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埼玉の叔父のもとに同居していた、92歳になる祖母。

80を過ぎてもひとりで新幹線に乗って岡山までやってきては
女学校時代の友達と県北の温泉に遊びに行くなどずーっと元気そのものだったのだけど、
90歳あたりで急に体が弱り、去年ごろからぼけもはじまり、
家で面倒をみるのは難しくなった・・・ということで
先日、ついに介護施設に入所したのである。

で、娘である母と叔母がその施設を見学するため上京。
ついでに、ということで、ぼくもそれにくっついて行った。


介護施設への入所にあたっての経緯やその後の訪問については

なにやらいろいろあるようなのだけど、ま、それは母親のきょうだいの話。

親に長生きしてもらえるのはいいことなんだけど、子どもも同時に年をとってくるから
介護についてもいろいろ難しいことが出てくるよね。


で、介護老人保健施設。


いろんな方が入所しているのだけど、
ぼくの祖母が入所しているフロアはぼけがはじまったり、
ぼけが少しすすんだ方がいるところ。


若い(うん、こういうところでは若い!)男性であるぼくがうろうろしていると、
入所している方から珍しがられて話しかけられたりする。


こういう感じ:

おばあさん「私が支部長です。今日は、男子部の方にも来ていただけて光栄です。

ぼく「???」

言葉はしっかりしているのだけれども、まったく話の要領を得ない。


ぼけがはじまると、新しいものから忘れていくっていうけど、
同時に過去の記憶も断片、細切れになっていき、
それらもまた少しずつこぼれおちていくんだそうだ。





話しかけてきたおばあさんも、
人生のどこかで何か組織の支部長をつとめ、イベントを仕切ったりしてたんだろうね。
いろんな記憶や思い出を失い、忘れ、たどりついた彼女の最後のアイデンティティは
支部長としての自分、しかもイベント前日の自分だったんだね。

と、そんな記憶のかけらは、
ここにいる方々の歩んだ人生の断片なんだ、とか考えてしまうと、
・・・ちょっとぼくには重すぎる。


ぼくの祖母の話にもどる。

いまのところ、まだ、ぼくの記憶はどこかにとどまっているようだった。
いちおう訪問したかいがあったというもの。

「あー、つよしくんねー。いくつになったん?34さいかな!んまー!」

といっていたけど、去年の夏に会ったことはもう覚えてないみたい。
大学受験のときに祖母の部屋に泊ってそこから受験にいったことも覚えてないみたい。
祖母の頭に最後に残っているつよしくんはもう小学生くらいのぼくなんだろうな。
もうすこし、とどまってくれるといいんだけどなあ。


祖母はこころなしか前よりずっとおとなしくなっていた。

新聞記者だった夫を結婚直後に亡くしたり、ぼくの祖父と再婚したり、
戦争や原爆を切り抜けたり、戦後に経営していた会社が倒産になったり、
それでも5人の子どもを全員東京の大学に入れるまで無事に育てたり・・・と
いろいろあったはずの人生の波風を全部忘れながら、
広島ののんびりしたお嬢様の時代に戻っているかのようだった。

しかし、フロアにはいろんな方がいらっしゃった。
ずっとニコニコされている方、ずっと怒っているような方、何かと仕切ろうとする方。
いろいろな記憶をなくした後に残される最後の感情や性格は
そのひとの生きた人生を要約するものなのかもしれないねー。


ぼくの最後に残る記憶の断片って何になるんだろう?とか思ったりして。


って、じょんどーブログにしてはなーんだか重いね。





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最終更新日  2010.03.15 14:35:04
コメント(6) | コメントを書く
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いいエントリーだね  
Jean さん
重いというよりも、気持ちのいいエントリーだね。

私の家も父が末っ子ながら、ずっと祖母と同居だったけど、中高時代はずっと介護・痴呆が家族の一大問題。それを通じて、親戚との軋轢や、親の限界も感じたなぁ。どんなきれいごとを言っても、家の中の人じゃないとわからないこともあるしね。父なんかは、祖母が他界したら、ふっと力抜けちゃったり、逆に両親が恋人のように仲良くなったり、とあったけど、最近では母方の祖母が弱ってきたり、自分達の老後も気になり始めたらしく、自由人の父が介護の勉強を熱心にしているのは気まぐれではないんだろうな、と思う。

介護問題って、すごく日本っぽいけど、一方で北米ではもっと複雑そうね。先日、カナダの日系老人ホームでは手に負えなくなった人向けの日系老人介護施設のすごい話を聞いて、結構考えちゃうことがありました。自分達は日系でも子供・孫は北米文化にどっぷり漬かってしまうことが多いので、いろいろ問題あるそう(長くなるので、また今度にします。話が反れました…)。

学生の頃、1週間在宅介護施設で実習をしたことがあるんだけど、いろんなボケ方があるよね。ボケることは、すばらしいことと同じくらい、嫌なことも忘れられるから、消して悪いことではないと思うのだけど、何とかして、カワイイボケ方がしたいものですね。

(2010.03.15 15:07:00)

Re:人生のおわりかた(03/14)  
今回のブログは、仕事をしているものの一人として、とても新鮮に感じたよ。
(介護に関する作文コンクールがあるんだけど、それに応募してもいいくらいの。とてもいいものだったと思います。)

わからなくなっていく不安、忘れることに気づく瞬間、そして、わからなくなっていくこともわからなくなる時間。
長く生きてきた方々の、最期におつきあいをさせていただいていると思うと、どうかいい時間になりますようにといつも思います。
ただ、身内の方にとっては、つらい場面に遭遇することになるから…。

もしかして、次に会ったとき、じょんどーさんのことがわからなくなったとしても、
そばでにこにこ笑っていれば、それは伝わりますからね。
(2010.03.15 20:55:15)

うん  
ふじい さん
Jeanさんと同じく。重くないですよ。じょんどーさんの人々に対する深い愛情が込められていて、ちと涙がでました。

ちなみに私の祖母や父も広島で原爆にあったので、なんと、広島→岡山とじょんどーさんと同じ流れがあるのかと、ちょっと驚き。

たとえボケてようが、その人が自分の人生を生きてきたことには変わりないよなと思うのです。そしてそれはとてもリスペクトすべきことなのですよね。 (2010.03.16 00:00:35)

Re:いいエントリーだね(03/14)  
Jeanさん
>重いというよりも、気持ちのいいエントリーだね。

やー、照れますな(笑)。

>最近では母方の祖母が弱ってきたり、自分達の老後も気になり始めたらしく、自由人の父が介護の勉強を熱心にしているのは気まぐれではないんだろうな、と思う。

そうねー。
まー、まだ親も元気だったりで自分ごとではないところもあるんですが、
いずれ自分たちもまじめに考えなきゃいけなくなるんですよねー。
特に少子化のなかで介護とか、どうなるんでしょうねー。
さらにいえば自分の面倒は誰が見てくれるんだろう・・・なんて思ったり。


>学生の頃、1週間在宅介護施設で実習をしたことがあるんだけど、いろんなボケ方があるよね。ボケることは、すばらしいことと同じくらい、嫌なことも忘れられるから、消して悪いことではないと思うのだけど、何とかして、カワイイボケ方がしたいものですね。

ボケずにぽっくりが理想的・・・とされるけど、
あんまり急なのもいやだしなあ。
でも病気とかもいやだしねえ。

ま、それまではやりたいことをやって
思う存分楽しむのがいいかな、って気もするよね! (2010.03.17 03:13:13)

Re[1]:人生のおわりかた(03/14)  
コーヒー大~好き!さん
>今回のブログは、仕事をしているものの一人として、とても新鮮に感じたよ。
>(介護に関する作文コンクールがあるんだけど、それに応募してもいいくらいの。とてもいいものだったと思います。)

あはは、照れる、照れる(笑)。

コーヒー大~好き!ゆうかさんのような意識の高い方ばかりなら
安心なんですけどねえ・・・。
介護施設の介護員さんや看護婦さんたちも
よくしてくださってるとは思うんだけれども、
やっぱり家族からしてみると、
「もっとおばあちゃんのことをよく見てあげてほしい」
とか思っちゃったりする部分もあったりするんですよねー。
まあ、日々の仕事になると難しいところもあるのは
重々承知しつつも・・・なんですけどねー。


>わからなくなっていく不安、忘れることに気づく瞬間、そして、わからなくなっていくこともわからなくなる時間。
>長く生きてきた方々の、最期におつきあいをさせていただいていると思うと、どうかいい時間になりますようにといつも思います。

そうですねー。
「まだらにわかっている」時が一番心細かったり、
先のことが心配になったりするんでしょうね・・・。
完全にぼけてしまったほうが
不安なく過ごせてそちらのほうが幸せなのかも・・・
とか考えてしまいました。

>もしかして、次に会ったとき、じょんどーさんのことがわからなくなったとしても、
>そばでにこにこ笑っていれば、それは伝わりますからね。

ありがとうー。
そんなに頻繁にはいけないかもしれないけれども、
また折をみて会いに行きたいと思っています。
それが何かの支えになるといいんですけどね。 (2010.03.17 03:27:39)

Re:うん(03/14)  
ふじいさん
>Jeanさんと同じく。重くないですよ。じょんどーさんの人々に対する深い愛情が込められていて、ちと涙がでました。

ややっ。もう、照れ照れですよ。照り焼き。

>ちなみに私の祖母や父も広島で原爆にあったので、なんと、広島→岡山とじょんどーさんと同じ流れがあるのかと、ちょっと驚き。

ずっと前の原爆記念日のエントリとかで
詳しく書いたことがあるんですけどね、
うちは両親ともに広島県出身なのですよー。

まあ、育ちは福山だったり、
そこからさらに山奥の町だったりするんですけど。

岡山は父親の転勤でたまたま住むことになっただけだったりするんですよー。
で、僕はどっぷり岡山育ち、と。

>たとえボケてようが、その人が自分の人生を生きてきたことには変わりないよなと思うのです。そしてそれはとてもリスペクトすべきことなのですよね。

そうですよねー。
でもまあ、日々の介護の忙しさに
そういうことにかまってられなくなる、というのも
わからなくもなかったりしますよね。
難しいよね。

アダムスハウスとか行ってたときは
こんなこと考えもしなかったけどね! (2010.03.17 03:31:41)

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