日々のあぶく?

日々のあぶく?

March 5, 2006
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LETTUCE FRY

今回もシリーズ読者には嬉しい、ご褒美のような番外編あり。
これだから森作品短編集は侮れない!
読了後、思いだしニヤつきが止まりませんでした(笑)

ラジオの似合う夜(A radiogenic night)・
辞表を出したが認められず、長期海外出張の話が回ってきた。
出向いた国はまだ色々なものが整っていない国。
歓迎されているようだが監視されているようでもある。
そこで再会した、かつて日本に研修に来ていた女性 X・J。

彼の滞在中起こったのは美術館の壁に穴が開く事件。何のために?

―とある人物の話。彼女らからの国際電話あり。
彼の心情、彼女達への思い(スタンス)が知れる貴重な一編。
さりげなく、"彼"ともすれ違っていることも判明するし。
謎で分かったのは炭水機関車の事件くらいだった。
X・Jって誰だろう?分からなかった。

檻とプリズム(A prism in the cage)・
檻には入っていると感じている僕。
自我と外界と上手く接触できない僕がいつも一緒にいた三歳年上の彼。
小さな女の子が殺される事件が相次ぐ中、彼に興味を示し、僕に近づいてきた彼女は彼が犯人だと疑っているようだった…

証明可能な煙突掃除人(Provable chimney sweeper)・

図らずも彼の後を継いで町一番の煙突掃除人になった僕にお化け煙突の掃除依頼が来た。
他の煙突よりも格段に高く、大きい煙突。
父はそこで地獄の深さを見、笑い声を聞いたといった。
それを僕も知ることが出来るだろうか?

皇帝の夢(The imperial dream)・

あれは夢の中の僕が生まれる前の胎児の夢?彼はこの地の皇帝だった?
―生まれれば落ち着くことが出来るし、死ぬことも出来る。(生まれなければ何も始まらない)という言葉が響くショート・ショート。

私を失望させて(Drive me to despair)・
「面白い話」をするといってミィが始めたのはお兄さん、お姉さんが桃を拾った桃太郎の話?
―御伽噺は現代に置き換えない方が良いかも?という教訓…な、わけはない。

麗しき黒髪に種を(Seeds for her lovely tresses)・
街を行く女性の髪が風に靡くのをみるたびに思い出すのは子供会の引率に来た女性に「くっつき虫」(植物)を子供たち皆でつけて泣かせてしまったこと。
髪をゴーカートに巻き込まれて亡くなった女性と彼女がだぶる―

コシジ君のこと(My most unforgettable figure)・
小さくて、失敗が多くて、眼鏡をかけていて、虐められていたコシジ君。
中学に上がってからは接点もなかったのに、彼は僕の夢の中の住人だ。

砂の街(The sandy town)・
いつの間にか砂だらけになっていた故郷。
―映像で観てみたい一作。

刀之津診療所の怪(Mysteries of katanotsu clinic)・
山吹早月と海月及介の故郷を彼らと共に訪れた加部谷恵美は山吹の実家の旅館へ。
西之園萌絵は同じ島にある伯母の佐々木睦子の別荘に。
海月と萌絵、初めての出会い編。でも、あっさり。
島にはいくつかの謎があった。
一、診療所を覗いた後に病気になり、その後も体調を崩すようになった男の子の(病気の)謎。
二、診療所内の着物姿の女の幽霊。
三、診療所の前の森に立っていた白い女。
四、お爺さんを脅した振袖の女。
五、診療所へ定期的にやってくる長身の男。
六、その男ががけから投げた白い刀。
どれも謎の中心には診療所があるらしい。
診療所を訪れた一行は「刀つのPQR」という落書きも発見。この意味は?
推理をめぐらすも八方塞。
恵美と萌絵は診療所の医師に直接話を聞き、あらかたの謎は解けたが、二、四、落書きの謎は残った。
でも、電話で話した犀川はあっさり謎を解き、
萌絵は知らないから分からない、佐々木睦子は分かると謎の言葉を残すのだった。
真相は?
―ある人との嬉しい再会あり。そこがメインでもあるから、山吹と海月は早々に退場。

単独の短編としても楽しめるが、シリーズと今までの短編を読んであると色々な所にニヤリと出来て面白さ倍増である。
本当にこれがあるから短編集だからといって見逃せない!
(単独短編も面白いので、シリーズ番外編がなくても結局は読むのだけれど)



~以下、大いにネタバレを含む妄想と感想~
(シリーズと他の短編集にも及んでいるので、読んでない方はご注意ください)



林さんの断らない(断れない)態度を読んで思った。
今回は紅子と離婚して5年後くらいの設定(多分)だから、X・Jとの間の、ではないだろうが、海月君って林さんの子供だったりして?と。
積極的な女性に好かれるところがあるし、ありえるかなーと。
きっと妄想だけど。
彼が紅子の元で紅茶を飲んで落ち着く風景は良い。

診療所の医師となった練無、彼のもとを訪れるのは紫子さん!
一緒にいる(彼が身内と入っているので結婚したのだろう)のと、紫子さんが今でも男の人に間違えられているのがなんだか嬉しい。
でも、練無が今でも女装(診療所内での振袖女性)してるって…睦子伯母と年同じ位だろうに…
睦子と練無、紫子の出会いはどの短編集だったか…「ぶるぶる人形の夜」だったかな?
へっ君との再会編もあったらいいのに!





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Last updated  March 5, 2006 09:40:50 PM


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