1994年8月29日イリノイ州シカゴにてサマースラム94が開催されました。ここでレッスルマニア10からサマースラム94までの流れを説明します。レッスルマニア10の第1試合で兄ブレット・ハートを破った弟オーエン・ハートは6月14日に行われたキング・オブ・ザ・リングにて優勝しました。前年は兄ブレットが優勝しましたから兄弟続いての制覇となります。その勢いでサマースラム94でブレットとの対戦となりました。インターコンチネンタル王座はレッスルマニア10でのラダーマッチを制したレイザー・ラモン(スコット・ホール)をディーゼル(ケビン・ナッシュ)が4月13日にタイトルマッチで勝利し王座獲得に成功しました。更にサマースラム94の前日8月28日にショーン・マイケルズとのコンビでWWE世界タッグ王座を獲得しました。それまでショーンの単なるボディガード役だったディーゼルがレッスルマニア10以降台頭してきました。
第1試合はIRS&バンバン・ビガロVSヘッドシュリンカーズ(サムゥ&ファトゥ)。第2試合はアランドラ・ブレイズVSブル中野によるWWE世界女子王座戦。第3試合はディーゼルVSレイザー・ラモンによるWWEインターコンチネンタル王座戦。第4試合はタタンカVSレックス・ルーガー。第5試合はジェフ・ジャレットVSメイブル。第6試合はブレット”ヒットマン”ハートVS”ザ・ロケット”オーエン・ハートによる”スティール・ケージ・マッチ”形式のWWE世界王座戦。そしてメインはジ・アンダーテイカー(ポール・ベアラー)VSジ・アンダーテイカー(テッド・デビアス)。基本的に王座戦をメインに持ってくるWWEでは数少ないノンタイトル戦がメインの大会となりました。やはりロイヤルランブル94以来の復帰となるテイカーに注目が集まっているからかな?
第1試合のタッグマッチは明らかに消化試合みたいな…。ビガロはこの時点でWWEでは全く本領を発揮していないな…。第2試合は初登場のブル中野ですね。1988年のロイヤルランブルでのJBエンジェルズ(立野記代&山崎五紀)以来の日本人女子レスラー登場です。ブレイズというかメデューサは日本でブルとは何度となく対戦しているからいい試合になるのも当然か。でも総合力でみたら明らかにブルのほうが上ですね。
さて第3試合です。ディーゼルことケビン・ナッシュは94年で急激に実績を作りましたね。ランブルマッチでも活躍し、キング・オブ・ザ・リングで優勝し、インターコンチネンタル王座とWWE世界タッグ王座を獲得しました。そしてサバイバーシリーズ94のあとに…。まあこれはあとの話ということで。とにかくディーゼルVSレイザー・ラモンです。ショーンの介入が裏目に出てラモンがインターコンチネンタル王座を奪回しました。試合後ディーゼルとショーンの間に不穏な空気が漂います。これはサバイバーシリーズ94の伏線になるのでしょうね。第4試合ですが、ルーガーは随分落ちたな…。レッスルマニア10まではブレットとWWE世界王座を争っていたのに…。第5試合はTNAの創始者ジェフ・ジャレット初登場です。90年代WWEとWCWを往復して地位を確立していきます。しかしこの辺りの小賢しさが災いしたのかジャレットのレスラーとしての評価は低いですね。個人的にはそれほど悪くはないのですが。
第6試合はWWEというかアメプロ伝統のケージマッチですね。リング外エスケープによる勝者なのでレスリングの技量以上にゲーム性の高いルールです。レッスルマニア10ほどの名勝負にはならなかったけどブレットとオーエンの駆け引きによる攻防は良かったです。この試合がメインでも良かったのに。
そしてメイン。テイカーVSテイカーなんですが、本物テイカーについてはテイカー編で詳しく紹介しているということで。偽テイカーはうまくテイカーを似せれたけど根本的な技量とセンスは偽者だけに本物には到底及びませんでした。本来のキャラで登場したらと思いましたが残念ながら大成できず消えてしまいました。
WWE世界王座戦がメインじゃなかったというのが勿体無いでしたね。あとショーンが試合をしなかったのも不満だし。レッスルマニア10以降はトークコーナー”ハート・ブレイク・ホテル”に重点的に活動していたからなのか試合に関しては目立ったところがなかったですね。寧ろ相棒のディーゼルを売り込むことに重点を置いたのかな。この時点ではトリプルHはWWEにいませんが、既に”クリック”の影響がWWE内で浸透し始めたのかも。そしてサバイバーシリーズ94では意外な人が…!!