INFINITY

INFINITY

1.初対面



それは本当に驚いた。
彼はとても美人な人だった。癖の無い真っ直ぐな金髪が良い程度に薄くて
彼が身を動かす度にさらさらと流れた。長いまつげに大きな瞳は一点を
真っ直ぐ捕らえて動かなかった。とても一身で一途な姿だった。それが第一印象。
そしてぼくは片手に数枚の資料を抱えてその人に見惚れていた。
彼はぼくらが造っているロケットに興味が有るらしくて、その出来かけの
露体を一生懸命見ていた。そして…ぼくが視界に入ってしまったようだ。
彼はゆっくりとこちらを向き、その大きな瞳を更に見開き、壊れそうな顔になった。
大変な険相でぼくを引っ掴む。相手が彼で無ければ「殴られる」と思ったかも知れない。

だがその愛しい者を見詰める様な潤んだ瞳、震える手、何か言いたげに口をパクパクさせる
その小柄な、幼さを残してはいるがその整った少年のような彼が切なそうに
歩み寄るものだから、ただただそのことの成り行きを見守るしかなかった。
その表情や行動を見て、可愛いのになぜか可哀想な護ってあげたい存在だ、と思ったのが第二。
でもその身体は本当に脆くて、抱きしめればたちまち崩れてしまいそうな雰囲気に満ちていた、第三。
この会って数秒でこんなに彼の事を深く考えてしまうぼくは可笑しいのだろうか。
とにかくとても扱いが難しい人だと思った。と同時にとても惹かれた。
そして声。ピンと通る、低過ぎず高過ぎず丁度良い音程。

「アルフォンスか」

本当に驚いた。
何故知っているのだろうと。そこまで熱くならなくてもぼくはアルフォンスですよと
応えることが出来るのに、彼は益々捲くし立てる様に問い掛けるので僕の肩がギリリと痛んだ。

「弟のアルか、アルフォンスエルリックか」

誰だよ。
酷く落胆した自分が居た。その綺麗な唇からぼくの名前が出てきた事に変な期待を抱いていた様だった。
心の中で密かに毒づき、自分の浅ましさにハッとする。
何を期待しているのだろう、自分は、と。
ぼくが困った風な顔をしていると、彼は益々顔を近付けて来た。精一杯背伸びをする様がとても可愛らしかった。
その美麗な顔が目の前に在るということに困惑した自分は赤くなっただろうか。
それでも目は離せず、その金色の湖のような瞳に捉えられたままだった。動けない。

「…ごめん」

そうだよな、そんな訳無いよなごめんなオレバカだ。
そういって照れくさそうに彼は顔を背け頭を掻いた。が、見えた。
その壊れそうな表情。暗が入ったように伏せられた瞳。歪む唇。肩が震えてる。
全体のオーラでその憔悴振りが伝わってくる。
被害者はどちらかと言えばぼくの方なのに、酷い罪悪感に襲われた。
胸を締め付けるようなイタミに貫かれた。

「気にしないで下さい、誰かと間違ったんでしょう?それより、ロケットに興味有るんですか?」

不貞腐れた幼児をあやすかのように、優しい先生のような笑顔で彼に話し掛ける。
次は、ぼくが加害者になろうか。

「もっとお話ししませんか?お昼、食べてないのならご一緒しましょうよ」

断る選択は、有る様でない。彼は黙って頷いた。そして搾り出すような、
わざと元気に振舞うような声で短く「あぁ」とだけ答えた。乾いた砂の城みたいだと思った。

「この工場ではぼくらが自分達で制作して、いつかこのロケットを宇宙に飛ばしたいと考えているんです...」

歩きながら陽気に話し掛けると、彼は興味深げにうんうんと頷いて時折質問もしてきた。


でもその余裕の無さを隠すような彼の姿はイタイだけだった。
その弟さんってぼくに似てるの?
何故ロケットに興味が有るの?
彼の闇に踏み込むつもりは無い。
仲良くなれそうな気がした。

「あぁ、それと、ぼくはアルフォンス・ハイデリヒです」
「オレはエドワード・エルリック」

エドワード。
心の中だけで呼んでみる。

「ではエドワードさん、ぼくの事はお好きなように」

わざと「さん」付けで距離を保とうとするのに

「じゃあアルフォンス」

ファーストネーム、呼び捨てなんて、ずるい。
最初からぼくは負けていたんだ。どんどん嵌っていく。

もう、逝ける処まで堕ちるしかないと思った。


******************
リヒ黒!てか説明ばっかでおもろない!萌えがない!
てかいつも最後の締めって苦手だ・・・。


ステキお題はこちらから→ 鋼の錬金術師的お題


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