国民と天皇と大日本帝国

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2006.01.21
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『その他の試案』

 1945年12月26日に憲法研究会の「憲法草案要綱」が発表され、
 年が明けると各政党の「要綱」「草案」が発表された。

 1946年1月21日:自由党 憲法改正要綱
 1946年2月14日:進歩党 憲法改正要綱
 1946年2月24日:社会党 憲法改正要綱
 1946年6月29日:日本共産党 日本人民共和国憲法(草案)

 また、1945年11月11日に「日本共産党による新憲法の骨子」が発表されている。

一、主権は人民に在り

  民主議会は政府を構成する人々を選挙する
三、政府は民主議会に責任を負ふ議会の決定を遂行しないか又はその遂行が不十分であるかは
  或は曲げた場合その他不正の行為あるものに対しては即時止めさせる
四、人民は政治的、経済的、社会的に自由であり
  且つ議会及び政府を監視し批判する自由を確保する
五、人民の生活権、労働権、教育される権利を具体的設備を以て保証する
六、階級的並びに民族的差別の根本的廃止

 共産党の案が良いと述べたい訳ではない、上記の「日本共産党による新憲法の骨子」
 に基づいた、「日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)」の概要が
 「各政党案」の最終項にあるので、見ていただければと思う。

注)以下の各党案の全文は「日本国憲法の誕生」のHPにあります。



 憲法研究会の「憲法草案要綱」は次回、それ以外の政党案をチェック。

●自由党 憲法改正要綱 (1946年1月21日発表)

〓勝手な解釈とコメント〓

 統治権の主体は日本国家、天皇は統治権の総覧者で万世一系、法律上及政治上の責任なし。
 (天皇機関説?)

 大審院長・会計検査院長は天皇に直隷だが、大審院長・会計検査院長の任命は議会の議決を経る。

 政府案よりは「日本国憲法」寄り、「大審院長・会計検査院長」が天皇に直隷は、
 この時代このような感覚なんだろうとしか思えない。

○気になった項目
一、天皇
一、統治権の主体は日本国家なり
二、天皇は統治権の総攬者なり
三、天皇は万世一系なり
四、天皇は法律上及政治上の責任なし
(註)現行憲法に於る緊急命令、執行命令、独立命令制定の大権官制大権、
   統帥大権、編制大権、戒厳大権、非常大権は之を廃止す

四、議会
五、衆議院が第一院として参議院に対する優越性を認むること概ね左の如し
(イ)衆議院の予算先議権の強化
(ロ)参議院が衆議院を通過したる議案を修正若は否決したるときは、
   之を衆議院の再議に附し、三分の二以上の多数を以て再び之を可決したるときは、
   参議院の修正若は否決は其の効果を失ふ
   (之と関聯して衆議院を通過したる議案の参議院に於ける審議期間を制限す)
(ハ)参議院の内閣不信任上奏若は決議を禁止す

五、国務大臣及内閣
一、国務大臣及内閣に関しては憲法に掲ぐるものを除くの外、法律を以て其の基本的事項を定む
二、国務大臣の首班たる内閣総理大臣の他の国務大臣に対する地位の優越を明確にす
三、国務大臣の議会に対する責任を明確にす
四、内閣の制度を憲法中に規定し内閣に執行命令、独立命令、其の他の命令制定権を認む

六、枢密顧問
 枢密顧問の制度は之を廃止す

七、裁判所及会計検査院
一、司法権の独立を強化し、大審院長を天皇に直隷せしむ
五、会計検査院長を天皇に直隷せしむ
六、大審院長及会計検査院長の任命は議会の議決を経ることを要す

八、憲法の改正
一、憲法改正の発案権は議会にもこれを認む

●進歩党 憲法改正要綱 (1946年2月14日発表)

〓勝手な解釈とコメント〓

 自由党の憲法改正要綱より「日本国憲法」より
 天皇の象徴化が進んでいる。
 しかし主体はあくまでも天皇で、
 「天皇は臣民の輔翼に依り憲法の条規に従ひ統治権を行ふ」
 となっている。

○気になった項目
一、統治権行使の原則
一、天皇は臣民の輔翼に依り憲法の条規に従ひ統治権を行ふ
立法は帝国議会の協賛に由り、行政は内閣の輔弼を要し、司法は裁判所に之を託す
二、委任立法並に独立命令は之を廃止す
三、緊急勅令の制定は議会常置委員会の議を経るを要す
四、宣戦、媾和、同盟条約、立法事項又は重大事項を含む条約の締結は帝国議会の議を経るを要す
五、統帥大権、編成大権及非常大権に関する条項は之を削除す
六、戒厳の宣告は帝国議会の議を経るを要す
七、内閣、各省其の他重要なる官制は法律に拠る
八、教育の制度に関する重要なる事項は法律に拠る
九、栄典大権中爵位の授与は之を廃止す

三、帝国議会
十四、予算案及財政法案は衆議院に於て之を先議す
参議院は衆議院に於て削減せる予算案の復活を決議することを得ず
十五、衆議院に於て引続き二回通過したる法案は参議院の同意なくして成立したるものと看做さる
十六、衆議院は内閣及各国務大臣に対し不信任又は弾劾を決議することを得
十八、議会常置委員会を設く
 常置委員会は議会閉会中緊急勅令の制定、臨時議会召集の請求緊急財政処分、予備金の支出、暫定予算、
 其の他緊急実施を要する重要事項を議決す此等の議決は次の帝国議会の承認を要す常置委員は
 衆議院議員任期満了及衆議院解散の場合に於ても新議会成立迄其の資格を存続す

四、国務大臣
十九、天皇内閣総理大臣を親任せんとするときは両院議長に諮問す
 各国務大臣の親任は内閣総理大臣の奏薦に依る
 内閣総理大臣及国務大臣を以て内閣を組織す
二十、内閣総理大臣及国務大臣は帝国議会に対し其の責に任ず
二十一、枢密院は之を廃止す

五、司法
二十二、大審院を最高裁判所とす大審院は法律又は命令が違憲又は違法なりやを審査するの権を有す
二十三、行政裁判所を廃止しその権限を裁判所の管轄に属せしむ

七、補則
二十五、各議院は各其の現在議員の三分の二以上の同意を以て憲法改正案を発議することを得

●社会党 憲法改正要綱 (1946年2月24日発表)

〓勝手な解釈とコメント〓

 天皇は象徴的に扱われる、言い換えると天皇の存在を保証している。
 「社会主義経済の断行を明示す」には恐怖を感じる。
 しかし、それ以外は現在の「日本国憲法」に近い、

○気になった項目
新憲法制定の三基準
一、方針 新憲法を制定して民主主義政治の確立と、社会主義経済の断行を明示す
二、方法 総選挙後の特別議会においては特に会期を延長し、新憲法制定に当ることとす、
  これを憲法議会とす
三、目標 平和国家を建設するを目標とするを以て、従来の権力国家観を一掃し、
  国家は国民の福利増進を図る主体たることを明かにす

主権と統治権
一、主権 主権は国家(天皇を含む国民協同体)に在り
二、統治権 統治権は之を分割し、主要部を議会に、
  一部を天皇に帰属(天皇大権大幅制限)せしめ、天皇制を存置す

天皇統治権の内容
一、内閣総理大臣は両院議長の推薦に基き、天皇之を任命す、但し、天皇之を拒否するを得ず
二、条約締結は議会の権能に属し天皇之に署名す但し天皇之を拒否するを得ず
三、議会に於て議決せる法律の公布には天皇之に署名するの形式を経ることとす
六、天皇は外国に対し儀礼的に国家を代表するの権を有す
七、天皇は政治上の責任なし尚皇位の継承は議会の承認を得るを要す、摂政を置くには議会の議決による

議会
一、議会は天皇大権に属せざる他の一切の統治権を行使す
二、議会の権能は立法権、歳入歳出予算承認の権、行政に関する指示及監督権、
  条約締結に承認を与ふるの権を有す
三、議会は二院より成る、衆議院は比例代表による国民公選の議員より成り参議院に優先す、
  参議院は各種職業団体よりの公選議員を以て構成し専門的審議に当る
六、議会は国民投票により解散されるの途を開く

国民の権利義務
一、国民は生存権を有す、その老後の生活は国の保護を受く
三、国民は一切平等なり、特別身分による総ての差別を撤廃す
四、華族、位階、勲等を総て廃止す
五、言論、集会、結社、出版、信仰、通信の自由を確保す
六、国民は労働の義務を有す、労働力は国の特別の保護を受く
七、所有権は公共の福利のために制限せらる
八、国民の家庭生活は保護せらる、婚姻は男女の同等の権利を有することを基本とす

内閣
二、内閣は議会に対し責任を負ふ内閣は議会の委託により外に対し国を代表し、
  行政権を執行し官吏を任免し法律執行命令を発す
三、国民投票により内閣の不信任を問はるることあり、尚枢密院は之を廃止す

司法
二、大審院長、大審院判事、検事総長は両院議長の推薦に基き、内閣之を任命し、
  他の裁判官は内閣直接に任命す
五、行政裁判所は之を廃止す

附則
憲法を改正せんとする時は議員三分の二以上の出席及び出席議員の半数以上の同意あるを要す

●日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)(1946年6月29日発表)

〓勝手な解釈とコメント〓

 基本的人権が保障されている。
 問題は一党独裁かどうかだが、よく解らない。

 「第五十一条」の
 国会は代議員の資格を審議する資格審査委員会を選挙する。
 国会は資格審査委員会の提議により個々の代議員の資格の承認または選挙の無効を決定する。

 と「第百条」の

 日本人民共和国の共和政体の破棄および特権的身分制度の復活は憲法改正の対象となりえない。

 は、「資格審査委員会」が「特権的身分」であり、その特権は変更不可能を思わせる。
 国会は巨大な権力を持ち「資格審査委員会」が権力の中枢にあり国会議員を従える。
 「資格審査委員会」による独裁政権が誕生する。

○気になった項目
第一条 日本国は人民共和制国家である。
第二条 日本人民共和国の主権は人民にある。主権は憲法に則つて行使される。
第三条 日本人民共和国の政治は人民の自由な意志にもとづいて
    選出される議会を基礎として運営される。
第六条 日本人民共和国のすべての人民は法律の前に平等であり、
    すべての基本的権利を享有する。
第七条 この憲法の保障する基本的人権は不可侵の権利であつて、
    これを犯す法律を制定し、命令を発することはできない。
政府が憲法によつて保障された基本的人権を侵害する行為をなし、
    またかやうな命令を発した場合は人民はこれに服従する義務を負はない。
第五十一条 国会は代議員の資格を審議する資格審査委員会を選挙する。
     国会は資格審査委員会の提議により
     個々の代議員の資格の承認または選挙の無効を決定する。
第六十二条 国会は二十五名の国会常任幹事会を選挙する。
第六十三条 国会常任幹事会は議長および副議長各一名を選挙し、
      議長は日本人民共和国を代表する。
第百条 日本人民共和国の共和政体の破棄および特権的身分制度の復活は
    憲法改正の対象となりえない。





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最終更新日  2006.01.21 08:53:07
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