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2009.12.24
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カテゴリ: box
「・・ーすけ?」

「味、、おかしい?」
不安げに問うミリに、オレは慌てて首を振る。
「いや、うまい。相変わらずミリの味噌汁サイコー。日本一だよ。」
「大げさね~」
呆れたように首を振ってから、グリルをあけて、鮭の切り身の焼け具合を確認するミリ。いつもどおりの姿。
・・悩みなんて鍵をかけてしまいこんでいるんだよな・・。
だけど、もう、何を聞いても答えるつもりなんてないはずのミリ。

起き抜けの頭で考えたって何も思いつくはずもなくて。いつまで眺めていても仕方ないから、俺は、
「顔洗ってくる」
と洗面所に向かいかけて、、足を止める。 昨日の朝の電話 を思い出して。
「ミリ、今日お父さんとランチじゃなかったっけ?」
「そうだよ」
返事をしながら、炊飯器をあけるミリ。炊き立てらしく、白い湯気が盛大に立ち上る。ミリは小さな手で、しゃもじを持ち、大きくかき混ぜる。
「何時に出るんだ?今から飯食ったりして、ランチ食べれんの?」
いつも朝食はたっぷり取る美莉だけど、胃がちっさいミリに、わずかな時間をおいての連食は難しいだろう。ミリは、こちらを向いて微笑んで、
「1時ごろにカラダが空くっていうから、12時過ぎくらいに出ようと思ってる。だから今はお味噌汁だけにしとく~」
「なんだ、だったら俺も、それだけでよかったのに」

「だ~めっ。ケースケ、ずっと外食ばっかなんだから。おうちで食べられるときはちゃんと食べてー。お肌にだってよくないのよ~?」
「お肌、、、って」
「大切でしょ?役者なんだから」
にっこり笑うミリに、
「はいはい。ありがと・・じゃ、顔洗ってくる」

微笑を含んだ声に送られてキッチンを出る。
廊下に出て、俺は足を止め、一瞬だけ目を閉じる。壁に頭をつけて考える。

夕べよりも、なんでもないフリをする演技が格段にうまくなっているミリ。
ミリを引き止める方法、離さないって思い知らせる方法、全然俺は思いつけないままなのに。
ミリは少しずつ、覚悟を固めていっているんだ。
オレと離れる、ココロを決めていっているんだ。

俺、ただ、ミリが離れていくのを、黙ってみることしかできないのか?

そんな自分であってはいけない。絶対に。こぶしを握り締めてから、洗面所に向かった。


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最終更新日  2009.12.24 14:32:31
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