じゃくの音楽日記帳

じゃくの音楽日記帳

2017.03.30
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カテゴリ: きらクラ!

算数スイッチがとまりません。おまけシリーズの最後として、今回は犬の走った距離を、正統的な(?)数学的アプローチで解いてみようと思います。

はじめに、ちょっと前置きです。僕はこの算数の問題をきいて、アキレスと亀のパラドックスを思い出しました。ご存じの方も多いと思いますが、ウィキペディアを引用しておきます。

“あるところにアキレスと亀がいて、2人は徒競走をすることとなった。しかしアキレスの方が足が速いのは明らかなので亀がハンディキャップをもらって、いくらか進んだ地点(地点Aとする)からスタートすることとなった。スタート後、アキレスが地点Aに達した時には、亀はアキレスがそこに達するまでの時間分だけ先に進んでいる(地点B)。アキレスが今度は地点Bに達したときには、亀はまたその時間分だけ先へ進む(地点C)。同様にアキレスが地点Cの時には、亀はさらにその先にいることになる。この考えはいくらでも続けることができ、結果、いつまでたってもアキレスは亀に追いつけない。”
これがアキレスと亀のパラドックスですね。もちろんうさぎと亀でも同じことになります。

今回の算数の問題でも、これと似たようなパラドックスが成り立ちます。

“A君から出発した犬君は、A君より速いので、必ずA君よりも先にB君のところに到着する。次にB君から出発した犬君は、B君よりも速いので、必ずB君よりも先にA君のところに到着する。これを繰り返す結果、いつまでたってもA君とB君の二人は合流することができない。したがって犬君は無限の往復運動をしなくてはならない。かわいそうな犬君!”

しかし現実には、アキレスはやすやすと亀に追いつけますし、A君とB君はやすやすと合流できて、犬君もめでたくご褒美がもらえます。この現実を数学的に説明するとしたら、距離がどこまでも短くなっていくと、しまいにはゼロとみなして良いという、収束の概念が使われます。確か高校で習いました。ずっと忘れていましたが、今回の問題を考えるにあたって、ネットを調べたりしているうちに、なんとなくそれを思い出しましたので、それを使ってみます。

それでは前置きはこのくらいにして、始めます。考え方の骨子は、犬君が全部でN回往復したとして、N回分のそれぞれの距離を全部たして、犬君の走った全距離を求める、という考え方です。
犬君が走った全距離をS、1回目の往復で走った距離をS1、2回目の往復で走った距離をS2、N回目の往復で走った距離をSNとすると、
S=S1+S2+S3+・・・・+SN ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
です。

さて 前回の記事 に書いたなかに、重要なポイントがあります。犬君が1回往復したときに、A君とB君の距離が、その前の距離の5/14に縮まるというところです。毎回毎回、犬君が往復するたびに、いつも同じ5/14の比率で縮まるのがポイントです。犬君が往復するごとに、A君とB君の距離が同じ比率で縮まっていくので、犬君がその都度走る距離も、同じ比率で縮まっていくのです!このいつも同じ比率という性質により、以下のようにあらわすことができます。

以下の表記で、二乗とか三乗とかのべき数を、上付き文字で表示できないようなので、便宜的に赤い背景色で示しました。たとえば(5/14) 2 とあるのは(5/14)の2乗、(5/14) 3 とあるのは(5/14)の3乗、という意味です。

S2=S1×(5/14)
S3=S2×(5/14)=S1×(5/14) 2
S4=S3×(5/14)=S2×(5/14) 2 =S1×(5/14) 3
以下も皆同じなので、
SN=S1×(5/14) Nー1  と表わせます。これを上の(1)に当てはめてみましょう。

S=S1+S2+S3+・・・・+SN
  =S1+S1×(5/14)+S1×(5/14) 2 +S1×(5/14) 3 +・・・+S1×(5/14) Nー1
これをS1で括ると、
  =S1×[ 1+(5/14)+(5/14) 2 +(5/14) 3 +・・・+(5/14) Nー1 ]・・・・・・・・・・(2)

さぁここからが数学的処理の核心部分です。
上の式で下線の部分を見ると、最初が1で、そのあとは等しく5/14の比率で減っていく、全部でN個の項目が、列のように並んでいますね。これを数学的に言うと、「初項1、項比(5/14)、項数Nの等比数列」です。これの合計を求めるわけですから、「等比数列の和を求める」ことになります。
ここで公式の登場です。等比数列の和を求める公式、というのがあります。受験生の方は良くご存じでしょうけれど、ワタクシは公式などすっかり完全に忘れていますので、こちらを調べてみました。
http://mathtrain.jp/sumtouhi
ここに書いてある通り、一般に、初項a、項比r、項数nの等比数列の和は

a+a×r+a×r 2 +a×r 3 +・・・+a×r nー1 =a(r n -1)/(r-1)

となります、というか、なるそうです。公式の証明は今回すっとばし、使うだけ使わせていただきます。(公式の証明に興味ある方は、上記のサイトを熟読ください。)

この公式を上の(2)にあてはめてみます。今回の場合、aが1、rが5/14 ですから、

S=S1×[1+(5/14)+(5/14) 2 +(5/14) 3 +・・・+(5/14) Nー1

  =S1×{1×[(5/14) N -1]}/[(5/14) -1] ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

ここで、分子の中のr n すなわち(5/14) N がポイントです。Nが無限大に大きくなったとき、この値はどんどん小さくなって、ゼロにどんどん近づいていきます。これがいつまでもゼロにならないと考えると、先ほどのアキレスと亀のパラドックスの話が成立するのです。しかし数学的には、Nが無限大に大きくなると、極限値としてゼロに収束する、と考えるわけです。すなわちゼロとみなしていいということです。そう考えると、アキレスは亀に追いつけます。犬君もゴールインできるわけです。無限回往復しないとゴールできないという言い方はなんかちょっと気になりますが(^^;)。

したがって、N→∞(Nが無限大)のとき、(5/14) N =0 です。

そうすると、(3)の {1×[(5/14) N -1]} の部分は、1×(0-1)=-1 になります。
また、(3)の分母の (r-1)は、(5/14)-1=-9/14 ですね。
これらを(3)にあてはめると、
S=S1×(-1)/ (-9/14)
  =S1×(14/9) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

となりました!ここまで来ると、俄然、解けそうになってきましたね!
あとはS1、つまり犬君が1回目の往復で走った距離を求めるだけです。

S1については、 前回の記事 の図を見ながら読んでいただくと、わかりやすいです。
まず、往路です。犬君が最初にB君のところに着いたとき(図の中段です)、犬君の走った距離は、最初の距離の6/7ですね。犬君はそこから方向転換し、復路に転じます。犬君がA君のところに着いたとき(図の下段です)、犬君が走った距離は、「二番目の距離」の3/4です。「二番目の距離」は最初の距離の4/7ですから、4/7掛ける3/4=3/7です。つまり犬君は1回目の往復のとき、往路は最初の距離の6/7、復路は最初の距離の3/7を走ったわけです。結局往路と復路を合わせて、最初の距離の6/7+3/7=9/7を走ったことがわかりました!すなわち、
S1=1000×(9/7) メートル、です。

さあ、これを(4)にあてはめましょう。

S=S1×(14/9)
  =1000×(9/7)×(14/9)
  =2000

実は自分でもひやひやしましたが、無事2000メートルになりました!良かったです。

犬君にも、走る前に「無限回往復してね」というとへこむでしょうけれど、「2000メートル走ったら終わりだよ、ご褒美だよ」と言えば、喜んで走ってくれると思います。このふたつ、同じことを言っているというところが面白いですね。もし犬君に前者の「無限回」という言い方をしてしまってへこんでしまったら、こう言って励ましてあげましょう。
「大丈夫、君に限界はない。」






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Last updated  2017.03.30 19:15:24
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じゃくさん、何か知らんけど凄いわあ!  
嫌好法師  さん
アキレスと亀まで出てきて、呆れたカメ^^;

ハンデを貰った亀君の所までアキレスがやって来た時、何と亀君は甲羅の中にすっぽり身を隠して眠っていましたとさ。
僕の発想はこんなです、悪しからず(笑) (2017.03.30 21:47:53)

Re:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
快調家族 さん
いや~きらクラがここまで広がりましたか、とても気楽には読めない超大作、3382文字ありました!
オチまで付いて・・・。たくさん走らされて犬君アキレス腱傷めたの?とか、親亀の上に子亀、子亀の上に孫亀、二乗、三乗・・・とか、途中で朦朧としながらも完走した感想は→
番組にお便り出して下さい、ただし400字しか書けないのでお手紙で。その後、FさんとMさん、どっちが読むかで大モメにモメて、仕方なくKだまっちが読むという・・・いや~畏れ入りました。
私も亀の甲羅の中に入りたいです、ここ掘れワンワンの掘った穴でもいいですけど~ (2017.03.30 22:12:43)

法師さんこそ哲学的思索、凄いです!(03/30)  
じゃく3  さん
嫌好法師さんこんばんは、なんかよくわからないテーマにお付き合いしていただき、ありがとうございます!

法師さんのコメントは、アキレスと亀のパラドックスに関する、非常に哲学的なアプローチとして、興味深いです。アキレスが追いついても、当の亀君は甲羅の中で外部からの刺激をシャットアウトしていて寝ている。ということは、亀君にとって、アキレスには追いつかれていないのと同義なのです!

またある意味これは、神学的なアプローチともいえるでしょうか。

亀が身を隠した。かめかくし。
(2017.03.30 23:46:04)

Re[1]:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
じゃく3  さん
快調家族さんこんばんは!やたらに長い記事の最後まで熟読してくださり、感謝感激かめあられです!

>いや~きらクラがここまで広がりましたか、
いやあの、広がったというより、袋小路にどん詰まったというか(^^;)

>オチまで付いて・・・。
あれで少しでもオチツイテいただけたなら、幸いです。

>犬君アキレス腱傷めたの?とか、
確かにあの課題なら、十分ありえます。これは医学的アプローチのコメントですね。

>親亀の上に子亀、子亀の上に孫亀、二乗、三乗・・・とか、
これはすごい!エッシャー的アプローチ!

>途中で朦朧としながらも完走した感想は→・・・
このあとは、もう爆笑です、コメディドラマ的アプローチ?・・・そうか、ドラマと言えばギリシャ、すなわちアキレスにかえるという暗示ですか。見事すぎです。

>私も亀の甲羅の中に入りたいです、ここ掘れワンワンの掘った穴でもいいですけど~
むむ、これは、何的アプローチ?謎を残しつつ、ワタクシはそろそろ布団に入ることにいたしましょう。
(2017.03.31 00:12:45)

おまけの自己レス2題  
じゃく3  さん
おまけの自己レス2題です。皆様スルーしといてください。

○ひとつめ
>亀が身を隠した。かめかくし。

甲羅の中に身を隠すと、仲間の亀たちも、誰が誰なのだか、外からみてもわかりにくくなりますね。まだ昼間なら甲羅の柄で見分けがつくかもしれませんが、たそがれ時にはかなり難しくなると思われます。

これすなわち、亀が身の黄昏。

○ふたつめ
>広がったというより、袋小路にどん詰まった

せっかくの数学ネタですので、数学的表現に訂正しておきましょう。

すなわち、「広がったというより、袋小路の極限に収束した」
(2017.03.31 17:07:08)

Re:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
ひこうき雲 さん
じゃくさん、数学ネタにすっかり拍車がかかりましたね。車中泊、白昼に拍車、じゃく伯爵(なんのこっちゃ(^-^)/
じゃくさん、おまけの自己レスひとつめは《神々の黄昏》へと巧く収束されましたね。お見事です。
ふかわさんがオザケンさんをリスペクトするように私はじゃくさんをリスペクトします。
ボーダー柄のTシャツから入るふかわさんに対抗して私も形から入りたいのですがマーラーのプリント柄Tシャツを特注しましょ。 (2017.04.01 10:51:19)

Re[1]:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
じゃく3  さん
ひこうき雲さん、続けてありがとうございます!
灰色の脳細胞を普段使わない数学的思考でフル回転させたので、燃え尽き症候群です(^^)。おまけに、かねがね思い描いていた神々への収束までうまく行って、満ち足りた終息感に包まれています。

リスペクトなんて恐れ入ります。マーラーのプリント柄Tシャツを特注されるときは、ワタクシの分も1枚余分にお願いいたします(^^)/。
(2017.04.01 16:58:45)

Re:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
いーとも3  さん
最初の記事?↓
https://plaza.rakuten.co.jp/jyak3/diary/201703270000/
で、
>いったいこの方向転換を何回することになるのか
とあったので、

犬の大きさを考慮する必要がありますよねぇ。
例えば、数学的にもし点と、それも原子みたいに小さな点とすれば、
理論上はほぼ無限回数になっちゃう。

って書こうと思ってたら、なんとまぁ種々考察、アプローチされて脱帽です。
哲学やら神話?まで出てくるとは・・・
ひょっとして博士さんっすかぁ?

(2017.04.04 07:09:14)

Re[1]:きらクラ!おまけのおまけのおまけ記事:算数問題の数学的解法(03/30)  
じゃく3  さん
いーとも3さんこんばんは、いつもありがとうございます!
方向転換は、最初こんな複雑なことになるとは思いもよらず、ただ素朴に犬君のことを想像しただけなのですが、考えていくうちに、

>犬の大きさを考慮する必要がありますよねぇ。
例えば、数学的にもし点と、それも原子みたいに小さな点とすれば、
理論上はほぼ無限回数になっちゃう。

ということに思いあたって、無限の深みにはまりそうになりました(^^)。
なんとか算数スイッチを切って、現実世界に脱出成功しました~。

>哲学やら神話?まで出てくるとは・・・
ひょっとして博士さんっすかぁ?

昔々、あるヴァイオリン弾きが、博士と良く間違えられたそうな。
「君、博士だろう?」
「いえ、葉加瀬太郎。」

わたくしと言えば、頭のてっぺんの方は御茶ノ水博士っぽくなってきましたが。。。(^^;)
(2017.04.04 23:51:44)

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