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「神田川」
by かぐや姫
あなたはもう忘れたかしら
赤い手拭マフラーにして
二人で行った横丁の風呂屋
一緒に出ようねって言ったのに
いつも私が待たされた
洗い髪が芯まで冷えて
小さな石鹸カタカタ鳴った
あなたは私の体を抱いて
冷たいねって言ったのよ
若かったあの頃
何も怖くなかった
ただあなたのやさしさが
怖かった
あなたはもう捨てたのかしら
24色のクレパス買って
あなたが書いた私の似顔絵
うまく描いてねって言ったのに
いつもちっとも似てないの
窓の下には神田川
三畳一間の小さな下宿
あなたは私の指先見つめ
悲しいかいって聞いたのよ
若かったあの頃
何も怖くなかった
ただあなたのやさしさが
怖かった
******
1970年代初期と言えば、フォークソング全盛時代、まだニューミュージックやジャパニーズ・ポップスというジャンルもなかったので、演歌や歌謡曲と区別するために「フォークソング」という言葉が使われていた。
そして、この「神田川」が1973年のナンバーワンヒットだったのだが、あれからもう既に34年たっている。
あの頃は、長髪とベルボトム(膝から裾にかけてベル[鐘]のように広がっている)ジーンズが流行っていた(今また流行し始めているが)。
誰もがフォークギターで拓郎(吉田拓郎)や陽水(井上陽水)、アリス(谷村真司と堀内孝夫がいた)やかぐや姫を弾いたりしたものだ。
テレビでは、「俺は男だ!(森田健作主演)」とか「われら青春!(中村雅俊主演)」などの学園もの、青春ドラマが好評だった。教師役の中村雅俊に憧れた私が、とりあえず英語教師の道を歩むきっかけになったのもこの時代のことだった。
あれから30数年、忘れてしまったことなど恐らく数え切れないくらいほどあるだろう。だが、それ以上に様々な記憶が僕の脳裏を掠め、ふとしたことがきっかけで思い出す必要のないことまで思い出してしまったりして、妙に感傷的になったりするものだから仕方ない。
「あなたはもう忘れたかしら…」のメロディは、そんな30年という年月の重みをしみじみと感じさせてくれるものであるには違いない。
人はたぶんその人生の後半を、失われた時間を穴埋めするのに費やしているのではないかという、最近そんな風に感じてならない。
それは自分があまりにも急に歳をとってしまったせいなのだろうか。
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