INFINITY

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15.さよなら



 どこに行くんだろう。そんなことぼくには関係ない。貴方は帰る。
貴方の場所へ。元在るべき場所へと。ぼくらの目指したシャンバラへ。
ダメだよ。そんなんじゃ外れない。絶対外れない様にしっかりと固定してある。
秒速11キロの圧力に耐えるべく作られたコクピット。簡単に抜け出されて
たまるものか。ありがとう、ごめんなさい、さようなら、大好きです。
初めて「ぼく」の名前を呼んでくれた貴方。そう必死そうに呼ばないでよ。
切なくなるじゃないか。さっきお別れは、済ませたんだから。

 * * *

「エドワードさん!!」

大急ぎで駆け寄った。彼はあの高さから銃で打たれて――。
心臓が高く波打った。喉が痛くてまた血が出そうに成ったけどこんな所で
へばっている訳には行かないと血反吐飲み込み歩み寄る。
心臓………………動いてる。良かった。怪我も、してない。義手、のおかげ。
そしてこの箱がクッションとなり、か。生きろって云ってるんだね、君には。
そっと彼を持ち上げる。見た目小柄な彼はやっぱり持ち上げても軽くて。
病弱なぼくにはちょっときつかったかも知れないけど、そんな風に感じさせない程
彼は小さくて護ってあげたい存在で、見惚れるほど綺麗で。
心の中で呟く。ありがとう、ごめんなさい、さようなら、大好きです。
色々なキモチ全部籠めて、そっと、優しく口付けた。
これが最後、と。
涙が出なかったのは先程までに嫌って云う程出したからだと思う。
ありがとう、これで最期に彼をしっかり見ることが出来ます。
前の晩は、夜通し見詰めていたくて彼の部屋に行ったけれど
滲んで、ぼやけて、足元ふらついて、声が漏れてしまうから大変だった。
しっかりと、脳裏に焼き付けて。愛する人を。一生の人を。

 * * *

「忘れないで」

握り締めた掌に想いの丈を連ねて。力が思う様に入らなかった気がした。
そして、また口付けて。
困惑する彼の表情を余所にぼくはハッチを思いっ切り締める。さよなら!
自分がぐちゃぐちゃになった気がした。そのくせ氷の様に硬く冷たく固まった気がした。
なのにこの胸の熱さ。もろいのに確かなような。
ぼくは矛盾の塊。

大きな流れに身を任せて、ゆっくりとスローモーションのように流れる時間の中を
離脱かのするように、身体の力が抜けて重力にぼくの全てをあずける。
どさりと鈍い音がぼくの倒れた音だと知った。熱くぬるっとしたものが胸を
濡らした、血だと知った。撃たれたんだと気付いた。痛みは感じなかった。
冷たいつららがぼくの中を走ったような感覚。ただ、それだけで。
今家に居たらぼくは誰かに手を握って貰いながら、涙ながらに名前を
呼んで貰えていたのかな。でもどうでもいいや。
そこに彼は居ないのだから。

「アルフォンス……ッ!!」

遠くへ消えてゆく光を見詰めて、これが最後の映像。
最期にぼくを見てくれてありがとう。
ぼくのシャンバラ。
シャンバラ。
それはここ。
それはあの人。
あの人と過ごしたぼくの時間。

光が溢れてぼくを包む。ぼくはあたたかい世界へ招かれる。シャンバラ。

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何で最後だけ映画に沿ってるんだろう。
面と向かってより、背中に想うのが好みです。
映画で描かれなかったロケットまでの部分はこうです!(断言

ステキお題はこちらから→ 鋼の錬金術師的お題



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