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2009.06.19
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ラブホテル

その2

(つづき)
2年後、自殺を思いとどまった村木はタクシーの運転手をしていた。早朝勤務あけの村木がアパートに向かうと途中の公園で良子が待っていた。ヤクザの借金の取り立てが及ばないように彼女とは離婚し、別々に暮らしていた。朝からヤクザが来ることはないと、こうして彼女は朝会いに来るのだ。彼女が持ってきた弁当をたべ、彼女に促されて村木は良子を抱いた。

ある夜タクシーでの仕事中、村木は2年前のホテトルの女・名美を街で見かけ、後をつけた。そしてとあるマンションから出てきた名美を自分のタクシーに乗せることに成功する。あてどもないといった彼女は海に行くことを求めた。

名美は勤務するアパレル会社の既婚の上司・太田(益富信孝)の愛人だったが、太田は名美をお荷物に感じ始めていた。ある日会社に太田の妻が怒鳴りこんできて名美をなじり、名美は会社までクビになってしまう。彼女は家から太田に電話をするが、直ぐに切られてしまう。それでも彼女は思いねたけを延々と受話器に向かって話して続ける。これはジャン・コクトーの一人芝居『人間の声』がネタ元だろう。ボクはプーランクが作曲したモノローグオペラで知っているのだが、これも自分を捨てた愛人に、女が夜自分の部屋から電話で話す一人劇だ。

そんな名美が村木に求めたのは、2年前のラブホテルの続きだった。同じホテルの同じ部屋で二人は2年前を再現する。名美は同じ服装で現れる。ロマン「ポルノ」ではあるが、二人の行為は描かれない。ただことを終え、あるいはことの最中から、既に醒めていた。寝ている名美を置いて部屋を去って行く。2年前は、正に死に物狂いだったから村木は名美を抱くことに深く「生」を燃焼させた。だからこそ名美も燃えた。しかし今の村木にはそんな深い情念の発散はなかった。元妻や名美に謂わば付きまとわれ、求められても、そうした女の生命力には負けていた。名美の生命力に救われ生に踏み留まったけれど、また2年後その名美を街で見かけたときは「生」の情念に憧れた。しかし平時の彼にはそういう生きる情熱はなかった。名美が手料理の材料を持ってアパートを訪れると、村木は既に越していた。帰り道名美は村木の部屋に向かう良子とすれ違う。

村木と2人の女との物語だけれど、生きる情熱を欠いた村木の無気力は、真に生を燃焼させることのできない現代社会の人間のメタファーでもあるだろう。







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Last updated  2009.06.19 00:36:10
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