INFINITY

INFINITY

天使



お前が持ってるんだよ、と続ける筈だったのに声が出ない。
余りの驚きに身体が硬く動かなくなってくる。ぎこちなく伸ばした
右手が彼を捉える。
触るな、と叫びたかったけどそんな資格はオレにはなく、ましてや
いったん捨てた物。その後はどうなろうと口出しできる立場ではない。
それにそれはアルの行動。アルフォンスの意思にも思えた。

「何で、手放すの?」

キッと睨まれる形で瞳を合わせた。言い訳なんて出来ない。
したくても持ち合わせているコトバでは補えそうにない。する必要もない。
したいとも思わないが。

「ダメ、忘れちゃ、兄さん」

同じ顔で、まだ少年の声で、金色の瞳で、自分より小さい背丈で。
まるで違う、別人じゃないか。分かっていた事さ。彼とアルとは別の人。
何で比べた?何で面影を求めた?どれだけ彼を傷付けた?

「こっちの世界のぼく…アルフォンス・ハイデリヒ、さん」

心臓を掴まれる様な息苦しさに目眩がした。頭がふらふらしたのは
馬車の上、路面状態上致し方無い事。

「夢にしないで」

空から響いて来た気がした。最期の言葉に被るような「忘れないで」と
優しい響を持った彼の言葉が頭を巡る。同じ様で対極のコトバ。
涙が出そうになった。オレに選べる道はない。

「ごめん、アル…フォンス」

どっちに云ったのか自分でも分からなかった。否、どっちにも宛てて云ったのかもしれない。
そっと中の写真を一枚を抜き取る。やっぱり彼は可憐で純粋で真っ白で華だった。
見る人を誰でも笑顔にするような、天使の様な。そう、彼の背中には
真っ白で大きな両翼がよく似合うのだ。事実彼は天使なのだろう。
神を信じる訳ではないが、せめて、彼をあたたかい世界に送ってあげて下さいと
空に願う。オレの代わりに。オレから放れて自由になった彼を。

ありがとう、自分勝手だけど、都合良いけど、オレ生きたい。
お前の分まで、何て恩着せがましいこと云わないし、それで自己満足
したいと思わない。これは罪滅ぼしでもないし、彼に捧ぐ日々でもない。
オレ、自分勝手で気まぐれな猫だもんな。
分かってくれるよな、聡明なご主人様なら。

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エドにゃん×飼い主リヒ設定はだいだいだい好きです!なので
登場率高し。何か、映画後っぽい話。still後とか。
まさにDon't forget.ですよエド!
にしても、やっぱり私はハイデたんの名前は「ハイデリヒ」の方が
親しみあるのでエドにそう呼ばせたいです。ハイデとかリヒとかハイデリヒとか。
お空で飼い主様は溜め息つきながらも貴方のわがままを見守ります。

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