・パイルドライバーで敗退。”カーテンコール”を経てWCW移籍からnWo結成となりますが正直WWEで続けてほしかったレスラーの1人です。もっともそうなったらnWoが誕生することなくマンデーナイト・ウォーもWWEがあっさり勝ってしまったかもしれないので良かったといえば良かったのか?
 さて、パイパーとゴールダストのストリートファイトはカーチェイスを経てどうにか会場に辿り着きました。試合を終えたディーゼルと遭遇するシーンもありましたが特に絡むこともなく2人はリング上に。まあ体力的にはゴールダストのほうが上です。しかしゴールダストがパイパーの唇を奪ってから状況は一変します。キレたパイパーが猛反撃しその勢いでゴールダストの衣装を引き裂いてしまいます。衣装の下には…黒のランジェリー姿という…(^^;)ある意味レッスルマニア史上に残る名(迷)シーンでしょうね。これが決め手となったのかパイパーが勝利しました。うーん、また観て見たいような観たくないような…
 そしていよいよメインです。WWE究極のルールともいえるアイアンマン・マッチですが60分間により多くフォール、ギブアップ、KO勝ちを収めたほうが勝ちというルールです。まあ1996年レッスルマニア12の時点でこのルールで戦えるレスラーはブレットとショーンの2人だけでしょう。ところでこれまでメイン、或いはWWE世界王座戦に於いてレッスルマニアでは有名人がリングアナを務めていましたが、この回から通常通りハワード・フィンケルが務めています。まあハワードのほうがしっくりいきますよね。そして入場ではショーンがレッスルマニア史上に残るワイヤーを使った入場シーンを魅せてくれました。対照的にブレットはシンプルに。
 試合のほうは共にじっくりと攻めています。60分間戦うわけなので飛ばしていくとスタミナ切れになりかねないので当然ですが、私はこの試合と92年のサバイバーシリーズを見ていますので良くわかりますが、ショーンの成長度が伺えます。サバイバーシリーズ92では完全にブレットがリードしていますがこの試合では明らかに互角です。とはいえブレットもこれまでにWWE世界王者としての実績を作り上げただけに風格という点ではブレットに一日の長があります。さすがにお互いの必殺技(シャープシューターとスウィート・チン・ミュージック)は警戒しています。タイムキーパーがスウィート・チン・ミュージックの誤爆を受けるというハプニングもありました。
 後半ショーンの自爆を誘ったブレットが攻勢に入ります。正直これで1本ブレットが先取してもおかしくないほどの攻勢でした。これをどうにか凌いだショーンが逆に攻勢に入ります。しかし残り2、3分のところで遂にショーンをシャープシューターで捉えることに成功したブレット。これでショーンがタップすればブレットの王座防衛確定でしたが時間切れとなりました。引き分けで王座防衛と思い引き上げようとしたブレットでしたが、当時コミッショナーという立場にあったゴリラ・モンスーンが完全決着のサドンデスを宣言しました。ブレットは抗議しますがモンスーンは受け入れず。しかしシャープシューターのダメージが響いているのか、ショーンは未だにダウン。すかさずブレットが攻撃をしかけます。一方的に攻められ防戦一方のショーンでしたがカウンターでスウィート・チン・ミュージックを決めました。しかしそれまでのダメージがあってダウン。お互い立ち上がると再びショーンがスウィート・チン・ミュージックを決めて遂にブレットからピンフォールに成功し決着となりました。
 ライバルであるブレットを破り遂にWWE世界王座を獲得し、ショーンは少年時代からの夢を実現しました。ブレットはこのあと長期欠場します。リフレッシュも兼ねた俳優業としての活動後、11月のサバイバーシリーズで復帰します。まさかこのあと歴史的な対立劇が待っているとも知らずに…



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