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それは ある年のお正月…
お酒が完全に体内にまわり、宴もたけなわ
親戚一同、昔話に酔いしれていると
私の母の妹(つまり私のおばちゃん)がこう言った
「***(息子)が可愛がっていたハムスターには心を痛めたわぁーーー」
この言葉をきっかけに 封印されていたハムスター失踪の謎は解き明かされる
それは彼女の息子(私のいとこ)が幼稚園に行っていたときに起こった
この彼女の息子は
彼の飼うハムスターをそれはそれは可愛がっており、
幼稚園から帰るとポケットに押し込み、一緒に公園に行き (ハムスターはもちろん大迷惑)
帰るとキャベツやらにんじんやらひまわりの種やらを与え (巨大ハムスターの登場です)
お手製のジャングルジムでハムスターを遊ばせ (無理やりだったと思いますよ)
ハムスターを片手で握り締めながら夢見る彼 (ハムスター生死の境目です)
このように 彼はこのハムスターに惜しみない愛情を注いでいた…
しかし
B型でマイペースであまり細かいことを気にしない、おおらかな彼の母親…
野放しにされていたハムスターを (彼と一緒に寝ていたハムスター…彼は幼稚園に行く前にカゴに入れ忘れていた)
なんと
洗濯物を干そうと、大量の洗濯物を運んでいたそのときに…
視界が悪く
踏んずけてしまった…
嫌な予感と感触 で、母親が気づいたときには既に時遅し…
彼の愛するハムスターは 瀕死の状態
ここで
この母親の脳裏を横切った
驚くべき治療法とは
「暖めてあげれば復活するかもしれない」 ( 普通考えますか???)
ということで
瀕死のハムスターをこたつの中にいれ休養させることに (または 「隠した」 とも言います)
心配になって(息子の母親を恨む顔が想像できたのでしょう…)
1時間おきに
こたつの中で生死をさまようハムスターに
水をあげてみたり (意識不明なので飲むはずがない)
ちょっと動かしてみたり (余計なことはしないほうが良いと思うのですが…)
こたつから出してみたり (動揺が隠せない)
人工呼吸してみたり (これは嘘です…うししっ(笑))
とにかく彼女にできる全ての処置を試みたが
ハムスターは彼が幼稚園から帰る前に息をひきとった…
そして完全に酔っ払いながら、親戚の前でこの話(昔話)をする彼女
「本当あの時は大変だったわぁーーーーー」
「私が踏んだくらいで死んじゃうなんて… (普通です、私たちがダンプカーに引かれるのと同じですから) 」
「私びっくりしちゃったけど、出来ることはやったのよーー (こたつに隠すことが適切な行動だとは思いませんがね… 」
そして
「幼稚園から***(息子)が帰ってきたときはそれはもう大泣きして、大変だったわぁーー」 (彼のハムスターに対する愛を考えれば当然です)
彼女の話によると
彼はしばらく夢でうなされ続け
夜中にむくっと起きてはハムスターの名前を呼び
号泣していたらしい…
そしてこの母親はそんな息子の隣で
「大丈夫、ちゃんと天国に行っているから」
と 自分の侵した罪を隠し通し
事件から数年間、彼が高校生になるまで
ハムスターはベランダから逃げ、失踪したことになっていた
そして ハムスターは野生に帰っていった という
なんともよく出来た作り話が出来上がっていた…
事実はというともちろん
彼女がハムスターを踏み潰し
動揺した結果、こたつに隠し (それでも応急処置はしたと本人は言っている)
息をひきとったハムスターを
動揺した結果、紙袋に包みマンションの共同ゴミ置き場へ…
こういっては何だが(彼女の息子の悲しみは計り知れないのだが)
「これがハムスターでよかった」と
この話を聞いた親戚一同が思った
ある正月の告白話だった
これが人間だったら立派な犯罪ですよ(いくらなんでも人間ならこんな行動はとらなかったと思いますが…一応フォローしておきます…笑)
今朝もひき逃げ事件でまだ捕まらない犯人のニュースを聞きました
自分の侵した罪をきちんと認め、その後の対応の仕方が人間のモラルに繋がると思います
私の叔母は罪を認めただけ良かったかな???
時効になっていると思いますがね…(ひき逃げ犯扱いしてごめんね、おばちゃん…笑)
息子の心の痛みはしばらく続いたことでしょう…
おしまい