INFINITY

INFINITY

朝から



 ↓ ↓ ↓









温かい白だった。それは窓から漏れて来る朝の光だと分かった。
低血圧のぼくにとってこの朝は幸せだがとても辛かったりする。
この頭がまだ覚醒するまでの、身体が布団と溶けて一緒に成っている
感覚のまままた眠りにつくこの瞬間がとても気持ち良くて、闘いだ。
ここで起きなければいけないんだけど、いけないんだけど、あぁあ。

「起きろーって。おい、アルフォンス」

肩を中心に身体が揺さ振られた。あーやめてよもうちょっと。

「ダメだろ、お前コレぐらいに起きないとちゃんと目ェ覚めないだろ」

そう、人より覚醒が遅いぼくは人より早く起きなければならない。
ちょっと頭の奥でイラつきながらゆっくりとエドワードさんの顔を見る。

「モーゲン、アルフォンス」

あ、やられた。
朝の光がエドワードさんに当たってとても綺麗だった。
真っ直ぐで癖の無い金髪がさらさらと煌めいた。
少し痛んでいる毛先でさえも透明に輝く。
艶やな仕草でに前髪を耳に掛けつつ、エドワードさんが柔らかく微笑む。
ぼくの目の前で。

「…モ、モーゲン、エドワードさん」

顔の熱さを悟られまいともう一度布団に顔を突っ込む。
勿論眠いのもあったのだが。

「おーい」

何がモーゲンだよ、と
遠く、否、実際には近いのだが聞くまいとする己の心と布団のせいで
彼の声がとても小さく(あ、禁句)聞こえた。でもハッキリと聞こえる。悔しい。

「ひゃぁっ!」
「ま、寝ててもオレはかまわないんだぜー?」

耳元で意地悪い声が聞こえた。
イタズラ小僧みたいにニヤつきながら喋っているのが良く分かる。
彼は布団を被ったままのぼくに覆いかぶさった。
力いっぱい抱きしめてくる彼の腕を布団の中で感じた。
息が苦しいとか髪の毛がぐしゃぐしゃだとかそんなんじゃなくて
ただただ恥ずかしくてどうしようもなかった。一応抵抗を試みるものの
この眠たい身体で動く範囲は限られている。うまくグーも作れやしない。

「ぅーヤメテー」

布団に邪魔されながらもごもごと羽毛に吸収される声を聞く。
思い切って飛び起きる。
あーあっつい。

「起きないお前が悪い」

ふふんと鼻を鳴らしてご機嫌そうなエドワードさん。
昨日夜更かししてなかったらちゃんと起きれたよ。
もう、朝からぼくはめちゃくちゃだ。
重たい足を前に進めながら洗面所へと向かった。
早くこの顔を冷やさないと。
目はもう充分…いや、別の意味では覚めたけど
実際にはまだ寝ていたい。この眠気を吹っ飛ばす為にも
早く顔を洗いたい。

//////////!!
初めて気付いた。ぼくはこんなにも分かりやすい顔をしていたのか。
真っ赤だ。恥ずかしい。こんな顔をエドワードさんに朝から見せていたのかぼくは。

「そういうところがかわいんだって」

後ろからひょこっとエドワードさんが出てくる。小さいからこういう時には
何処から出てくるか見えなくていつも少しどきりとさせられる。
前に一度口を滑らせて一度エドワードさんにこの事を言ってしまった事が
あるけれど、あの後の処理は大変だったなぁ。

「ばか、やめてください」

墓穴を掘っている気がする。背けた顔が鏡越しに見えた。
耳まで真っ赤になったぼくの横顔がちらりてうつった。
小さくなって消えていくぼくの声はもう何言ってんだか
自分でも分からなくって、当然相手にも伝わらなくて
朝からいっぱいいっぱいなぼくを見て楽しんでいるエドワードさんを
いっそう喜ばせるだけの行動となってしまった。

その雰囲気を振り払いたくて咳払いを一つ。
なのに本当に咳き込んでむせた。2つの意味で涙が出てきた。

「まだ顔洗ってないのか?早くしろ。それ終わったら着替えさせてやるよ」
「余計なお世話です」

顔洗うの、とても時間掛かりそう。いや、掛けそう。

ぼく、今更ながらやっていけるか心配です。

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ドイツ語:グーテンモーゲン=お早う

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