数年前に急逝した名人落語家・桂枝雀。僕と枝雀との出会いは、かれこれ30年前にさかのぼる。30年前、僕は17才だった。ジーパンはリーバイス、枕元には「MADE IN USA」の本。自由はアメリカにあり、アメリカに生まれたかったと心底思いこんでいた時だ。 そんなおり、とある先輩が「洲澤君、古典落語きかへんのか?おもろいで!いっぺん枝雀きいてみい。」と、「親子酒」や「青菜」のレコードを貸してくれた。 枝雀の話芸は僕をわしづかみにしてしまった。古典は退屈なものであるという思い込みを払拭してくれた。古典自体は何も退屈なものではなく、古典を伝えようとする人物が?現代を見あやまり、退屈なだけだと教えられた気がした。