INFINITY

INFINITY

なんとなく



なんとなく背中に視線を感じて振り返ってみる。
苦しそうな懐かしそうな何とも云えない表情でぼくを見詰める彼の目があった。
何故ぼくを見ているのか、そんな分かりきった事を今更訊く気は無いし訊こうとも思わない。
寧ろ触れたくない。

「待って下さい、ご飯ならあと少しで出来ます」

あえて話を別方向に逸らして無理やり笑顔作ってみた。
早く食べたいのなら、と無言で皿の入った棚を指差しする。
彼は少し呆れた様に溜め息を吐いて、それでもきちんと棚に向かい
食卓の準備に取り掛かるのだった。

あぁもう。まただ。

背後に彼の視線を感じて再び振り返る。気付いてないとでも思っているのだろうか。
ぼくは鍋をかき回すおたまの手を止め、彼と面向かって云ってやろうと
勢いをつけて彼と目を合わせる。
云うって、何を?
分からない。
でももう彼が何をしたかったのか何でこんなことになってるのか分からない、
ましてや、たった今手を離したばかりの鍋の中身も瞬時に思い出せないこの状況で
先ほど云おうとしていた、きちんと決めていた訳でもない台詞を思い出すのは
とても難儀な事である。

「…なっ」

彼はぼくの腰に手を回し肩に顎を乗せてわざとくさく溜め息を吐き、
その息をぼくの耳元に吹きかける。この近距離とこの格好がたまらなく
恥ずかしくて思わず腕を振り払いそのついでに放れ様とした。

「なぁ、何か怒ってる?」
「へ?」
「いや、訊き方変えよう。何か勘違いしてないか?」

勘違い?ぼくが?それは貴方でしょう。
いつまでもぼくに面影探して、面影求めて、面影に縋り付く。
今だってそうでしょう?

「だろうな」

はぁ、と今度は本当に疲労感たっぷりの溜め息が彼の口から漏れる。

「鈍いよな、お前。いい加減気付けよ」

貴方に云われたくありませんよ。いい加減気付いたらどうです?
ぼくはぼくだ。

!?

「///////…@○▽□!!!!??」
「聞こえなかった?」
「…っ!!」
「可愛いから見てたんだよ」
「ん?!」
「なんとなーくな、暇でぼーっとしてると、あ、何か可愛いもんが動いてんなーって見ちゃう訳」

唇を付けたまま話されるからくすぐったくて、それ以上に恥ずかしくて
顔から火が出そう。息の仕方が分からない。
するりとエプロンの紐を解かれ、コンロの火がカチンと音を立てて消火された。

「お前の勘違い、時間かけて正してやるよ」

抱き締められて動けない。その勝気な瞳に目が眩む。
なんとなくで見詰めていることならぼくも多々あるけど…。
そんな感じに見られていたなんて。

「どうしていきなりこんなことするの?」
「前からしたいって思ってたけど」
「別に、今じゃ―」
「なんとなくだ。」
「な、なんとなくって…」
「お前は流れに身を任しときゃ良いんだって」
「なんとなくで流されてたまるものですか」
「じゃ『なんとなく』じゃないって云ったら、どうする?」

きっとすごく嬉しい。同時にすごく重い。今はまだ、背負えそうに無い。

「…だから、なんとなく、な」
「ん」

なんとなく。
そう何と無く、自然な、流れ。

ぼくは、これから暫く囚われの人です。それが貴方への罪滅ぼし。




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何が難しいって幸せなオチにする事。(なんて奴だ

リヒの料理姿(エプロン使用時)って絶対あの細腰!後ろの蝶結び
解いてイタズラしたくなりますwwエプロンリヒの蝶結びをほどき隊。








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