Ｎｅｗ　Ｗｏｒｉｄ

悲劇へのプロローグ

　１９９６年１１月１７日ニューヨーク州ニューヨークＭＳＧ（マジソン・スクエア・ガーデン）にてサバイバーシリーズ９６が開催されました。まずはそれまでの経緯から。サマースラム９６でベイダー相手に王座防衛に成功したショーン・マイケルズは９月にマンカインド（ミック・フォーリー）、１０月にゴールダストと防衛戦を行い防衛に成功しました。特にマンカインドとの対戦はレッスルマニア１２でのアイアンマン・マッチに続くほどの名勝負となりました。そしてこの大会で最大のライバルであるブレット・ハートが復帰します。

　第１試合はダグ・ファーナス＆フィル・ラフォン＆ゴドウィンズ（ヘンリー＆フィニアス）ＶＳオーエン・ハート＆ブリティッシュ・ブルドッグ＆マーティ・ジャネッティ＆リーフ・キャシディによるエリミネーション・マッチ。第２試合はジ・アンダーテイカーＶＳマンカインド。第３試合はマーク・メロ＆ロッキー・メイビア＆ジェイク”ザ・スネイク”ロバーツ＆ザ・ストーカーＶＳクラッシュ＆ジェリー”ザ・キング”ローラー＆ハンター・ハースト・ヘルムスリー＆ゴールダストによるエリミネーション・マッチ。第４試合はブレット”ヒットマン”ハートＶＳストーンコールド・スティーブ・オースチン。第５試合はファルーク＆ベイダー＆ディーゼル＆レイザー・ラモンＶＳフラッシュ・ファンク＆ジミー・スヌーカ＆サヴィオ・ベガ＆ヨコヅナによるエリミネーション・マッチ。そして”ハートブレイクキッド”ショーン・マイケルズＶＳサイコ・セッドによるＷＷＥ世界王座戦。

　まずは第１試合ですが、ファーナスとラフォン…というかクロフォットですかね、全日本プロレスの常連だったカンナム・エクスプレスですが正直あまりＷＷＥでは目立てなかったですね。結果としてはこの試合２人とも勝ち残りましたがそれ以降特に活躍はしていません。ＷＷＥ世界タッグ王座も獲得できなかったし。第２試合は２人の能力を考えると物足りなかったかな。しかしテイカーにとってマンカインドは久々に手の合うライバル出現といった感じがします。２年後に歴史に残る壮絶な試合をしますからね。

　第３試合はオースチンと並ぶアテテュード時代の象徴とも言えるロッキー・メイビアことザ・ロックがＷＷＥデビューを果たしました。ネーミングの由来は父親であるロッキー・ジョンソンの”ロッキー”と祖父であるピーター・メイビアの”メイビア”を組み合わせたものです。典型的なベビーフェイスとしてデビューしましたが、観客の反応は冷ややかなものでした。ハルク・ホーガン時代だったら受けたかもしてませんがアテテュード時代黎明期の当時では受け入れられなかったということでしょう。そういえばのちのライバルとなるトリプルＨともこの試合で初めて絡みました。

　そして第４試合でブレット・ハート復帰戦です。相手はスティーブ・オースチン。ブレットにとっては復帰の相手としてはうってつけで、オースチンにとっては１ランク上を目指すためには申し分ない相手でしょう。そして予想以上に見応えのある名勝負となりました。ブレットＶＳオースチンといえばレッスルマニア１３を連想しますが、この初対戦もレッスルマニア１３同様、いやそれ以上の試合だったのかも。もしオースチンがケガさえしなかったらモントリオールの出来事はなかったのかも。ブレット、ショーン、オースチンの三つ巴となっていたら間違いなく今と歴史は異なっていたでしょう。

　さて、第５試合、ディーゼルとレイザー・ラモンが出場していますが中身はケビン・ナッシュじゃないしスコット・ホールじゃないです。ディーゼルは依然アイザック・ヤンカムと名乗っていたレスラーでのちのケインです。ラモンのほうはＦＭＷで活躍していたビッグ・タイトンです。背格好が似ているから２代目になったのと、やはりＷＣＷに対するあてつけでしょうね。もっとも所詮は偽者なのでいつの間にか消えてしまいました。ケインにとっては黒歴史だろうな…。タイトンは良いレスラーだったけどそれはＦＭＷだからだったのかな…

　メインです。観客はなぜかショーンにブーイングを浴びせ、セッドを支持します。のちのジョン・シーナやローマン・レインズような拒否反応とは違いますがショーンの軟派なキャラに対するリアクションだったのかな？とはいえショーンがきっちり試合を作っていたことに変わりはありませんが。寧ろ機転良く自分をヒールに見せるあたりにショーンのセンスの高さを感じます。セッドもそんなショーンのリードに応えたため良い試合になりました。やはり復帰したブレットの存在を意識していたのでしょうね。結果はセッドが勝利し王座を獲得。ブレットとショーンによる抗争がスタートを予感するものとなりました。