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2012.01.22
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カテゴリ: 大日本帝国興亡史
 1945年6月29日の廣田・マリク会談でマリク大使は本国政府への取次ぎを承諾、本国よりの回答に接到次第更に会談に入るべき旨を答えた。

 事前に東郷外相と廣田元首相は
 「長期に亙り東亜の平和維持の為めにする相互支持及不侵略に関する協定を締結するを本義とし、右に付き満州の中立化、漁業権の解消を離せざることとし、且交渉の間口を開放し置く為め其他ソ連の希望する諸条件に就きても論議するに異存なき旨を申出づるやうに打合せ」(「時代の一面」p341より)

◇其の後のソ連の対応
 廣田・マリク会談は我方から催促を加へるけれども進捗を見せない。
 自分も大使に会つて直接意識を探らうと思つて来訪を求めたが、病気の為め当分参上し兼ねるとの挨拶あり、且同大使館員が外務省係官に対する話では前記の日本側具体案なるものはクーリエ便で送つたとのことであつたから、これでは此会談は到底進展の見込なしと認めた。
 それで七月に入つた後は急速にモスコーに対し戦争終末に関する措置を採る為め特使を送ることを考究して総理との間に協議を進めた。
 現に七月二日高松宮から御召しの際にも右の趣旨を言上したが、モスコー行の使節は誰にする考かとの御尋ねに対しては近衛公を考へ居る旨を申上げたが、殿下よりは近衛公を派遣の場合には相当の者を補佐として同行せしむるを可とすとの御注意があつた。

 九日帰京して直に総理に近衛公と会談の次第を報告したが、総理は七日陛下から戦争終結を取急ぐ為めソ連へ特使を派遣することにしたらどうかとの御沙汰があつたから、外務大臣が折角其意嚮で軽井沢に赴き近衛公とも会談して居りますから其帰京を俟ち至急取運ぶことに致しますと申上げて置いたとの話があつた。



 (十二日)夜在蘇佐藤大使に電報を持て天皇陛下に於かせられては今次戦争が交戦各国を通じ国民の受くる惨禍と犠牲とを日々増大しつつあることを御心痛あらせられ、戦争が速に終結に至らんことを念願せられ給ふ旨、並に右の御趣旨を以て近衛公を莫斯科(モスクワ)に特派使節として派遣せられんとする次第をモトロフ人民委員に申入れ、特派使節一行の入国方に蘇聯の同意を取付くべき旨訓示した。

 (十三日)深夜に日本課長からスターリン及モロトフの伯林出発前多忙であるので回答は遅延するだろうと云ふ挨拶があつたとの電報があつた。
 此時ソ連政府当局が斯る重大案件であるに拘らず出発前多忙との理由で我大使との面談を避け、且其回答を遅延せんとするは甚だ奇異なりとの感を受けたが、ヤルタ会談の結果独逸の屈伏後既に三ヶ月を経過して居るので、日本に対し既に開戦の決意を為して大使との会見及近衛公の入国を肯じなかつたと迄は想像し得なかつたのは甚だ迂闊の次第であつた。

 ソ連政府からは我方申出は具体的提議を包含せざること並に近衛公の使命が不明瞭であるから確たる回答を為すことが困難であるとの挨拶があつたとの電報を十九日に受取つた。
 今迄莫斯科からの電報・・・、此頃から重要なる往復電報の遅延するのが目立つた。
 尚右電報接受後、佐藤大使から話合による和平は見込なしと思ふから直に無条件降伏をなすを可とすとのとの意見を電報してきた。
─「時代の一面」p343~よりの抜粋


〓勝手に独断と偏見〓

 海軍大佐の高松宮が大臣を呼びつけ近衛のモスコー行に関し注意する時代。

 佐藤大使の「話合による和平は見込なしと思ふから直に無条件降伏をなすを可とす」は、ソ連はほぼ無条件降伏の仲介しかしない「天皇陛下に於かせられては・・・国民の受くる惨禍と犠牲とを日々増大しつつあることを御心痛あらせられ、戦争が速に終結に至らんことを念願せられ給ふ」が天皇の本音ならば一刻も早い戦争終結が望ましい、の意と推察。

 東郷は「困難に耐へた国民の気持ちも考ふる必要あり」と「直に無条件降伏」に反対、「国民の受くる惨禍と犠牲・・・御心痛」は最重要ではなく建前の意が強かったのではないか。







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最終更新日  2012.01.22 09:32:34
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