じゃくさん、こんばんは。東京から帰ってきたところです(今度は、お台場で仕事でした)。

数年前、チッコリーニ翁がわざわざ栗東に来てくださったことがあります。なんと、栗東のホールには、スタインウェイとベーゼンドルファーに加えて、ファチオーリのピアノが常備されているんだそうで、それを弾きにわざわざ立ち寄られたらしいです。

この演奏会は行けずじまいでしたが、このファチオーリのピアノ、なんとこすもすが弾く機会があったのでありまする。その時の彼女の感想、「難しいピアノ・・・音色がわかる、耳のいい人が弾かないと、うまくいかない」・・・・・うううむ、ここらあたりピアニストではない私には、さっぱりわかりませんでしたが。

でも、じゃくさんの文章を読んで思ったのは、こんなファチオーリを好んで弾く、ということ自体が、チッコリーニ翁の響きや音色に対する卓越した感覚の証左なのでしょうね。その感覚の持ち主でなければ、じゃくさんの聴かれたようなベートーヴェンのコンチェルトは(おそらくは、4番の方がより顕著ではなかったかと想像しますが)立ち現れなかったのではないか、などと思いつつ読ませていただきました。 (2010.03.20 02:41:48)

じゃくの音楽日記帳

じゃくの音楽日記帳

2010.03.18
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カテゴリ: 演奏会(2010年)
アルド・チッコリーニを聴きました。


会場に来てみると、ロビーのあちこちに「本日の休憩は30分です」と掲示されていました。3番のあと、30分の休憩をはさみ、4番というプログラムです。

3番が始まりました。冒頭の長いオケの伴奏が、日頃の新日フィルの音よりも、格段に精妙で美しいです!これは弦がノンビブラート奏法で、落ち着いた透明な響きであることの効果が大きいと思いますが、木管も柔らかい音色で弦とのアンサンブルが絶妙です。僕の持つ普段の新日フィルのサウンドイメージは、弦も管も、きっちりとしているけれどやや硬質で、うっかりすると金属的な音になりかねない、という感じです。けれど今日の音はそれとまったく違って、柔らかく繊細です。

多分これは指揮者ハウシルトさんの指導効果なのかもしれません。(新日フィルのホームページに載っているベテランオケマンたちの音楽談義によると、ハウシルトさんはものすごく耳が良くて、音程や音色をびしびし的確に修正し、きれいに掃除してくれるような感じで、氏の棒で演奏するのはとても気持ち良いのだそうです。)

このオケの前奏を聴いていて、きょうの演奏会はものすごいことになるのでは、という予感が生じました。

そしてチッコリーニのピアノがはいってきた瞬間、それは確信になりました。

84歳になられたチッコリーニのピアノは、指を立てて鍵盤をじんわりと深く押すような弾き方で、表面は滑らかだが確固とした芯がある音です。そしてその音楽!一見何気なく、特別変わったことは何もやっていないように思えるそのピアノに、どうしてこんなに感動させられてしまうのでしょうか。

ベートーヴェンの書いた音楽の素晴らしさが、かって経験したことがないほど、身に滲みてきます。ベートーヴェンってこんなにも素晴らしいんだ、音楽ってこれほどまでに純粋なんだ、ただただそう思いながら、立ち現れては流れていく音楽に、ひたすら耳を傾けるばかりです。今ここで、この音楽を体験できているという幸せとともに、その音楽があまりにも高みにあるので、息苦しさも感ずる、そのような体験でした。



そして4番も、同じく素晴らしかったです。これぞベートーヴェン、という音楽を、じっくり聴かせてくれました。チッコリーニの至芸はもちろんのこと、ハウシルトさんと新日フィル(コンマスは崔文洙さん)も本当に見事な演奏でした。

なりやまぬカーテンコールにこたえてアンコール。シューベルトのクーベルワイザーワルツという静かで瞑想的な曲を弾いてくれました。

・・・友人が読んだチッコリーニの本によると、チッコリーニは、初めて弾く曲も、既に前から良く知っている曲も、毎回毎回、なんと二年前から、ゼロから勉強を始めるそうです。そうやっていつも新しい目で、二年の時間をかけて作品に近づくというのです。すごいことです。

この日の演奏会、僕がこれまで体験したチッコリーニの演奏会の中でも、格別な高みに達しているような奇跡的な体験でした。まさに求道の精神を貫く天才だけがなし得る至高のベートーヴェン。チッコリーニさん、ありがとうございました。





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Last updated  2010.03.19 00:42:26
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ファチオーリ  
ぐすたふ さん

Re:ファチオーリ(03/18)  
ぐすたふさんこんばんは、コメントありがとうございました。東京への出張、多いんですね、お疲れ様です。それにしてもファツィオーリを弾かれたというこすもすさんの感想、

>「難しいピアノ・・・音色がわかる、耳のいい人が弾かないと、うまくいかない」・・・・・うううむ、ここらあたりピアニストではない私には、さっぱりわかりませんでしたが。

ううむ僕にもそのあたりの微妙さはさっぱりわかりません(笑)。それにこういうピアノは、聴くほうもピアノに繊細な耳を持っていないとその魅力がわからないでしょうね。恥ずかしながら2005年にチッコリーニの弾くファツィオーリを聴いたとき、僕にはその魅力がわかりませんでした。あと2008年のときはファツィオーリだったかどうかさえ覚えてません(汗)。なお今回はスタインウェイでした。

>こんなファチオーリを好んで弾く、ということ自体が、チッコリーニ翁の響きや音色に対する卓越した感覚の証左なのでしょうね。

その通りなのだろうと思います。

>その感覚の持ち主でなければ、じゃくさんの聴かれたようなベートーヴェンのコンチェルトは(おそらくは、4番の方がより顕著ではなかったかと想像しますが)立ち現れなかったのではないか、などと思いつつ読ませていただきました。

この日の演奏、僕にとっては最初の3番が、もうともかく圧巻でした。それでいい意味で消耗してしまったというか、もう自分の受け入れキャパシティが飽和してしまった感じで、30分の休憩のあとでもそれが回復しない一種放心状態で4番を聴いたので、3番とは比べられないような感じですね。もし演奏順序が逆だったら、違った感想になっているのかもしれません。
(2010.03.21 23:41:38)

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