オレが情熱マンの理由(わけ)第二部



眠い目をこすりながら時計に目をやる。4時10分。
右のわき腹から背中にかけて何か違和感を感じる。
「また腰を捻ったかな?」と一瞬思ったが、この感じは少し違う。
どの方向に向いても痛い。動かなくてもジクジクと痛みを感じる。

起床後約10分。痛みの強さも意識がはっきりとしてくるにつれて
だんだん増してくる。
今まで体験した事のない、尋常でない痛みの感覚。昼からは名古屋で
「がんばれ社長!」の武沢さんのセミナーに参加を他の仕事を
キャンセルして申し込んでいる。できることなら参加したい。

しかし、この痛み方は我慢して名古屋まで行けるレベルのものでは
なさそうだ。
まともに動く事もできない。しかたなく救急で病院に行く事を決心する。
救急車に来てもらうのは目立ちすぎるのでイヤだ。
4時30分、車で病院に送ってもらうために妻の部屋まで
這って起こしにいく。

「ごめん・・お腹が痛くて動かれへんねん・・病院に連れて行ってくれ。」
普段あまり泣き言を言わないオレの言葉に、妻は驚き、あわてて病院に
電話をかけ、車に乗るための準備をする。

2才の次女が目を覚まし、抱っこをせがんでくる。
正直つらいが、子供の前で苦しい表情は見せられない。
できる限りの笑顔をつくって抱いてあげる。

座っているのもつらくなってきた。ゴロンと仰向けに寝転がる。
と、突然猛烈に吐き気をもよおしてきた。あわてて流し台に吐きに行く。
前日の夕食が消化されていない。
「・・・食中毒か?」

妻に体を支えてもらいながら車に乗り込み、病院へ。
ますます強くなる痛み。病院到着と同時にまた吐く。
痛みで体を伸ばせないので、くの字に折り曲げたまま救急の待合室へ。

看護婦さんが尿を取って欲しいというが、家で出してきたばかりだ。
それでも症状を調べるために必要だから、何とか頑張ってきてと言うので、
しかたなくトイレに行く。
尿をしぼり出そうと力を入れるとますます痛みが強くなる。
また気持ち悪くなってきた。そのまま3回目の嘔吐。

しばらくねばっているうちに、何とか少量の尿が出る。
やっと診察をしてもらえる。問診、横になって触診。
確認のために今度はレントゲンを撮ることに。

診察室からレントゲン室まで約50メートル。
この36年間でこれほど長く感じた50メートルはなかっただろう。
レントゲン室に着いた。しかし、それから技師が来るのが異常に遅い。
待合の長いすに荒い息遣いで横になる。

(何でもいいから、早くこの痛みを楽にしてくれ!!)
心が折れかかってくる。

(つづく)

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